エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

スマートグリッドの市場規模と経済効果

2011-10-03 06:56:47 | Weblog
シリコンバレーにある電力研究所のEPRI(Electric Power Research Institute)は、向こう20年間でアメリカがスマートグリッドに投じる資金は、1,650億ドルに達すると予測しています。年間では80億ドルになります。さらに、09年10月、米コンサルティング会社であるブラトル・グループが試算したアメリカ市場のスマートグリッド関連分野への投資金額は、10年から30年までの20年間の合計で総額を15兆ドルとしています。1年当たり7.5兆ドルという巨大な投資規模です。
分野別では、調査会社パイク・リサーチの電力会社によるエネルギー貯蔵装置市場に関する包括的な調査結果によると、18年までに、アメリカにおける同市場は41億ドルの市場規模に達し、リチウムイオン電池市場に関しては、そのうちの26%に当たる11億ドルにまで成長すると予測しています。また、アメリカにおけるPHEVへの充電から得られる電力会社の収入は、10年350万ドル、11年1940万ドル、12年5330万ドル、13年1億420万ドル、14年1億6040万ドル、15年2億690万ドルと急増していく見通しです。
また、スマートグリッドの経済効果に関しては、09年10月米カリフォルニア大学バークレー校は、①10年から20年の間で、91万8,000人から190万人の雇用増大が見込まれる、②20年までに、1家庭当たりの平均所得は、年間487ドルから1,175ドル増加する、③この結果、アメリカの20年のGDPは390億ドルから1,110億ドル増加する。これはGDPの0.2%から0.7%の押し上げ効果を有する、という予測をまとめています。
こうした巨大な市場規模となると予想されるのは、オバマ政権の対応もさることながら、米企業や国民がスマートグリッドに対して積極的に対応し、その成果を取り入れようとしているためです。たとえば、米穀物・食肉大手企業であるカーギルは、アーカンソー州スプリングデールの同社工場において年間200万ドル以上の電気代を68万ドル削減する計画を進めています。また、米飲料大手コカ・コーラは、15年までに製造工程からのCO2排出を200万トン削減することを公約として掲げています。このため従来方式では対応できず、ウェブベースでサービスを提供するシリコンバレーのスタートアップ企業であるHARAのサービスを導入しています。