中日新聞が電子版で日本オリンピック委員会(JOC)の理事で、元柔道世界王者の山口香さんへのインタビュー記事を載せている。(5月11日 05時00分 )
管首相は「どうして良いかわからない状態」に陥っているが、コアな関係者に良識ある意見が存在することにホッとする。
海外メディア、経済人、一部競技者などから東京オリンピックは「中止すべき」との意見が日々上がってきている。
残り2ヵ月になっても、オリンピック開催について「やって欲しいし、観たいけれど、コロナ感染対策がしっかりしていないと」という当たり障りの無い意見がある。
しかし、どれほどの人があと2ヵ月で「安全・安心な大会」のための対策が整備されると思っているのだろうか。もう綺麗事を言っている段階ではない。
山口香氏のインタビュー記事の要旨は次の通り。傾聴に値する。
要旨として、
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コロナ禍での東京大会の開催について、「政府や国際オリンピック委員会(IOC)は意義や価値を説明していない」と指摘。反対が強い中で開催すれば「大会が負の遺産として残る可能性がある」と警鐘を鳴らした。
新型コロナの感染拡大を抑えるため、生活の制限に協力を求める政府が、一方で五輪開催にこだわる姿勢に、国民は「不平等を感じている」と指摘。スポーツ界と国民の間に、分断が生じていることを懸念した。
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とある。
また、
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全ての国民がコロナ禍に我慢を強いられながらも協力し、一年以上、踏ん張ってきた。一方、政府は五輪だけは別物で、開催するための手だてを探している。
そのダブルスタンダードにやるせなさや不平等を感じるのは当たり前だと思う。札幌市で開かれた五輪のテストイベントでも、大会組織委員会は万全な感染対策と言うが、国民は「他のイベントとどこが違うのか」と感じている。そこに乖離(かいり)、分断が生じている。
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とも。
1週間後の12日のIOCのリモート理事会が終わって、「組織委員会」の橋本会長が記者会見した。
「開催にあたって理事会の全面的な支持を得ることができた」と強調し、会見に同席した武藤敏郎事務総長は何と「理事会では中止の話は全く出ていない」と述べた。
虚勢の強さを示そうとする管首相が結局「票」で簡単に翻意することが明らかになっている。
諦めずに声を上げ続けることが民主的なルールを失った政治を正常に戻すことにも繋がるのではないか。オリンピック中止が転換の契機になれば皮肉にも意味がる。