呑んべぇ爺さん

呑んべぇ爺さん「音岳」の記録とつぶやき

御嶽山の偵察2

2006年10月08日 | 中央アルプス等

一晩中強風・降雪が続いていて寒かった。夜中に寒さで何度も目覚めて、積極的に身震いして筋肉の体温を上げて再び眠るのを繰り返す。朝テントから出ると、小屋内に雪が吹き込んでいた。

積雪3cm程度で、小屋内気温は-2℃。テントの外に出しておいたザックにつけていたプラティパスの吸引チューブも凍っており、濡れたタオルも凍っている。小屋の扉を開けると銀世界にホワイトアウトの世界だ。(視界100m程あるので、本当はこの程度ではホワイトアウトとは言わないかも知れないが、こう呼んでおく)
【今朝の小屋前】

取り敢えず暖かい朝食を食べて、荷物を片付けてから出発準備が出来たのが7時前だが、相変わらず強風とホワイトアウトは変わらない。今回はせめて剣が峰までは行こうと思っていたが、ホワイトアウトの中でだだっ広い賽の河原を進むのは止めておいた方が良さそうだ。ラジオの天気予報を聞くと飛騨地方は大雨警報も出ているようだし、天気が回復するのは午後になってからのようだ。
【今朝の小屋】

直ぐの出発はやめて9時頃まで様子を見ることにする。比較的早くホワイトアウトが消えれば剣が峰を往復することにして、消えなければ時間的にもリミットになるので来た道で五の池小屋の方面に引き返す事にする。ラジオで北アルプスの奥穂や白馬岳でも、この強風と吹雪で遭難者や死者が出ているようだ。低気圧も発達しているようだ。無理せず落ち着いて判断しよう。
【昨日】
【今朝】

独り暇なので、ここまでの分の日記をザウルスにつける。(帰宅後調べると、出発時990HPだった気圧が、昨夜21時には966HPと急激に発達して台風並みだったようだ)。9時になってもホワイトアウトは変わらず、風は連続的な強風が、次第に断続した強風に変わって来たようだ。少しは歩き易くなって来たので空身で剣が峰方面に偵察に出る。周囲の地形は全く判らず、強風で真っ直ぐ進めないしストックさえ持っていない。強い息の時は対風姿勢を取らないと吹き飛ばされそうだし、雪が目に当たって痛い。ゴーグルも持ってきていない。稜線に出れば危険だと判断して諦めてすぐ引き返す。後はザックを持って「五の池小屋」方面に引き返すだけだ。

「摩利支天山」の陰になる帰り道は、来る時より氷が発達しており、

滑りやすいので注意しながら進む。懸念していた途中の「三の池」への分岐
【「三の池」への分岐点】
【標識も氷に覆われている】
の先で、一枚岩がべっとり凍りが着いていてアイゼンが無いと厳しいポイントが現れる。アイゼンは持参しておらず、仕方なく岩の下をトラバースする方法を取る事にするが、ジャンプする必要がある。凍っていなければ何でもない所で、それ程緊張する場面でもないが、ザックの重さで振られないよう、まず、ザックを先に放り投げてから、空身で飛んで何とか脱出できた。後は風に気をつけるだけだ。

「五の池小屋」が見えるポイントでこちらに向かっている1人の姿が見える。「五の池小屋」への最後の所が吹きさらしの強風ポイントで、対風姿勢を取りながら、風の息を見計らって進む。向かって来た人は引き返した。強風で諦めたのだろう。「五の池小屋」に入って様子を見ると大勢の人が出発準備をしている所だった。色々聞かれて情報提供をしてから直ぐ出発した。

下り始めて直ぐ「風で引き返した人」を追い越す。森林限界を通過すれば風は一気に無くなり、気楽に下るだけだ。下りは、持ってきた目印テープを付けながら下る予定であったが、充実感が無く、その気にならず、とぼとぼ下る。行動食の乾燥バナナを食べても腹が減ってくるので、作っておいたonishifoodsの「アルファ米 五目ご飯」を途中の「賽の河原の避難小屋」で食べる。アルファ米はこの「五目ご飯」と「赤飯」が一番ましだ。


「賽の河原の避難小屋」を過ぎると雪は殆ど消えている。下りの途中で数組のパーティに出会う。明日は天気は良くなるだろうから、彼らが正解だろう。濁河温泉に近付いた所で「賽の河原の避難小屋」で再び追い越されたと思われる「風で引き返した人」が話しており、登ってくる人に上の状況を説明しているようで、「そんなに大変な状況だったのですか」と登ってきた人が言っているのが聞こえたので、「恐らく風の事を言っていたのだろうな」と思いながら通過する。

濁河温泉に着いてから町営露天風呂を捜しながら下るが見つけられなかった。ガソリンは滋賀のセルフの安いところで129円/リットルだった。ゆっくり帰ったので帰宅は午前1時を過ぎていた。



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