藤沢数希米系投資銀行に勤務の傍ら、執筆活動を行う。BLOGOS:
BLOG:藤沢数希/アゴラ金融日記
http://blogos.com/blogger/kazu_fujisawa/article/を以下転記しました
今日、小保方晴子が事件後はじめて記者会見をした。午後1時からの記者会見は、他の番組を取り止めて、全局で中継され、異様なほどの注目を浴びた。記者会見はニコニコ生放送でも配信され、累計55万人以上が視聴するなど、こちらも記録的な視聴者数となった。
涙で言葉詰まらせ「それでも、STAP現象は真実です」、産経ニュース、2014年4月9日
この分野に明るい専門家たちの意見では、今回の2時間半に及ぶ会見ではひとつも新しい情報がなかったようだ。ただ涙を流しながら、「STAP細胞はできたんです。信じて下さい」と訴え、「捏造ではありません」と連呼した。しかし、具体的な証拠となると、「ノートは機密研究なので見せられない」「再現実験に成功した第三者の名前は明かせない」「具体的なレシピは将来の研究で明らかにする」などと言って巧妙に逃げてしまう。これら全てに、すでに多くの識者が反論する記事を書いているので、ここで僕はそうした反論は繰り返さない。
今回の会見内容は、すでに理研が解雇するということを織り込んでいて、弁護士とともに将来の労働裁判で勝つための前ふりだと考えれば全て辻褄が合う。そうした裁判では、科学者ではない裁判官が民意を汲み取って判決を書くので、ここで一般視聴者から、可哀想、小保方さんを守りたい、というような感情を最大限に引き出せれば、目的の多くが達成されたことになる。その点では、ネットの調査などを見ると、多くの一般視聴者から支持を取りつけたようで、小保方晴子の弁護団の狙いは完全に上手く行ったと言えよう。
小保方リーダーの会見に納得? Yahoo!ニュース 意識調査、2014年4月9日
そして、STAP細胞がないことを証明するのは、いわゆる悪魔の証明になるので、極めて困難である。それはつまりツチノコが存在しない、ネッシーが存在しない、UFOが存在しない、ということを証明することと同じなのだ。何かが存在することはひとつでも例を見つければ証明できるが、何かが存在しないことはいままでそういう例は見つかっていない、という間接的な証拠でしか証明できない。小保方晴子と弁護団は、この悪魔の証明の性質を最大限に使って、悲劇のヒロインのままこの問題から逃げ切ろうと考えているのだろう。悪魔の証明とは、刑事事件で訴えられた被告の弁護の難しさを物語る法律用語でもあるので、弁護士もよく知っているというわけだ。
ちなみに、STAP現象なるものがあるのかどうか、あったとしたら小保方晴子らの処遇はどうなるのか、についての僕の意見は以下の記事に詳しく書いたので読んで頂きたい。
STAP細胞は単なる仮説のひとつに戻った、アゴラ、2014年4月3日
ここで僕が問題にしているのは、小保方晴子が今回のNature論文を書くに当たって、STAP細胞作製実験で悪意の捏造をしたのかどうか、ということだ。そして、僕の意見ははっきりとイエスである。今回、多くの専門家が全く新しい情報がないと言った会見だが、逆に僕は小保方晴子の仕草や表情、そして次の言葉から極めて重要な情報を得ることができた。
「STAP細胞は200回以上作製に成功しており、真実です」
小保方晴子は、すでに述べたように、捏造の真相に踏み込む質問には、弁護士が遮ったり、機密研究、第三者の名前は明かせない、将来の研究で明らかに、などと極めて上手くかわし続けた。また、涙を流すためにマスカラを塗っておらず、頬が痩けた感じに見えるシャドーの入ったファンデーションなど、冷徹に計算された印象操作が行われている。こうした言語による、あるいは非言語によるコミュニケーションにおいて、小保方晴子は、弁護団と協力しながら、非常に優秀な能力を見せたと言っていい。
