団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

STAP細胞 理研が見解、第三者の成功 「完全再現といえず」

2014-04-14 15:32:47 | 日記
小保方晴子氏が14日に公表した文書で「第三者が再現に成功していることは理化学研究所も認識している」としたことについて、理研の広報担当者は同日「小保方氏の所属する発生・再生科学総合研究センターの研究員が、論文発表後に細胞が光り、万能性を示す遺伝子が働いたことを確認するのに成功した」と説明した。ただ、万能性を確認できた細胞からマウスの作製に成功したという報告はなく、科学的に完全に再現したとはいえないとしており、小保方氏の「第三者による成功」を裏付けるものではないという。

 再現実験の成功について、小保方氏は、細胞の万能性を示す多能性マーカーが陽性であるとした時点でSTAP細胞を確認したとしている。一方、理研の担当者は「小保方氏がいう『第三者』の定義がわからず、なんともいいようがない。万能性の確認も理研内部の研究者の成功でもあり、完全な第三者かというと判断が難しい」としている。


産経新聞 4.14 16:20



3年前から200回作製=第三者成功「理研も認識」-小保方氏がコメント・STAP

「STAP(スタップ)細胞」問題で、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーが14日、代理人弁護士を通じ、9日に行った記者会見の補足コメントを出した。会見で「200回以上作製した」と説明した点について、2011年4月から9月までに100回以上、9月以降も別の手法で100回以上作製したと主張。遺伝子の働きを見る方法(マーカー)で確認し、マウス胎児の作製なども複数回行ったとした。
 小保方氏は、会見の際に明かした「第三者による作製成功」について、「迷惑が掛かってはいけないので、私の判断だけで名前は公表できない」と述べた上で、「存在は理研も認識しているはずだ」と強調した。

 また、これまで200回以上作製したとする回数については、1週間程度の培養で作製できるため、毎日のように並行して実験を行っていたと説明。比較的短時間でできるマーカーの陽性確認で成功と判断していたとした。ただ、マーカーの確認だけではSTAP細胞の存在の完全な証明にはならないと一般的には考えられており、小保方氏らの論文もこの点は認めている。 

小保方氏の代理人弁護士は14日、コメントを出した理由を「会見は不服申し立てに関するもので、科学者を中心にバッシングがあることに(小保方氏は)心を痛めている」と説明。「小保方氏から第三者の名前は聞いているが、理研がそれを知っているかは確認していない」と述べた。
 小保方氏もコメントで「体調が戻り次第、具体的なサンプルや写真を提示しながら、科学的な説明や質問にじっくりお答えする機会があればありがたい」と追加説明の意向を示した。
2014/04/14-13:15)

小保方会見「8つの疑問」――米国の科学者が知りたかったこと

2014-04-14 15:21:13 | 日記
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の小保方晴子・研究ユニットリーダーの会見が、4月9日に行われました。この「STAP細胞」論文の整合性には、日本国内だけではなく、世界中の科学のコミュニティーや米国民が、大きな関心を抱いています。

 この会見については、騒動の発端となった論文を掲載した雑誌『Nature』も取り上げました。

【Acid-bath stem cell scientist apologizes and appeals,Nature,Apr.09】

 同誌は、小保方氏が、以下2つの理由のために記者会見を開いたと示しています。1つ目は「間違いに対する謝罪」、2つ目は「STAP細胞があることの証明」ということです。さらにもう1つ、小保方氏は「不正確さは、悪意があったわけではない」ことも主張しています。

 この会見に対して、米国の多くの研究者は、「この会見は、感情的ではあるが、全く科学的ではなく、私たちが抱く疑問に何の答えもないので、かえって悪い印象を与える」と感じています。以下が、彼らの知りたかった疑問です。

