ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「さまよえる古道具屋の物語」

2017-03-25 20:09:42 | 

 

「さまよえる古道具屋の物語」    柴田よしき

  新潮社     2016.12.20

 

時間も空間も超えて、突如現れる古道具屋。

訪れた客に商品を選ぶ権利はない。

客を翻弄する不可思議な店主の望みは何なのか。

 

さかさまの絵本、

硬貨を入れる穴がない金色の豚の貯金箱、

底のないポケットのついたエプロン、

取っ手がなくて持てないバケツ、

茶色の包み、

ビリヤードの玉……

 

買い主たちがその店に集結するとき、

店の意思が解き明かされる。

 

「本当に必要なものは、意識せず考えなくてもいつもそばにあるものだ。たとえば空気」

 

「この世界には最初から、生まれてきて良かった存在も、生まれて来なければ良かった存在もないんだ。人は、ただ生まれて来る。なぜ生まれたか、どうして生まれたか、そんなことはどうでもいいこと。生まれて来たことそれ自体が大事なんだ」

「生まれて来たら、あとはひたすら生きるしかない。人生はそれですべてなんだ。そう思った」

「他人にどう評価されるかじゃなくて、自分が生きているっていう実感を求める。それでいい、ってことですね」

 

  生きているだけで、上出来なのだ。

  生まれて来ただけで、勝ったも同然なのだ。

 

  誰も愛したことがない寂しさは、誰にも愛されない寂しさよりも寂しいのだろうか。それとも、愛されないほうがずっと寂しいのだろうか。

 

 

誰しも抱えている心の闇や、邪な心持ち。

まったく無関係なようでも、

どこかで繋がっている人間関係。

モノが呼び起こす感情。

 

めぐり、めぐって行き着くのは……

前を見て生きるってこと、かな。

 

 

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「おたふく」「かってまま」「あかね空」

2017-03-24 22:52:36 | 

 

 

しばらく前に息抜きした本を数冊控えておく。

メモは読んだときの気分。

 

 

「おたふく」    山本一力   日本経済新聞社

   2010.3.23

 

久しぶりに一力さんの描く "正味" の付き合いに

触れたくなった。

 

寛政の世。

幕府は徹底した倹約を求め、

贅沢な暮らしをする札差に棄捐令を発布した。

川上から川下へ、カネの流れは滞り、

人々の身も懐も寒さが厳しさを増すなか、

大店の次男が始めた小さな志高き商いが

火消しを走らせ、やがて……。

 

カネは遣ってこそ天下を回る。

大店の矜持をはじめ、それぞれのわきまえが

心地よい。

 

 

「かってまま」   諸田玲子     文藝春秋     2007.6.15

 

旗本の娘・奈美江は不義の恋に落ち、相手の子を身籠る。この事実を隠すため、奈美江は侍女・伊夜とともに祖母の家で暮らし始める。やがて生まれた女の子はおさいと名づけられ、伊夜の子として育てられるが、江戸を襲った火事がもとで、おさいの波瀾に満ちた人生が始まる。

遊女と暮らしたり、女スリと生活をともにしたり……。


出会った人たちを少しずつ幸せにしながら、

生みの親を探し続けるおさい。

数奇な運命を健気に生きる娘の

七つの出会いの物語。

 

七つの小編の題がいい。

 

かげっぽち

だりむくれ

しわんぼう

とうへんぼく

かってまま

みょうちき

けれん

 

「とうへんぼく」の中にあった悪態も中々!

 

「痘痕面の偏屈の金棒ひきのへっぴりのわからずやのあんぽんたんのこんちきのへちむくれのちくるいのとちめんぼうの……」

「はねっかえりのばくれんのひとりよがりのしょうことなしのすべたのてっぱくれのへちむくれのあまのじゃくのとちめんぼうの……」

 

てっぱくれ、とちめんぼうって、初めて。

どうゆう意味なのか、

調べてみたものの、イマイチぴんとこない。

 

 

「あかね空」  山本一力    文藝春秋     H13.10.15

 

山本さんを読み返した流れで、

直木賞受賞作を手にとった。

 

思い込む性分の激しさと、以心伝心の難しさを、

上手く描いていたのだなあ……。

 

この作品の舞台も深川、本所界隈。

時代はやはり、棄捐令の前後だ。




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「時限病棟」「食堂かたつむり」

2017-03-24 22:44:45 | 

 

「時限病棟」  知念実希人     実業之日本社

   2016.10.15

 

目覚めると、病院のベッドで点滴を受けていた。

なぜ、こんな場所にいるのか?