その小保方晴子が200回以上もSTAP細胞の作製に成功した、と自信を持って何度も答えたのだ。これは単なる言い間違えではないし、勢い余って、というものでもない。実際に、何らかの事実の裏付けがあるはずだ。僕は、そのことを考えたときに、いままで点だった多くの証拠が一気に線になり、全てがつながっていくように感じた。そして、すべての謎が解けたことを確信した。
STAP細胞ができた、ということは何らかの方法で細胞が万能性(=各体細胞に分化できる能力)を持ったことを確かめる必要がある。ここでそれらの方法は全てNature論文に書いてある。以下の3種類の実験だ。
1. Oct4-GFPの発現
2. テラトーマ
3. キメラマウス
ここで2のテラトーマと3のキメラマウスに関しては、僕のブログで詳しく解説したので読んで頂きたい。テラトーマの実験とは、マウスの皮下に万能細胞を注入すると、それは様々な組織に無秩序に分化するため、ある種の奇形腫ができる。これが細胞が万能性を獲得したひとつの有力な証拠になる。キメラマウスは、別のマウスの初期の胚に、調べたい万能細胞を注入して、マウスの成体を作ることである。これは一卵性双生児の反対で、ひとつの体に両親が二組いる成体ができる。注入した細胞が、確かに様々な組織になっていることが直接確かめられるので、万能性を証明する強固な証拠となる。
そこで、1のOct4-GFPの発現に関しては、それほど今回の捏造事件で重要ではなかったので解説してこなかったのだが、会見を見て、小保方晴子の一連の捏造を読み解く鍵がこれにあることに、僕は気づいた。
というのも、200回ということは、1週間毎に成功したしても、4年もかかるのだ! テラトーマを作るのもキメラマウスを作るのも数週間かかる。ちなみにテラトーマは小保方晴子自身の実験だが、キメラマウスは若山氏が小保方晴子から受け取ったSTAP細胞を使って実験している。ところが、Oct4-GFPの発現のチェックはすぐにできるのだ。つまり、彼女が「実験成功」と言っているのは、このOct4-GFPの実験のこと以外にありえないのである。
それではOct4-GFPの発現とは何かを簡単に説明しよう。遺伝子とは我々の体の設計図であり、驚くことに一つひとつの細胞が完全な設計図を持っている。しかし、多くの遺伝子が何もしておらず、実際に働いているのはその一部だけだ。遺伝子が働くとはどういうことなのか? それは具体的には様々な種類のタンパク質やRNAを合成していくことなのだ。こうして実際に遺伝子の情報が細胞における構造や機能に変換されることを「発現」という。
Oct4とは幹細胞の自己複製と密接に関連しているタンパク質である。ちなみに、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は、Oct4など4種類のタンパク質を合成する遺伝子(ヤマナカファクターと呼ばれている)をすでに分化した体細胞に注入して初期化することにより万能細胞を作り出しているのだ。Oct4発現とは、細胞内にこのタンパク質ができていることを示し、それは万能細胞であることの必要条件のひとつになる。
それでは、どうやってOct4ができていることを確かめるのか? そこでもうひとりのノーベル賞学者の下村脩博士の力を借りなければいけない。下村博士はクラゲが光ることから着想を得て、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した。GFPを上手くマーカーとして利用することにより、細胞内の特定のタンパク質や遺伝子の動きをリアルタイムで観測できるようになった。
今回のSTAP細胞の研究では、遺伝子操作をしておき、Oct4が作られると同時にGFPもできて光るようにしたマウスが使われるのである。これがOct4-GFP発現だ。まだ、世界中が称賛していたときの小保方晴子のプレゼンテーションに頻繁に出てきたあの緑色の光る細胞だ!
