エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

メトカーフのエナーネット

2011-08-04 06:32:28 | Weblog
1969年に誕生したインターネットがその後40年かけて進化してきたように、今後ネットワークとしてのスマートグリッドのの進化のあり方を洞察することが重要になってきます。この点について、LANの標準になっているイーサネット(Ethernet)の生みの親で、それを製品化するためにかつて3Com社を創設し、現在はポラリスベンチャー・キャピタルのパートナーになっているメトカーフは、「エナーネット」(Enernet)という注目すべきコンセプトを提唱していますので、ご紹介したいと思います。
メトカーフは情報ネットワークに関する「メトカーフの法則」を提唱した人物です。情報ネットワークの価値というものは、それを使う人の数の2乗に比例するというものです。この「メトカーフの法則」は、インターネットで大いに有効な考え方であることが実証されています。インターネットが登場した頃はユーザ数も少なく、その価値に対する実感はあまりありませんでしたが、ネットワークへの参加者が増えるに従い、その価値が飛躍的に増大しているのは、実感できるところだと思います。最近はやりのフェイスブックやマイスペース、日本でのミクシィなどのSNS(Social Networking Service)にしても同じことが言えます。メトカーフは、このようなインターネット的な考え方をエネルギー問題にも適応すべきだと主張しているのです。
これまでエネルギー業界では、公益事業に対する政府の規制の下で電力、ガス、石油それぞれのビジネスモデルが確立されていますが、彼の主張は、今後エネルギーネットワークの構築に当たって政府や既存企業等だけに頼るのではなく、インターネットがそうであったように、ベンチャー企業、大学、ベンチャー・キャピタル等が既存企業等と力を合わせ、競争と協調の中で新しいものを作っていくべきだと指摘しています。
スマートグリッドで再生可能エネルギーをどう送電、配電か、ということになると、それはまさしくエネルギーネットワークの問題になります。現在のインターネットのシステムは分散型ネットワークで、たくさんの場所に情報の発信源があり、それらがネットワーク全体に伝わっていくという構造になっています。これと同様に、スマートグリッドについても、小規模ながらたくさんの太陽光発電などを数多くのところで実施し、それを送電、配電のネットワークをうまく使う構造にすることができるのではないか、とメトカーフは主張しています。