エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカにおいて家庭用省CO2・省エネを促進する画期的なPACE制度

2010-10-07 00:22:49 | Weblog
アメリカにおける住宅における省CO2推進に当たっては、省エネ設備や再生可能エネルギー設備の設置や住宅の改修のための初期投資の負担軽減のため、PACE(Property-assessed clean energy)というユニークなプログラムが大きな役割を果たしています。連邦政府は1億戸の住宅を対象にした事業を想定し、これにより100万人の新規雇用が創出されることを見込んでいます。
このPACEは、住宅の省CO2・省エネのための機器の導入や改修を促進し、エネルギーの節減とCO2排出削減を促進するために設けられた制度で、09年1月カリフォルニア州バークレーで最初の債券が発行されて以来、わずか12ヶ月の間に、コロラド州、イリノイ州、ルイジアナ州、メリーランド州、ネバダ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オクラホマ州、オレゴン州、テキサス州、ヴァーモント州、ヴァージニア州、ウィスコンシン州 の14州で発行されています。フロリダ州、ハワイ州ではPACE債券の発行権限はすでに存在しており、アリゾナ州とニューヨーク州では導入を検討中です。10年にはさらに多くの州に拡大し、PACE債券の発行は5000億ドルに達すると予想されています。
 アメリカにおけるエネルギー使用とCO2排出の約40%は住宅等の建物におけるものであり、これらの省CO2・省エネが重要な課題となっています。このため、納税者にほとんど負担をかけることなくプログラムの成功を期しうるものとして、PACEは考案されました。PACEをスタートさせるためには、州が法律を制定し、それに基づき市または郡がPACE地区を設定します。そのPACE地区内にある建物所有者は、省エネ措置あるいは太陽光発電などの創エネ措置を行おうとするときは、市または郡に資金支援を申請します。建物所有者が支出する工事費に対しては、連邦政府により、工事費の30%が個人所得税から税額控除されます。市または郡市町村あるいは指定金融機関(ファニーメイ、フレディマックなど)はPACE債券を発行して、支援に必要な資金を調達します。PACE債券には州政府の政府保証が付きます。住宅の建物所有者は20年以上に渡る固定資産税の上乗せ徴収により、省エネ措置あるいは太陽光発電などの創エネ措置に要した費用を償還するという仕組みです。
このPACEによる効果はエネルギーの節減とCO2排出削減ばかりではありません。省エネ措置あるいは太陽光発電などの創エネ措置に要した費用に相当する需要の拡大、雇用の増進のみならず、住宅・オフィスの資産価値の上昇、担保価値の増進を通じて不動産取引の活発化を促進するという大きな効果もあります。

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