[画像をブログで見る]
そして、こうした遺伝子操作されたマウスの体細胞を酸に30分ほど晒すと、実際に多くの細胞が光り出すのである。これは死にかけの細胞の自然発光だったり、実際に酸で晒してストレスを与えると、初期化されたわけではないが、Oct4-GFPの発現が観測されることがよくあるのだ。
たとえば、先日、香港の研究者が掲示板にバカンティのレシピに従ったらSTAP細胞の兆候が見えたと報告して、後に訂正したのはこの現象である。世界中の研究所で試みられたSTAP細胞再現実験もここまでは行っている。丹羽氏らが理研で小保方晴子とは独立にやっているSTAP細胞再現実験もOct4-GFP発現は確認している。
STAP細胞「成功」、一転撤回 香港の研究者、朝日新聞、2014年4月3日
そして、小保方晴子が200回成功したと言っているのは、このOct4-GFP発現のことだ。これ以外に、あの期間に200回以上できる実験はない。そして、この点に関してだけは、僕は彼女は正直であった、と信じている。
小保方晴子はOct4-GFP発現を観察して、STAP細胞ができたと思い込んだ。PhDを持っておらず、細胞生物学に詳しくない、基本的には医者のハーバード大のバカンティ教授も、これでSTAP細胞ができたと思った。この有望な実験結果に、共同研究者たちは彼女に称賛を送った。しかし、これは見せかけの発光である。実際に、iPS細胞のように初期化が起こったわけではない。これは万能細胞ではないから、テラトーマはできないし、キメラマウスもできない。
小保方晴子はSTAP細胞らしきものを発見したころは、まだ若山研に所属していた。ちなみに、このSTAP細胞研究の芽が出始めたことがきっかけとなり、小保方晴子は発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井氏に、教授並の給料と豊富な研究資金を自由に使えるユニットリーダーのポジションに抜擢されるのである。
こうなると周りの期待に答えて、エリート研究者だけに与えられるポジションを正当化するため、彼女に多くのプレッシャーがかかっただろう。あのOct4-GFP発現は、じつは細胞の初期化ではない、ということを今更言えない、と思った。いや、言いたくない。そして、小さな嘘が次の嘘を生み出し、その嘘がまた別の嘘を生む、という彼女の暴走がはじまったのだ。
さて、この見せ掛けのSTAP細胞ではテラトーマはできない。しかし、彼女はES細胞を頻繁に使う若山研に最初は所属していたし、それ以後も若山研と共同研究をしている。ここでES細胞を使ったトリックでテラトーマを作ったのか? フッフッフ、そう思った読者はまだ彼女のことをよく理解していないようだね。
彼女の博士論文や今回のNature論文以外の論文にも様々な剽窃や企業サイトや他の論文の画像の流用が見つかっている。
小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑、11jigen
ES細胞を使ったそんなめんどくさい実験を彼女がするかって? テラトーマは彼女がひとりでやる実験だ。答えはもちろんノー、ノー。彼女は、博士論文の中で使ったテラトーマの画像をスキャンして、画像処理ソフトで加工した後に、Nature論文に載せたのだ。これが今回の理研の調査委員会で、捏造と判定された画像のひとつだ。
しかし、彼女はキメラマウスを作れない。おそらく笹井氏にキメラマウスも作成するように指示され、若山氏が協力するように要請されたのだ。ここで彼女は、STAP細胞をES細胞にすり替えて若山氏に渡すというマジックを披露したというわけだ。
若山氏が一連の小保方晴子のおかしなデータに気がついたあとに、自身が受け取ったSTAP細胞を第三者機関に送付して遺伝子解析をした。その結果、驚くべきことが判明したのだ。それはSTAP細胞を作ったとされるマウスのものではなく、ES細胞を作るためによく利用されるマウスのものだったのだ!
小保方晴子のSTAP細胞Nature論文と捏造問題の詳細 その3 テラトーマの画像使い回しとキメラマウスを作った若山さんの疑惑、2014年3月31日
これだけのことが全て偶然のケアレスミスで起こるのか?
ありえない。
小保方晴子、犯人はお前だ!
