OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

久しぶりの激昂

2005年12月06日 | 母のこと
夕方、いつもの時間にOT園へ行く。
ホールで車座になって談笑しているグループの中に母の背中が見える。
「ああ、よかった!」となんとなくホッとしたのだが。

二人で部屋へ向かう途中、「私はいったいいつになったら家に帰れるの?」と強い口調の母に???。

それからはしばらくは、詰問の嵐。
「もうこれ以上は治らないのだから、早く家に帰してちょうだい!」
「あの人たち(弟とお嫁さん)が何と言おうと、帰ります!」
「今すぐ電話をしなさい!」etc.

「そんな身体で帰っても、困るだけでしょう」と説得するを試みるのだが、かえって火に油を注いでしまったよう。
「だったら、私にここで死ねって事?」
「身体が少し利かなくなっただけで、あの人たちは私を捨てるのね?」
「私がどんな寂しい思いで、毎晩泣いているか知らないでしょ!」
「こんな事なら自殺するわ、それならみんなほっとするでしょ!」
「恨んで、恨んで、化けて出てやるからね!」
歯を食いしばり、身体を震わせながら、激しい調子でののしる言葉は、どんどんエスカレートしていく。


「気持ちはよく分かるけれど、私はいったい何をしてあげたらいいの?」
「私にできることはしてあげる、でも、他の人のことを言われても、どうしようもないでしょう」
話しているうちに、涙が出てくる。

「お母さんはうちに帰りたい一心かもしれないけど、帰ってしまったら私とはこんなにしょっちゅうは会えないよ。」
「結婚して以来、こんなに毎日お母さんとおしゃべりして笑える時間があるなんて、思っても見なかったわ。」
「家にはいられないけど、いいこともあるって思ってもらえないかなあ」

母もだんだん落ち着いて、TVニュースを見ながら、「欠陥マンション」の話題なんぞに話が飛んでホッとする。

ふと思い出したように「私いつ帰るんだったかしらねぇ?何か聞いてない?」との問い。
さっきまでの話は何だったの?もう忘れちゃったの?と背筋が寒くなる。
認知症と頭で分かっていても、目の前で見せつけられるとやはり驚いてしまう。

夕飯のテーブルでは、お仲間のおばあちゃまたちに「毎日娘さんと幸せねぇ~。」と言われ、「おかげさまで、本当に幸せだと思っています。」と答えている。
お隣の席のおばあちゃまから、「あんた、お母さんが幸せだって言ってるよ、良く覚えておきなさいよ!」と声がかかる。
「今、親不孝者って叱られたばっかりだから、どっちを信じたらいいのかなあ」と笑って、皆さんに別れの挨拶をした。

ここのお年寄りは、皆さん挨拶が素晴らしい。
「ごきげんよう」「ご苦労様でしたね」「気を付けて帰ってねぇ~」など本当に丁寧に言葉をかけて下さる。
それぞれの方の、これまでの生き方がうかがえるような素晴らしい挨拶。

帰路、母の激しい言葉が耳について、気持ちが収まらない。
夕飯の材料を買いに寄ったスーパーで、あちらこちらの棚をうろつきながら、べそをかく。
6時を過ぎた住宅地のスーパーは閑散としていて、涙をこぼしながらうろつくには都合が良い。
普段はあまり覗かない飲料水の棚や文房具の棚などをしばらく眺めて、つまらないものをかごに入れたりして、何とか気持ちに区切りをつけた。

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