Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

雨にけむるブルースの夜

2006年11月24日 | diary
 待てど暮らせど届かないポールのDVD。ぼけっとしててもしょうがないので、先日いただいたブルースのDVDをまとめて観たんだけど、これがどれも面白かった。

 『ピアノ・ブルース』はクリント・イーストウッドが監督を務めている。楽しそうにレイ・チャールズやドクター・ジョンなどと語らう趣味丸出しのイーストウッドがいい。確かデイヴ・ブルーベックか誰かが♪彼女は俺のことを恋人と呼ぶし、乞食とも呼ぶんだ♪みたいな歌を歌うと、「わかるよ。俺にもそんな頃があった」と言ったりしてて、大変微笑ましい。この時代はジャズとブルースがしっかりと結びついていたんだなというのが伝わってくる作品でもある。

 60年代イギリスのブルース・ブームを振り返った『レッド、ホワイト&ブルース』には、エリック・クラプトン、ヴァン・モリソン、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、エリック・バートンなど、ロック界の錚々たる面々が出演してる。ヴァンの歌声を聴けるのが嬉しいし、「60年代後半のブルース・ロックのブームは、僕が守りつづけてきた信念とはそぐわないものに思えた」というエリックのインタビューも興味深い。「僕は真剣だった」と語るエリックは、やっぱりかっこいいのだ。

 『ロード・トゥ・メンフィス』は、メンフィスのビール・ストリートから巣立ったブルース・マン達が故郷に戻ってくるホーム・カミングもの。B.B.キング、アイク・ターナー、リトル・ミルトンなどなど。サン・レコードの創始者であるサム・フィリップスも出てくるんだけど、酔っぱらってるのかいっちゃってるのか、アイク・ターナーとのやりとりは最高に可笑しかった。
 ブルース人気が下火になって、食べていけなくなり、20年間クリーニング屋さんをやって暮らしてきたというロスコー・ゴードンという人も出てくる。そして、激しい浮き沈みを経験しながらも「ブルース一筋でやってきた」と言うB.B.キング。あるときからまったく別の人生を歩んだ2人だけど、そのどちらにも味わいがあるし、ブルースがある。

 夜は、忘れてったトコロテンを取りに友達がやってきた。僕らはビールを飲み、交互にギターを弾いたり、歌ったりした。どういうわけか、彼はフィル・コリンズの“One More Night”を練習していた。それは僕らが高校生の頃にヒットした曲だった。僕はフィル・コリンズにも彼の音楽にも興味がないのだけど、懐かしかったので、一緒に歌ったりした。友人は午前1時頃に歩いて帰っていった。外はいい感じで雨が降っていた。泊まってけと言ったんだけど、彼は僕の申し出を断り、傘だけ借りて夜の闇へと消えて行った。後姿がなんとなくブルージーだった。

 玄関のドアノブにぶら下がる形で、ポールのDVDが届いていた。いつ来たんだろな。全然気がつかなかった。

 というわけで、今夜こそポールを観るのだ。