弁護士を雇って巧みな印象操作で、マスコミや一般大衆は騙せても、僕たちは騙せない。
科学研究の歴史を愚弄し、まじめに日夜研究に励んでいる研究者たち、そして研究を続けたくてもポジションが得られずにあきらめていって元研究者たちの科学への思いや努力を踏みにじった罪は必ず償ってもらう。絶対に。
BLOG:藤沢数希/アゴラ金融日記
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今日、小保方晴子が事件後はじめて記者会見をした。午後1時からの記者会見は、他の番組を取り止めて、全局で中継され、異様なほどの注目を浴びた。記者会見はニコニコ生放送でも配信され、累計55万人以上が視聴するなど、こちらも記録的な視聴者数となった。
涙で言葉詰まらせ「それでも、STAP現象は真実です」、産経ニュース、2014年4月9日
この分野に明るい専門家たちの意見では、今回の2時間半に及ぶ会見ではひとつも新しい情報がなかったようだ。ただ涙を流しながら、「STAP細胞はできたんです。信じて下さい」と訴え、「捏造ではありません」と連呼した。しかし、具体的な証拠となると、「ノートは機密研究なので見せられない」「再現実験に成功した第三者の名前は明かせない」「具体的なレシピは将来の研究で明らかにする」などと言って巧妙に逃げてしまう。これら全てに、すでに多くの識者が反論する記事を書いているので、ここで僕はそうした反論は繰り返さない。
今回の会見内容は、すでに理研が解雇するということを織り込んでいて、弁護士とともに将来の労働裁判で勝つための前ふりだと考えれば全て辻褄が合う。そうした裁判では、科学者ではない裁判官が民意を汲み取って判決を書くので、ここで一般視聴者から、可哀想、小保方さんを守りたい、というような感情を最大限に引き出せれば、目的の多くが達成されたことになる。その点では、ネットの調査などを見ると、多くの一般視聴者から支持を取りつけたようで、小保方晴子の弁護団の狙いは完全に上手く行ったと言えよう。
小保方リーダーの会見に納得? Yahoo!ニュース 意識調査、2014年4月9日
そして、STAP細胞がないことを証明するのは、いわゆる悪魔の証明になるので、極めて困難である。それはつまりツチノコが存在しない、ネッシーが存在しない、UFOが存在しない、ということを証明することと同じなのだ。何かが存在することはひとつでも例を見つければ証明できるが、何かが存在しないことはいままでそういう例は見つかっていない、という間接的な証拠でしか証明できない。小保方晴子と弁護団は、この悪魔の証明の性質を最大限に使って、悲劇のヒロインのままこの問題から逃げ切ろうと考えているのだろう。悪魔の証明とは、刑事事件で訴えられた被告の弁護の難しさを物語る法律用語でもあるので、弁護士もよく知っているというわけだ。
ちなみに、STAP現象なるものがあるのかどうか、あったとしたら小保方晴子らの処遇はどうなるのか、についての僕の意見は以下の記事に詳しく書いたので読んで頂きたい。
STAP細胞は単なる仮説のひとつに戻った、アゴラ、2014年4月3日
ここで僕が問題にしているのは、小保方晴子が今回のNature論文を書くに当たって、STAP細胞作製実験で悪意の捏造をしたのかどうか、ということだ。そして、僕の意見ははっきりとイエスである。今回、多くの専門家が全く新しい情報がないと言った会見だが、逆に僕は小保方晴子の仕草や表情、そして次の言葉から極めて重要な情報を得ることができた。
「STAP細胞は200回以上作製に成功しており、真実です」
小保方晴子は、すでに述べたように、捏造の真相に踏み込む質問には、弁護士が遮ったり、機密研究、第三者の名前は明かせない、将来の研究で明らかに、などと極めて上手くかわし続けた。また、涙を流すためにマスカラを塗っておらず、頬が痩けた感じに見えるシャドーの入ったファンデーションなど、冷徹に計算された印象操作が行われている。こうした言語による、あるいは非言語によるコミュニケーションにおいて、小保方晴子は、弁護団と協力しながら、非常に優秀な能力を見せたと言っていい。
