「あおなり道場始末」 葉室麟 双葉社 2016.11.20
豊後、坪内藩の城下町にある青鳴道場。
神妙活殺流の遣い手だった先代の死から早一年、
道場は存亡の危機にあった。
跡を継いだ長男の権平はまだ二十歳と若く、
その昼行燈ぶりから、ついには門人が一人も
いなくなってしまったのである。
米櫃も底をついたある日、「鬼姫」と巷で呼ばれる妹の千草や、神童の誉れ高い弟の勘六に尻を叩かれた権平がようやく重い腰を上げる。
「ちちの仇を捜すために道場破りをいたす」
酔って神社の石段で足を滑らせて亡くなったとされる先代の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。
三人は、道場再興と父の汚名を雪ぐため、まずはその一つ、新当流の柿崎道場に乗り込むーー。
と、まずは帯より。
エンターテインメントとあるように軽いノリ。
葉室さん、こんなのも書きたかったのね~。
「わたしにはわかぢたのです。大切にされたかではない。誰を大切に思っているかなのだと。(略) ひとを大切に思うものは、ひとから大切に思われているのです」
と、権平が言う。
サクサク軽くて、温かい。