エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカにおけるCCS(Carbon Capture and Storage)の進捗状況

2010-06-01 04:52:21 | Weblog
 10年2月3日オバマ大統領は、DOEと環境保護庁を共同議長とするCCS関連の9つの連邦政府機関による作業部会を創設し、CCSの早期実用化に向けた包括的な戦略を構築すると発表しました。作業部会は今後10年以内に経済的に負担可能なCCSが広範に普及することを目指し、これを妨げる障壁を克服するための計画を180日以内に作成するとしています。
 また、16年までに5~10ヵ所の商用規模の実証試験を実施するという目標を掲げており、ウェストバージニア州のマウンテナー石炭火力発電所の二酸化炭素回収・貯留(CCS)実証試験場は、実際に稼働する石炭火力発電所の排ガスを利用したCCS実証試験としては、世界的にも最も進んだプロジェクトの1つです。二酸化炭素(CO2)回収にはアルストムの冷却アンモニア法を利用し、年間10万トン以上の回収・貯留を行う予定です。今後、10倍以上の規模に拡張する計画があり、これには景気対策法による3億ドル超の財政支援が決定しています。
 マウンテナー石炭火力発電所のCCS実証試験場は、2008年に建設が始まり、09年9月に最初のCO2回収が行われ、翌10月に最初のCO2圧入・貯蔵が行われました。燃焼後の排ガスの一部(20MWの発電規模の排ガスに相当)を使った試験で、年間10万~16万5,000トンの回収・貯留を予定しています。CO2の回収には、フランスのアルストムの冷却アンモニア吸収法を利用しています。これは、約5度に冷却したアンモニアがCO2と結合し、温度を高めるとCO2を分離することを利用した回収法です。このためCO2回収施設は、CO2の吸収塔と、CO2を吸収液から分離する再生塔と呼ばれる2本の塔などで構成されています。
 このほかの代表的なCO2の回収技術としては、米国のパワースパンがエネルギー省(DOE)の国立エネルギー技術研究所(NETL)と共同開発した常温のアンモニアによる技術があり、テキサス州のWAパリシュ石炭火力発電所でCO2回収の実証試験を行う予定です。
 また、CO2吸収液としてアミン溶液を用いるアミン吸収法については、三菱重工業が関西電力と共同開発した独自のアミン溶液(KS-1)を使ったCCS実証試験をアラバマ州のバリー石炭火力発電所で行うこととなっています。

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