その小保方晴子が200回以上もSTAP細胞の作製に成功した、と自信を持って何度も答えたのだ。これは単なる言い間違えではないし、勢い余って、というものでもない。実際に、何らかの事実の裏付けがあるはずだ。僕は、そのことを考えたときに、いままで点だった多くの証拠が一気に線になり、全てがつながっていくように感じた。そして、すべての謎が解けたことを確信した。
STAP細胞ができた、ということは何らかの方法で細胞が万能性(=各体細胞に分化できる能力)を持ったことを確かめる必要がある。ここでそれらの方法は全てNature論文に書いてある。以下の3種類の実験だ。
1. Oct4-GFPの発現
2. テラトーマ
3. キメラマウス
ここで2のテラトーマと3のキメラマウスに関しては、僕のブログで詳しく解説したので読んで頂きたい。テラトーマの実験とは、マウスの皮下に万能細胞を注入すると、それは様々な組織に無秩序に分化するため、ある種の奇形腫ができる。これが細胞が万能性を獲得したひとつの有力な証拠になる。キメラマウスは、別のマウスの初期の胚に、調べたい万能細胞を注入して、マウスの成体を作ることである。これは一卵性双生児の反対で、ひとつの体に両親が二組いる成体ができる。注入した細胞が、確かに様々な組織になっていることが直接確かめられるので、万能性を証明する強固な証拠となる。
そこで、1のOct4-GFPの発現に関しては、それほど今回の捏造事件で重要ではなかったので解説してこなかったのだが、会見を見て、小保方晴子の一連の捏造を読み解く鍵がこれにあることに、僕は気づいた。
というのも、200回ということは、1週間毎に成功したしても、4年もかかるのだ! テラトーマを作るのもキメラマウスを作るのも数週間かかる。ちなみにテラトーマは小保方晴子自身の実験だが、キメラマウスは若山氏が小保方晴子から受け取ったSTAP細胞を使って実験している。ところが、Oct4-GFPの発現のチェックはすぐにできるのだ。つまり、彼女が「実験成功」と言っているのは、このOct4-GFPの実験のこと以外にありえないのである。
それではOct4-GFPの発現とは何かを簡単に説明しよう。遺伝子とは我々の体の設計図であり、驚くことに一つひとつの細胞が完全な設計図を持っている。しかし、多くの遺伝子が何もしておらず、実際に働いているのはその一部だけだ。遺伝子が働くとはどういうことなのか? それは具体的には様々な種類のタンパク質やRNAを合成していくことなのだ。こうして実際に遺伝子の情報が細胞における構造や機能に変換されることを「発現」という。
Oct4とは幹細胞の自己複製と密接に関連しているタンパク質である。ちなみに、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は、Oct4など4種類のタンパク質を合成する遺伝子(ヤマナカファクターと呼ばれている)をすでに分化した体細胞に注入して初期化することにより万能細胞を作り出しているのだ。Oct4発現とは、細胞内にこのタンパク質ができていることを示し、それは万能細胞であることの必要条件のひとつになる。
それでは、どうやってOct4ができていることを確かめるのか? そこでもうひとりのノーベル賞学者の下村脩博士の力を借りなければいけない。下村博士はクラゲが光ることから着想を得て、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した。GFPを上手くマーカーとして利用することにより、細胞内の特定のタンパク質や遺伝子の動きをリアルタイムで観測できるようになった。
今回のSTAP細胞の研究では、遺伝子操作をしておき、Oct4が作られると同時にGFPもできて光るようにしたマウスが使われるのである。これがOct4-GFP発現だ。まだ、世界中が称賛していたときの小保方晴子のプレゼンテーションに頻繁に出てきたあの緑色の光る細胞だ!