1)もし正しい画像を持っているなら、いつ私たちは見ることができるのか。

(2)『Nature』に投稿する前に、誰が最終的に承認をしたのか。

(3) 200回以上も実験に成功しているなら、その結果はいつ見ることができるのか。

(4)経験のある共著者が、論文の撤回を主張しているが、なぜ小保方氏は、彼らの主張を聞かないのか。あるいは、なぜ小保方氏は、彼らに事実を証明しないのか。

(5)博士論文のコピーペーストは事実か。

(6) どうしてハーバード大学は、小保方氏の結果をサポートしないのか。

(7) STAP細胞があるのなら、いつあなたは証明するのか。


(8)ほとんどの実験は、その過程が結果に大きく影響する。なぜ、あなたの場合、結果がそれまでのデータに影響されないのか。


 結局、小保方氏の会見では、この8つの疑問のいずれにも明確な回答がありませんでした。米国の科学者たちは激しく失望しています。


MITの研究者も再現できず


 また、今回の会見で、小保方氏は論文を撤回しないと主張していますが、私の知る限り、米国の幹細胞の研究者らは、不正の見つかったこの論文は撤回せざるを得ないと述べています。4月2日付の米紙『ボストン・グローブ』にはその議論が掲載されています。

【Fraud alleged in findings on stem cells,The Boston Globe,Apr.02】

 この記事の中で、世界トップクラスの研究所である『MITホワイトヘッド研究所』の幹細胞の科学者ルドルフ•イェーニッシュ教授は、「とても残念だ。科学の世界にとって悪い意味をもたらします」と述べ、さらに、「この論文は発表された直後は、とても興奮しました。ところが発表後すぐに、科学者の間でこの論文に疑いが浮上しました。最初は、STAP細胞作製方法の簡単さと、この研究に関与した経験のある日本の研究者への敬意から、この論文に興味を抱いたのだが」と述べています。

 そこで、イェーニッシュ教授の研究室の研究者らは、すぐに同じ方法で幹細胞を作製しようとしましたが、彼らは幹細胞を得ることができませんでした。さらに最近、この論文に問題が生じた後、論文の主要共著者の1人で、論文の撤回に終始反対しているハーバード大学のバカンティ教授らがインターネットに掲載した方法も試してみましたが、やはり幹細胞は得られませんでした。

 小保方氏の2時間半に及ぶ会見は終了しましたが、残念ながら、この会見では科学的なエビデンスはまったく得られず、科学のコミュニティーや米国民の疑問点は何も解決しませんでした。むしろ、この研究結果の信頼を得ることは、さらに厳しい状況になったと思います。



執筆者:大西睦子
内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、2008年4月からハーバード大学にて食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。


「STAP細胞」騒動「ハーバード大学」研究者たちはこう見る

2014-04-14 15:13:58 | 日記


 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の小保方晴子・研究ユニットリーダーらによる「STAP細胞」の報告が、2014年1月29日、英国の超一流科学誌『Nature』に発表されました。この大発見は世界中の注目を浴び、米国のメジャーなメディアも、発表直後一斉に、STAP細胞に関する報道を開始しました。ところがその後状況が一転し、今は捏造疑惑で注目を浴びています。この一連の騒動を、米国 ボストンの仲間の反応やコメントなどを中心に考えたいと思います。


距離を置き始めたハーバード大教授


 ここボストンには、世界中から野心にあふれた研究者が集まっています。もちろん「STAP細胞」の発表直後、多くの研究者らは、この偉大な発見に大きな関心を抱きました。競争の激しい研究の世界で、『Nature』や『Cell』、『Science』誌に論文を発表することは、世界の研究者の目標、憧れです。なぜなら、これらの雑誌で研究を発表することは、その後の 研究費やポジションの獲得につながるからです。ですから、研究者らは、新しい情報を常に収集し、自分の研究に有利なアイデアがあれば、すぐに活用したいのです。同時に勉強会を開き、この斬新な研究報告の結果の再現性や信頼性などの詳細を議論する研究室もありました。

