ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「さまよえる古道具屋の物語」

2017-03-25 20:09:42 | 

 

「さまよえる古道具屋の物語」    柴田よしき

  新潮社     2016.12.20

 

時間も空間も超えて、突如現れる古道具屋。

訪れた客に商品を選ぶ権利はない。

客を翻弄する不可思議な店主の望みは何なのか。

 

さかさまの絵本、

硬貨を入れる穴がない金色の豚の貯金箱、

底のないポケットのついたエプロン、

取っ手がなくて持てないバケツ、

茶色の包み、

ビリヤードの玉……

 

買い主たちがその店に集結するとき、

店の意思が解き明かされる。

 

「本当に必要なものは、意識せず考えなくてもいつもそばにあるものだ。たとえば空気」

 

「この世界には最初から、生まれてきて良かった存在も、生まれて来なければ良かった存在もないんだ。人は、ただ生まれて来る。なぜ生まれたか、どうして生まれたか、そんなことはどうでもいいこと。生まれて来たことそれ自体が大事なんだ」

「生まれて来たら、あとはひたすら生きるしかない。人生はそれですべてなんだ。そう思った」

「他人にどう評価されるかじゃなくて、自分が生きているっていう実感を求める。それでいい、ってことですね」

 

  生きているだけで、上出来なのだ。

  生まれて来ただけで、勝ったも同然なのだ。

 

  誰も愛したことがない寂しさは、誰にも愛されない寂しさよりも寂しいのだろうか。それとも、愛されないほうがずっと寂しいのだろうか。

 

 

誰しも抱えている心の闇や、邪な心持ち。

まったく無関係なようでも、

どこかで繋がっている人間関係。

モノが呼び起こす感情。

 

めぐり、めぐって行き着くのは……

前を見て生きるってこと、かな。

 

 

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