[画像をブログで見る]
そして、こうした遺伝子操作されたマウスの体細胞を酸に30分ほど晒すと、実際に多くの細胞が光り出すのである。これは死にかけの細胞の自然発光だったり、実際に酸で晒してストレスを与えると、初期化されたわけではないが、Oct4-GFPの発現が観測されることがよくあるのだ。
たとえば、先日、香港の研究者が掲示板にバカンティのレシピに従ったらSTAP細胞の兆候が見えたと報告して、後に訂正したのはこの現象である。世界中の研究所で試みられたSTAP細胞再現実験もここまでは行っている。丹羽氏らが理研で小保方晴子とは独立にやっているSTAP細胞再現実験もOct4-GFP発現は確認している。
STAP細胞「成功」、一転撤回 香港の研究者、朝日新聞、2014年4月3日
そして、小保方晴子が200回成功したと言っているのは、このOct4-GFP発現のことだ。これ以外に、あの期間に200回以上できる実験はない。そして、この点に関してだけは、僕は彼女は正直であった、と信じている。
小保方晴子はOct4-GFP発現を観察して、STAP細胞ができたと思い込んだ。PhDを持っておらず、細胞生物学に詳しくない、基本的には医者のハーバード大のバカンティ教授も、これでSTAP細胞ができたと思った。この有望な実験結果に、共同研究者たちは彼女に称賛を送った。しかし、これは見せかけの発光である。実際に、iPS細胞のように初期化が起こったわけではない。これは万能細胞ではないから、テラトーマはできないし、キメラマウスもできない。
小保方晴子はSTAP細胞らしきものを発見したころは、まだ若山研に所属していた。ちなみに、このSTAP細胞研究の芽が出始めたことがきっかけとなり、小保方晴子は発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井氏に、教授並の給料と豊富な研究資金を自由に使えるユニットリーダーのポジションに抜擢されるのである。
こうなると周りの期待に答えて、エリート研究者だけに与えられるポジションを正当化するため、彼女に多くのプレッシャーがかかっただろう。あのOct4-GFP発現は、じつは細胞の初期化ではない、ということを今更言えない、と思った。いや、言いたくない。そして、小さな嘘が次の嘘を生み出し、その嘘がまた別の嘘を生む、という彼女の暴走がはじまったのだ。
さて、この見せ掛けのSTAP細胞ではテラトーマはできない。しかし、彼女はES細胞を頻繁に使う若山研に最初は所属していたし、それ以後も若山研と共同研究をしている。ここでES細胞を使ったトリックでテラトーマを作ったのか? フッフッフ、そう思った読者はまだ彼女のことをよく理解していないようだね。
彼女の博士論文や今回のNature論文以外の論文にも様々な剽窃や企業サイトや他の論文の画像の流用が見つかっている。
小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑、11jigen
ES細胞を使ったそんなめんどくさい実験を彼女がするかって? テラトーマは彼女がひとりでやる実験だ。答えはもちろんノー、ノー。彼女は、博士論文の中で使ったテラトーマの画像をスキャンして、画像処理ソフトで加工した後に、Nature論文に載せたのだ。これが今回の理研の調査委員会で、捏造と判定された画像のひとつだ。
しかし、彼女はキメラマウスを作れない。おそらく笹井氏にキメラマウスも作成するように指示され、若山氏が協力するように要請されたのだ。ここで彼女は、STAP細胞をES細胞にすり替えて若山氏に渡すというマジックを披露したというわけだ。
若山氏が一連の小保方晴子のおかしなデータに気がついたあとに、自身が受け取ったSTAP細胞を第三者機関に送付して遺伝子解析をした。その結果、驚くべきことが判明したのだ。それはSTAP細胞を作ったとされるマウスのものではなく、ES細胞を作るためによく利用されるマウスのものだったのだ!
小保方晴子のSTAP細胞Nature論文と捏造問題の詳細 その3 テラトーマの画像使い回しとキメラマウスを作った若山さんの疑惑、2014年3月31日
これだけのことが全て偶然のケアレスミスで起こるのか?
ありえない。
小保方晴子、犯人はお前だ!
弁護士を雇って巧みな印象操作で、マスコミや一般大衆は騙せても、僕たちは騙せない。
科学研究の歴史を愚弄し、まじめに日夜研究に励んでいる研究者たち、そして研究を続けたくてもポジションが得られずにあきらめていって元研究者たちの科学への思いや努力を踏みにじった罪は必ず償ってもらう。絶対に。