監禁された男女5人は、脱出を試みる。

ピエロからのミッシヨン、手術室の男、

ふたつの死の謎……タイムリミットは6時間。

 

スピーディーな展開で一気読み。

 

 

「食堂かたつむり」    小川糸     ポプラ社     2008.1.15

 

ホロッとした。

 

失ったもの : 恋、家財道具一式、声

残ったもの : ぬか床

 

私生児、母への反発で

飛び出したふるさとに戻り、

メニューのない食堂をはじめた倫子。

お客は一日一組だけ。

ステキな出会い。

 

とは言うものの、それで食っていけるんかい、

などと、読みながら突っ込みを入れちゃった (笑)

 

余命を宣告されて、

大事なペットだった豚のエルメスを

屠ることにした母。

とどめを刺すのは倫子。

 

屠さつシーンは切ないけれど、

私たちが他の生命を頂いて生きている、

ということを、染々と思った。

 

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テレビ三昧

2017-03-23 23:43:43 | 日記

 

テニス、WBC、高校野球……

 

このところ、

テレビを観る時間が、大幅に増えた!

 

まずはテニス。

西岡の活躍が見事だった。

日本人選手の試合しか放映しないかと、

錦織敗退にガックリしたが、

フェデラーVSバブリンカの決勝が観られた。

 

バックのストロークが、

いまどき珍しいシングルハンド同士の対戦。

フェデラーのバックハンドに見惚れた。

カッコいい♪

 

昨日のWBC・アメリカ戦は残念だった。

大リーガー揃いのアメリカと、

ほぼ互角だったと思う。

思わぬミスが失点に結び付いてしまった。

芝によるイレギュラーなど

何らかの原因があったかもしれないが、

ミスには違いない。

どんな名手でも、完璧はあり得ないってことだ。

 

悔いは残るけど、いい試合だった。

 

今日の午前中は、

高校野球、WBC決勝に加え、証人喚問!

しょっちゅうチャンネルを切り替えていた。

 

もう、大変!  (笑)

 

そして夜は、「阿修羅」

 

たまに観たい番組を見つけても、たいていは、

本を読んでて見逃してしまう。

「阿修羅」があると知ったときは、

アラームをセットしたのだった。 (^-^)

 

観て良かった♪

 

さあて、これからサッカーだ!

 

 

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絵本「旅猫リポート」 & 「旅猫リポート」

2017-03-22 23:10:53 | 

 

       

 

絵本「旅猫リポート」  有川浩    絵 : 村上勉

  文藝春秋     2014.3.1

 

「猫と心優しい青年との哀歓こもる旅の絵本。作家・有川浩さんが猫語のリポートを巧みに訳し、画家・村上勉氏が見事な絵をつけた」

と、帯に

佐藤さとるさんの言葉があった。

 

サトルと猫のナナの旅だ。

かなり切ない内容が、

猫が語る淡々とした言葉と不思議とマッチして、

独特の世界を創り出している。

 

この絵本は3年前だ。

有川さんはコロボックルも受け継いだ。

 

改めて、佐藤さとるさんを忍ぶ……。

 

 

そしてーー

 

    

 

「旅猫リポート」   有川浩    文藝春秋    2012.11.15

 

あっ、絵本じゃないのもあったんだ。

 

一匹と一人の旅を、ナナが語る。

いい話だ。

悲しいけど幸せ……

あったかい、、、


  「置いていくなよ……そばにいてくれよ」

  ああーーやっと。

  やっと本音を言ったね。

  サトルがそう思ってることなんかずっと知ってた。

  僕を手放さなくちゃって一生懸命新しい飼い主を探しながら、見合いがつぶれるたびにほっとして僕を連れて帰ってることを知ってた。

  僕は絶対にサトルを置いていったりしない。

  大丈夫だよ、大丈夫だよ、大丈夫だよーー

 

 サトルが僕を飼えなくなっても、僕は何も失わないんだ。

  ナナって名前と、サトルと暮らした五年を得ただけなんだ。

  それは、サトルに出会わなかったら絶対に手に入らなかったんだ。たとえサトルが僕より早く死んでしまうとしても、それでもサトルに出会わないより出会ったほうが僕は幸せだったんた。

  だって僕は、サトルと暮らした五年をずっとずっと覚えておける。

  こんな幸せなことって他にあるかい?

 

 

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