 ところが、その3週間後の2月19日、地元紙の『ボストングローブ』が、この論文に関する、画像の使い回しなどの疑惑を報道しました。

【Researchers scrutinize findings on stem cells,The Boston Globe,Feb.19】

 ただし、この頃はボストングローブ紙以外のニュースは、この問題を それほど取り上げていませんでしたので、日本人以外の仲間は、まだ単純ミスの連発くらいの認識でした。その辺は日本の報道とかなり温度差がありました。その記事で、「STAP論文」の共著者である ハーバード大学チャールズ・バカンティ教授は、「発見に自信がある」と弁明しました。周囲の仲間たちの間で は、再現性の結果を待つ、という意見が多かったのです。ただし誰もが、「小保方氏は、まず声明をすぐに出すべきだ」と指摘していました。米国の研究者たちは、 彼女が何も言わなければ 、この件は 彼女の罪なのだと判断するのです。

 さらに3月6日、バカンティ教授は、ボストングローブ紙に対して、「ほとんどの研究は時間がかかり、確信するまでに何度も繰り返さなければならない」と、今回の発表が時期尚早だったことを示唆 し、「実験の方法がこちらでやっているやり方と日本の著者のやり方が少し異なる」と、この問題から距離を置き始めました。このニュースに関して、私の周囲の仲間たちは、論文発表直後はその成果により賞賛を得た人々が、その直後に疑惑が発覚した途端、一斉に 小保方氏から離れて行く状況を感じ取りました。

 ハーバード 大学医学部の教授であるバカンティ氏は 、ハーバード大学医学部の関連医療機関であるブリガム&ウィメンズ病院の麻酔科部長でもあります。そうした教授の これまでの数々の実績に鑑み、ハーバード大学側は、世論などを踏まえつつ、教授自身の問題ともなっている今回の件には、 しばらく静観すると思います。

【Scientists work to repeat stem cell finding,The Boston Globe,Mar.6】


米研究者たちの「最大の疑問」


 そんな中、3月10日には、『Nature』自らも、この問題に関する経緯と編集部としての見解も含めた記事を掲載しました。

【Call for acid-bath stem-cell paper to be retracted,Nature,Mar.10】

 ここには、衝撃的な論文の公開後わずか40日弱で、論文を撤回すべきだとの訴えまで寄せられた深刻な経緯が 書かれています。論文発表の2週間後に 不自然な重複画像が指摘され、簡単な方法のはずの実験が、数多くの科学者が試しても再現性が確認できない点が批判されていました。

 さらに、より深刻な2つの問題 も出現しました。『Nature』の論文に使用されている画像が、まったく別の実験である小保方氏の 博士論文の複製であるということ。しかももう1つ、それらは全く別の実験だということが判明したのです。そして、論文の共著者である山梨大学生命環境学部の若山照彦教授 が、論文撤回の意思を初めてコメント しています。

 この『Nature』の記事を読んだ知り合いの研究者 は、若山照彦先生の、「私はこの論文へ の信頼 を失っている(I have lost faith in the paper)」というコメントに対して、「I have lost faith in our paper」とは書かれていない点に注目し 、「研究チームが小保方氏から離れていって、これからすべての責任は彼女に委ねられるね」と言いました。

 この記事が『Nature』に掲載されるや 、多くの米国のメディアは、報道を再開しました。私の仲間たちも、さすがに誰もがこれを小保方氏らの単純ミスとは受け止めず 、事態の深刻さを議論するようになりました。多くの研究者仲間が、例えば『ロサンゼルス•タイムズ』に指摘されているように、「日本のセレブとなった小保方氏がこの論議に反論して いない(周囲のコメントがあっても、本人が無言なのでそう解釈されます)」という“異常な状況”が理解できないと異口同音に言います 。

