エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

中国政府の電気自動車普及策と蓄電池の新動向

2011-12-19 07:13:09 | Weblog
中国政府は、09年からプラグインハイブリッド車や電気自動車などの新エネルギー車の普及を目的に3年間の国家計画を推進しています。「十城千輌」(10都市1000台)プロジェクトと呼ばれるもので、1都市当たり1000台の導入を目指す重点都市が13指定されており(北京市、吉林省長春市、遼寧省大連市、山東省済南市、上海市、せつ江省杭州市、安徽省合肥市、湖北省武漢市、湖南省長沙市、四川省重慶市、広東省深セン市、雲南省昆明市、江西省南昌市)、当面は公用車やバスなどを中心に新エネルギー車の購入や社会インフラの整備運営に補助金を交付するというものです。補助金の上限は、たとえば乗用車ではプラグインハイブリッド車で5万元(約65万円)、電気自動車で6万元(約78万円)となっており、日本のエコカー前税や補助金の額を大きく上回るものです。
これら中央政府からの支援に加え、四川省重慶市や広東省深セン市など一部の地方政府では、個人の購入補助を行う動きも出ています。充電インフラの整備も同様で、09年12月深セン市に中国最大の充電スタンドが開業しました。その他上海市や天津市などでも充電スタンドの建設が進み、ネットワーク化されつつあります。中国国有の送配電会社である国家電網は、10年内に27都市で新たな充電スタンドを建設する計画です。
 こうした状況下で、中国の電気自動車メーカーは積極的なビジネス戦略を展開しています。BYDの動向に関しては第3章第2節で紹介しましたが、それ以外のメーカーも積極的な動きを展開しています。10年1月8日、中国地場の電池メーカー(蘇州星恒電源)と電気自動車駆動システム・メーカー(上海燃料電池自動車動力システム)の合弁企業として、「恒動自動車電池」が中国政府の支援を受けて上海新エネルギー自動車基地内に設立されました。地場初の電気自動車・ハイブリッド自動車用リチウムイオン電池システムの一貫メーカーで、上海市の新エネルギー自動車戦略にとっても同社の設立は重要な一歩になります。第1期工場は12年から生産開始予定です。
 恒動自動車電池は、蘇州星恒電源と上海燃料電池自動車動力システムの共同研究開発の成果を受け継ぎ、地場企業初の電気自動車・ハイブリッド自動車用のリチウムイオン電池のセルから電池システムまで一貫して開発・製造します。第1期工場は10年上半期から建設を開始し、11年末までに完成、12年から生産を開始する予定です。投資総額は3億元、年間生産能力は自動車電池2万システム。第2期工場は投資総額15億元、年間生産能力10万システムです。
 上海市は新エネルギー自動車という新分野でリードを保つため、09年7月、自動車・部品メーカーの集積している上海市嘉定区に上海新エネルギー自動車基地を設け、12年までに上海の新エネルギー自動車産業を900億元規模にする目標を立てています。このため、09年12月「上海新エネルギー自動車産業の発展を促進する政策」を発表しました。開発補助金や利子補助金などのかたちで、新エネルギー車の開発・生産企業に総投資額の最高10%、電池などのコア部品・技術の開発・生産企業に総投資額の最高30%の資金を支援するという内容です。前述の恒動自動車電池は、上海市政府から資金面で強力な支援を受ける予定です。

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