エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド議連」(会長;大畠元経産大臣・国交大臣)で指摘した今後の検討の視点

2012-07-19 00:46:13 | Weblog
 18日民主党のスマートグリッド推進議連(会長;大畠元経産大臣・国交大臣)の第2回会合が開催されました。私は前回の会合で大畠会長より議連のアドバイザーを仰せつかりましたが、今後の検討の視点として、以下の点を指摘しました。
 議連としては、今後7月から8月上旬にかけて、「中間提言」を取りまとめる予定と聞いています。

・スマートグリッドの導入目標は、政府のグリーン成長戦略が目指す「家庭が主役となる社会変革」であり、そのためには、「家計の負担極小化」と「市場の飛躍的な拡大」が必要。
・エネルギー・環境会議が提示した3つの選択肢の下では、1月当たり1世帯の電気代が2030年に1万円から1.2~2.1万円へと上昇する。これは、電気代が年間12万円から年間14.4万~25.2円へと増加することを意味する。これにFITの進展に伴うサーチャージの増加分のほか福島第1原発に係る廃炉、除染の費用が加わり、さらに、消費税、社会保険料の値上げ等も加わる。
 一方、家計の消費支出は年間28.8万円であるが、内訳には、食料6.8万円、住居2.0万円、保健医療1.2万円、教育1.1万円など固定的な経費が多く、裁量的な支出は教養娯楽3.1万円などしかない。将来家計の消費支出全体が伸びるとしても、年間数万円から十数万円の新規負担が出来るとはなかなか考えれれない。これが主婦(主夫)感覚ではないか。

・こうした中、ハードに依存したシステム設計(「プランA」)では、それで最終負担者である国民の負担は可能なのかという根本問題を抱えているのではないか。例えば、蓄電池に依存しすぎた社会システムの構築を目指すことに関しては、疑問が残る。また、蓄電池に必要なリチウム、ランタンなどのレアアースの輸入拡大に伴う資源ぜい弱性の拡大などが起こることになるのではないか。

・「「プランB」の典型であるシリコンバレーのEPRIのアプローチは、これとは全く異なる。まず、目指すべき社会をデザインし、社会的要請を特定して、それを実現できるアプローチを技術的な可能性、コスト、時間軸等を踏まえ、徹底的に科学的に分析して社会システムの構築を進める。

・これと同様の発想で上記の根本的な問題を解決する唯一の道は、①「エネルギーの自産自消」(その積み上げによる「エネルギーの地産地消」)の実現によるエネルギーコストのゼロ化(政府も、20年に標準的な新築住宅でZEHを、新築公共建築物等でZEBを実現するとしているが、これに徹底的なパッシブ化の推進により、既設にまで対象を拡大する)、②「徹底したICT利活用による安上がりの解決」(ハードへの依拠は必要最小限度とする)の2つの組合わせ。これにより、「家計の負担極小化」を実現できる。

・スマートプロジェクトが推進している7月からの「家庭の節電行動2012~節電エコポイントとネガワット」(http://www.smartproject.jp/wp-content/uploads/pdf/120523_savepower_outline.pdf)と8月より本格化する「足利市民総発電所構想」(総務省の支援)へのサポートは、この扉を開くモデルになるもの。
 さらに、観光庁等とも相談して、節電と観光とをリンクして23兆円の国内観光市場の拡大策を構築中。

・「プランB」のアプローチの下では、人と人のみならずモノとモノをIPネットワークでつなぐこととなり、関連するハードの量産効果による価格低下のみならず(市場規模が2倍になれば、ハードの価格は2分の1になる)、ネットワークの参加者の二乗倍でネットワークの価値が増殖する「メトカ―フの法則」が働く結果、「ムーアの法則」(ネットワークに関連するハードの性能対価格比が、18カ月ごとに2分の1となる。半導体の世界では、この現象が40年以上続いている)が妥当することになると、考えられる。

・さらに、スマホやビッグデータを活用した新規ビジネスも膨大に出現する。スマホだけでも、平成24年版情報通信白書によれば、年間7・2兆円の経済拡大効果があることが指摘されている。

・以上に、日本が現在絶対的な競争優位性を有する燃料電池を組み合わせれば、国民一人ひとりが発電所となる「スマート国民総発電所」=「エネルギーのインターネット」を構築することができ、それをアジアをはじめとする世界に展開すれば、システムの輸出と外貨の獲得も可能となる。以上により、「市場の飛躍的拡大」を達成し、政府が目指す「原子力からグリーンへ」というグリーン成長が実現する。

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