ミロス島のアフロディーテ

「そりゃ、80点より100点の方がいいでしょ」とお客様。う～ん、テストなんかはそうかもしれないですね、可愛げないですけど。
でも時に80点は、120点にも150点にもなります。勿論30点にも。

ほぼ満開に近づく桜たち。「これで澄みきった青空が背景なら、最高なのにね」。それもいいですが。

月に叢雲花に風、あえて完璧でないものに美しさを感じる美学。その不完全な部分に、もののあはれといった日本人の文化的心情による意味づけや、ヒトの持つ論理的思考による想像力が働きます。これが正の符号を成すのであれば、完璧を超越することもあるかと。

1820年4月8日、エーゲ海のミロス島でアフロディーテ像が発見されました。有名な「ミロのビーナス」、ご存知のように両腕は欠損してありません。

過去何人もの芸術家や歴史家が元々存在した筈の両腕を再現し、完璧にしようと試みましたが、どのような腕を仮定しても、不完全であるはずの彼女の美を超えることが出ませんでした。

そういう意味でも「知らないで良い」ことは数多あるかも。
個々で異なる感性を数値化している時点で、お遊びの域を出ないんですが。