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千早振る(PART 1 OF 3)

2017-01-04 11:26:20 | 日本人・日本文化・文学論・日本語

 

千早振る(PART 1 OF 3)

 


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デンマンさん。。。 見かけによらず“青春マンガ”にハマッているのでござ~ますかァ?


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。。。ん? 青春マンガァ~?

だってぇ~、青春マンガを映画化した作品の予告編を冒頭に貼り出しているではありませんかァ!

いや。。。 僕は青春マンガには興味がありません。。。

でも。。。、でも。。。、映画は見たのでござ~ますかァ~?

いや。。。 バンクーバー市立図書館には、そのDVDがないので観てません。。。

じゃあ、どうして“千早振る”というタイトルを付けて映画の予告編まで貼り出したのですかァ~?

あのねぇ~、バンクーバー市立図書館で借りていた本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのですよ。。。


千早振る


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先生の異名を持つ岩田の隠居が茶を飲んでいると、なじみの八五郎が訪ねてくる。

娘に小倉百人一首の在原業平の歌の意味を聞かれて答えられなかったため、隠居のものを訪ねてきたという。

隠居も実はその「千早振る 神代(かみよ)もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」という歌の意味を知らなかった。

しかし、知らぬというは沽券(こけん)にかかわると考え、即興で苦し紛れの解説を始めた。

竜田川というのは一見、川の名前だと思うだろうが、実は昔人気を博した相撲取りだ。
何とか三役に上がりたいと女断ちをして稽古に励んだ竜田川は、ついに大関にまで昇進する。

ある日、吉原に遊びに行った際、“千早”という花魁(おいらん)に一目惚れしてしまう。
ところが、千早は相撲取りが嫌いで振られてしまう。

振られた竜田川は、妹の“神代”にいい寄るが、こちらも「姐(ねえ)さんが嫌なものは、わっちも嫌でありんす」と、いうことをきかない。

このことで、成績不振となった竜田川は力士を廃業し、故郷に帰って実家の家業である豆腐屋を継いだ。

それから数年後、ある秋の夕暮れ時、竜田川の店の前に一人の女物乞(ものご)いが現れる。
「2,3日、一飯も口にいたしておりません。 おからを分けてくれませんか」といわれ、喜んであげようと思い、大きな手いっぱいにおからを握って差し出した竜田川。

しかし、なんとその物乞いは、千早太夫の成れの果てだった。
「お前のせいで、俺は大関の地位を棒に振ったんだぞ」と激怒した竜田川は、おからを地面に叩きつけ、千早を思い切り突き飛ばした。
千早は井戸のそばに倒れ込み、こうなったのも自分が悪いと井戸に飛び込み入水自殺を遂げた。

八五郎は「大関ともあろうものが、失恋したくらいで廃業しますか? いくらなんでも花魁が物乞いにまで落ちぶれますか?」などと、隠居の解説に首をひねり通しだが、隠居は何とか強引に納得させた。

やれ安心と思ったところに八五郎が、「千早振る 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくる、まではわかりましたが、最後の“とは”は何ですか?」と突っ込んだ。
「そんな半端なのは負けときなよ」
「いいえ、負かりません」

とっさの機転でご隠居はこう答えた。
「千早は源氏名で、“とは”っていうのは彼女の本名だ」


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(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




52-53ページ 『落語を聞くおう!』
監修: 林家木久扇
2010年10月1日 初版発行
発行所: 株式会社三才ブックス




あらっ。。。 落語の本ではありませんかァ~?



そうです。。。 落語の本ではいけませんかァ。。。

せめて、“千早振る”が出てくる百人一首の本か。。。 あるいは在原業平の歌が出てくるのですから、『古今集』の本を読んで欲しいですわァ~。。。

僕は、そういう難しい本は性分に合わないのですよ。。。

でも。。。、でも。。。、あたくしを呼び出して源氏物語の記事をたくさん書いているではござ~ませんかア!

あのねぇ~、実は、僕は古典は苦手なのですよ。。。 でもねぇ~、落語は子供の頃から好きなんです。。。 だから、上の落語は、おそらく少なくとも5回ぐらいは聞いているのですよ。。。 古今亭志ん生、柳家こさん、柳家小三治、桂歌丸、。。。 といった噺家の話を聴いたことがある。。。

デンマンさんは百人一首はやらないのですか?

やらない。。。 面白いと思わない。。。

。。。で、どういうわけで百人一首に出てくる和歌を取り上げる気になったのですか?

あのねぇ~、お恥ずかしいことなんだけれど、“千早振る”の歌は、落語に出てくる意味しか知らないのですよ。。。

あらっ。。。 マジで。。。? 百人一首に出てくる歌の意味を知らないのでござ~ますかァ~?

