Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

ジェフ・マルダーを是非!

2004年04月21日 | old diary
 昨日のジェフ・マルダー公演、ほんとよかった。やっぱり音楽ってのは、楽しむものだよな。日常の中に溶け込んで、自然と受け継がれていくものだよな。

 ロックというと、兎角、衝撃的であるとか、破壊的であるとか、革新的であるとか、時代を先取りしているとか、天才の閃きがどうとか、そういったことがもてはやされる。きっと今ある現状を打破したいという気持ちが僕らの中にもあるから、それでそうしたことにチャレンジするミュージシャンのサウンドに心惹かれるのだろうか。僕が長くロックを聴きつづけているのも、そうしたことと無関係ではないと思う。

 しかし、同時にそれらは非日常的なことでもある。僕らの実生活はさほどドラマチックなこともなく過ぎていく。で、 そうした変わらない現状への不満がなにか新しいことを生み出すパワーになるのかもしれないけど、そうそう変わっていくものではないのもまた事実。で、そんな現状への不満や怒りがまた新たな…と、このようなサイクルの中で生きていくのも、僕はそれはそれで意味があることだと思っている。ただ、それが幸せなことなのかと問われると、ちょっとわからない。

 ジェフ・マルダーの音楽にはそんなめんどくさいところがない。オールド・タイムな彼の音楽は、退屈な日常ともしっかり折り合いをつけている。だから、旧態依然とした中にあるものでも、いいものはいいと素直に認められるし、そこに潜む「深み」に気がつくことができる。脈々と受けつがれ、生活の匂いが染み込んだアメリカ音楽という名の深みに。

 そこには音楽があるだけで、他に難しいことなどない。けれど、長い歴史の中で淘汰され残されてきた技術や歌に込められた想いは、思考や言葉を超え、彼の歌声やギターの音色に宿っている。それは高いミュージシャン・シップに裏打ちされた一流の音楽でもあるのだ。

 ジェフ・マルダーを聴くと、僕はほっとする。そこに変わらない日常があり、安らぎがあるからだ。彼の歌は、心をすり減らすことが当たり前になった今の時代にこそ求められているようにも思う。

 えっと、今日もジェフは日本にいます。東京、大阪、その他…、ツアーはまだこれからです。CDを買ってみるのもいいけど、今回はぜひライヴに足を運んでいただきたいです。