エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;「グーグルの詳細動向」)

2010-11-05 00:36:02 | Weblog
アメリカの「スマートグリッド革命」で大きく市場が拡大しているHEMS&V2Gの分野においては、グーグルとマイクロソフトが覇権を競っています。このうちグーグルは、Google Power Meterでこの市場に参入しています。Google Power Meterは、消費者の電力利用状況をグラフィカルに表示させるための技術で、グーグル社は,2つの利用形態を想定しています。
 第1は、電力会社が家庭に敷設するスマートメーターを使って,家庭の電力利用状況を把握するというものです。ここでは,スマートメーターを使って,電力利用データを蓄積したり,外部のサービス事業者に提供したりします。スマートメーターの機種によって,15分~60分の間隔で情報のアップデートができます。グーグルはアメリカの電力会社のみならず、インドやイギリスの電力会社とも提携しています。
 第2は、スマートメーターではなく,消費者が各自で購入する電力量計測機器を使う手法です。この場合には、機器メーカーがアプリケーション・ソフトウェアを開発するためのAPI(application programming interface)が必要になりますが、グーグル社は、09年7月中旬Google Power Meterで利用するAPIを機器メーカーなどに提供する方針を明らかにしました。グーグルがAPIを提供するのは,機器メーカーの開発を促進させるねらいがあります。
 Google Power Meterは、スマートフォンでの動作も可能としており、既に試作も完了しています。Google社はさらに、Power Meterの機能をさまざまな情報通信機器に組み込むことを想定しています。そうなると、スマートフォンだけでなく,ディスプレイを備えた様々な機器において、Google Power Meterのアプリケーション・ソフトウェアを実行できることになります。テレビやパソコンといった一般的な家電機器のすべてに,リアルタイムに電力利用量を表示する機能が付く日もそう遠いことではありません。
現に、グーグルは09年10月5日、Power MeterがTED 5000と連携することになったと発表しました。TED 5000は、家庭の電力消費をリアルタイムで読み出して小さな画面に表示するモニター装置です。エネルギー利用の削減を考える利用者に詳細な情報を提供する監視装置はたくさんあり、TED(「The Energy Detective」の頭字語)はその1つです。
ユーザはPower MeterをTED 5000と組合せることで、ウェブブラウザから、あるいはiGoogleを実行するスマートフォンを使って、リアルタイムの電気消費や週ごとの傾向といった詳細な情報を閲覧できます。グーグルは、Power Meterとつながる装置の数を拡大することを目指しています。また同社は、単純な電力消費監視を超える分野にも手を広げたいと考えています。Google.orgの気候変動およびエネルギーイニシアチブ担当ディレクターを務めるDan Reicher氏(一時、オバマ政権のエネルギー省長官という下馬評もあった人物)は、Power Meterで計画している将来の機能には、電化製品を管理して、オフピーク時のより安価な電気料金や需要応答のプログラムを利用できるようにするものも含まれると述べています。
グーグルがグリーン・ニューディールにコミットする直接的な理由としては、膨大な情報通信トラフィックの増加に対応して、電力を大量に消費する巨大なデータセンターを持ち続けざるを得ないという状況にあることがあります。グーグルとしては、データセンターで使用する電力の効率的な運営に関して、回路設計の改善をはじめ冷却システムの改良に至るまで、やれるだけのことはやってきていますが、今やかさむ電力代は、グーグルにとって無視できないばかりか、制御不能なコストアップ要因になっています。
そこでグーグルがまず取り組んだのが、シリコンバレーのマウンテンビューにあるグーグル本社での取組みです。これは、グーグル本社オフィスの5分の1位の面積を使ってソーラーパネルを敷き詰めて、オフィスのピーク電力需要の3分の1をソーラーパネルでまかなうようにしています。さらに、再生可能エネルギーを「Cheaper than Coal」、つまり石炭火力より安くできないかという観点から、太陽光発電、風力発電、地熱発電の3方向から、石炭火力よりも安い再生可能エネルギーの開発に取り組んでいる企業と協力を進めています。再生可能エネルギーを本格的に利用していくとなると、スマートグリッドに取り組んでいくことが必要となるため、グーグルとしてはスマートグリッドの推進に積極的に協力していこうとしています。また、「クリーンエネルギー2030」(Clean Energy 2030)を提案し、30年におけるアメリカのエネルギー発電システム分布、化石燃料への依存度を低減するビジョンも提示しています。

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