そのように、中学校しか出てない男を見るうよな さげすみの目つきで僕を見つめないでくださいよう! グラドルに夢中になる現代の青少年のミーちゃん、ハーちゃんの95%は百人一首に出てくる“千早振る”の歌の意味はもちろん、落語に出てくる“千早振る”の意味も知らないと思いますよ。。。 この記事を読んでいる95%のネット市民も本当の意味を知らないと思います。

でも。。。、でも。。。、デンマンさんともあろうお方が百人一首に出てくる“千早振る”の歌の意味が解らないなんてぇ~。。。

これでも、僕は日本の古典について少しは知識があると自負しているのです。。。 でもねぇ~、“千早振る”の歌には、これまで全く興味が起こらなかった。。。 うへへへへへへ。。。

笑っている場合ではござ~ませんありませんわァ~。。。 でも。。。、でも。。。、もしかして、この記事を書くために、わざと知らない振りをしているのではありませんかァ~?

いや。。。 僕はマジで知らないのですよ。。。 卑弥子さんは知っているのでしょうねぇ~?

こう見えても、あたくしは京都の女子大学で腐女子たちに「日本文化と源氏物語」を講義している橘卑弥子・准教授でござ~ますわァ~。。。 『源氏物語』や『古今集』は、あたくしにとっては裏庭のようなものでござ~ますわァ~。

なるほど、だったらこの際、解り易く本当の意味を教えていただけますかァ~?

デンマンさんにそのように言われたら、嫌とは申せませんわァ~。。。 次のような意味でござ~ますう。




 

千早(ちはや)ふる

神代(かみよ)もきかず

竜田川

からくれなゐに

水くくるとは


 

在原業平朝臣(17番) 『古今集』秋・294

 



 

【現代語訳】

さまざまな不思議なことが

起こっていたという神代の昔でさえも、

こんなことは聞いたことがない。

竜田川が一面に紅葉を浮かべて

真っ赤な紅色に水をしぼり染めに

しているとは……


(chihaya01.jpg+chihaya05.jpg)



なるほどォ~。。。 こういう意味だったのですかァ~。。。



デンマンさん。。。、少しでも古典に関心がある、と言うならば、この程度のことは常識として心得ておいてくださいなァ~。。。

分かりました。。。 でもねぇ~、どうしてこの歌が面白くないのか、その理由がわかりましたよ。。。

なぜ、この格調高い歌が面白くないのでござ~ますか?

あのねぇ~、例えば、“朝顔に つるべ取られて もらい水”という 加賀千代女の有名な俳句があるでしょう! この俳句は 多くの人が知っていると思うのですよ。。。 なぜか?

なぜでござ~ますか?

なぜならば、一度意味を聞いたら忘れがたい人間ドラマが句の中に秘められているからですよ。



 

朝顔に
 

つるべ取られて
 

もらい水


 



 

井戸で水を汲もうとしたら、

朝顔が釣瓶の所に

つるを巻きつけていた。

朝顔を千切って

水を汲んでも良いのだが、

それは可哀相なので、

隣の家の人に水を貰いにいった。

 


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僕ははっきり言って、“千早振る”の和歌つまらないと思いますよ。。。 なぜなら、そこには人間ドラマがないからですよ。。。 在原業平という人物はドラマが人間の皮をかぶったような人物ですよ。。。 その人が詠んだ歌にしては とてもつまらないと僕は思いますねぇ~。。。 だから、僕には、落語で知られている馬鹿バカしいけれど、とても人間的なドラマが感じられる意味しか記憶にないのだと思いますよ。。。 つまり、文学的に解釈されている意味よりも、落語の解釈の方がドラマチックで、小説か?映画?になるような 面白い解釈です。。。



でも、落語の解釈ならば、『古今集』には載らないのでござ~ますわァ。。。

確かに、時代が違いますからねぇ~。。。

つまり、この事をお話しするために わざわざ“千早振る”というタイトルにしたのでござ~ますか?

もちろん、それだけではありません。。。 実は、かなり以前にレンゲさんと在原業平と斎宮(いつきのみや)について語り合ったことがあるのですよ。。。 在原業平らしい とてもドラマチックな話なのですよ。。。

つまり、その二人のロマンスは、上の“千早振る”の歌よりも、かなり衝撃的なのでござ~ますか?

もちろんですよ。。。 だからこそ、僕はすぐに思い出したわけです。

マジで。。。?

このような時に思わせぶりなことを言って卑弥子さんを強引に僕の話に引きづり込むようなことはしませんよ。。。

マジで衝撃的なロマンスなのでござ~ますか?

僕はウソと卑弥子さんの尻は突きません。。。 (モナリザの微笑)

そのような下卑た事を言ってないで、その衝撃的なロマンスを話してくださいましなァ~。。。

じゃあ、まず次のエピソードを読んでみてください。


 (すぐ下のページへ続く)



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