 さらに、博士論文の画像流用や他論文の文章盗用などの問題で、指導教官や周囲の研究者たちの 誰もが気づかなかったことに驚いています。実際、小保方氏の博士論文の約20ページが米国立衛生研究所 (NIH)のサイトとほぼ同じ、つまりコピーペーストしたというニュースが流れてきました。このニュースには、さすがに同僚の研究者たちも呆れてしまいました。ハーバード大の博士論文では、コピーペーストしてもすぐにボスに見つかります。彼らの一番の疑問は、「どうして博士論文の審査で見つからなかったのだろうか」という点です。


博士号を“乱発”してきた日本


 そもそも、米国と日本では、博士号の品質が大きく異なります。2011年4月20日付 の『Nature』誌に、日本を始め中国、シンガポール、米国、ドイツ、インド、など世界各国の博士号の問題点が論じられています。

【The PhD factory,Nature,April.20.2011】

 その中で、日本の博士号のシステムは危機に陥っていて、すべての国の中で、日本は間違いなく最悪の国のひとつだと書かれています。1990年代に、日本政府が、ポスドク(博士号を取得した後、常勤研究職になる前の研究者のポジション)の数を3倍の1万人に増やすという政策を設定しました。その目標を達成するために、博士課程の募集を強化したのです。なぜなら、日本の科学のレベルを一刻も早く 欧米と対等にしたかったからです。その政策で確かに 人数だけ は増えましたが、大学などのアカデミアでは、地位につける人数に制限がありますし、企業の就職には年齢の制限があるため、逆に、 ポスドクの最終的な職場がみつからないという状況に陥りました。さらに、博士号を取得する研究者 の質も低下しました。

 日本の場合、ほとんどの学生が、修士号取得後のわずか 3、4年で博士号を取得して卒業します。いわば、博士号の“安売り”とも言える状況です。
 しかし 米国では、政府の報告によると、大学学士を得てから博士号を取得できるまでにかかる 平均年数は10.1年で、博士号を取得できた時点 の平均年齢は33.3歳です。しかも、最終的に博士号を取得できるのは半分程度で、多くの学生がドロップアウトします。ただし、博士号を取得すると、キャリアアップにつながります。特に、サイエンスの博士号には価値があります。収入を考えると、例えばマサチューセッツ工科大学 (MIT)の学士、修士(サイエンス)、博士号をとった人のそれぞれの平均年収は、750万円、870万円、1100万円。その他の大学でも、博士号取得後の平均年収は760万円以上です。そしてもちろん 収入だけではなく、博士号取得は、人生の様々な選択肢やチャンスにつながるのです。

【MIT Students after Graduation】 【Occupational Outlook Handbook】


教育システム改革も急務


 それだけに、博士号を取るために米国で 大学院に入学した学生のモチベーションは、日本とは まったく違います。キャリアアップのために、なんとしても博士号を取得したいという熱意と情熱に溢れています 。そして大学側は、優秀な人材育成に投資し、博士号の授与にふさわしい人材にのみ学位を与えます。なぜなら、優秀な人材の将来の活躍で大学の知名度が上がり、さらに優秀な人材を獲得できるからです。逆に、学位の授与にふさわしくない人材には学位を与えません。当たり前のことですが、将来問題がおこったとき、大学の評判が落ちるからです。ですから、博士課程の学生は、繰り返し繰り返し厳密な審査を受け、 厳しい評価がなされます。こうした環境では、さすがにコピーペーストの博士論文などあり得ないのです。

 さらに、学生の側も、常に教員を評価します。教員の教育が不十分な場合、最悪、職を失う場合もあります。逆に優秀な教員には、大学等の高等教育における教職員の終身雇用資格であるテニュア(academic tenure)が与えられます。ですから、教える側も必死なのです。

 今回の一連の問題で私が最も強く言いたいのは、小保方氏本人は一刻も早く 状況説明をしなければならないという ことです。3月14日、理研が中間報告の記者会見を開いた際、小保方氏の短いコメントが示されましたが、そんな程度ですませられる状況ではないでしょう。そして、今後の再発防止のために、日本の教育システムの改革も早急に必要だと思います。


執筆者:大西睦子

内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、2008年4月からハーバード大学にて食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。