◇レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで(2008年 アメリカ、イギリス 119分)
原題 Revolutionary Road
staff 原作/リチャード・イエーツ『家族の終わりに』
監督/サム・メンデス 脚色/ジャスティン・ヘイス
撮影/ロジャー・ディーキンス 視覚効果/ランドール・バルスマイヤー
美術/クリスティ・ズィー 衣装/アルバート・ウォルスキー
音楽/トーマス・ニューマン 音楽監修/ランドール・ポスター
cast レオナルド・ディカプリオ ケイト・ウィンスレット キャシー・ベイツ
◇革命家の住まない道
革命家であるということは、俗物であることを棄て去るってことだ。
でも、普通の人生を送ってるかぎり、なかなか革命家にはなれない。
ちなみに、ここでいう革命ってのは、
自分の好きなように、自由に生きていく人間のことをいう。
もっとも、一般的な現代社会において、
それも、まじめに働いてさえいれば、
けど、俗物には俗物なりの幸せってもんがある。
ところが、俗物であることに耐えられず、
いつも、俗物であることから脱しようともがきつづける人もいる。
ケイト・ウィンスレットがそうだ。
とうにレオナルド・ディカプリオは自分の夢を棄てて、
会社員であるという束縛も受け入れ、
パリへ羽ばたくという夢を封じ込める要因のひとつになった子供たちを育てようと、
毎日、満員電車に揺られ、おもしろくもない仕事をこなし、
ときには、社内で気に入った子と浮気をするという、
世界中のどこにでも見られる会社員のひとりになっている。
つまり、ケイト・ウィンスレットが現実を受け入れられれば、悲劇は起こらない。
でも、起っちゃうんだね。
おそらく、こういう夫婦も、世間にはときたまあるんだろう。
むつかしいんだけど、
人生はなにが幸せなのかわからない。
自分の夢を追い求めるには、
それなりの犠牲を払わないといけない人間もたしかにいるわけで、
そうした不安に耐えられないとおもった人間は、
ちょっとばかり嫌でも今の仕事をこつこつと続け、
それなりに幸せだとおもえるような人生をまっとうすればいいし、
もしかしたら、そういう人生がいちばん幸せなのかもしれないんだけど、
たぶんディカプリオはそう思おうと歯を食いしばり、
ケイトはそう思いたくないと歯を食いしばった。
悲劇に突入するのは目に見えているわけで、
なかなか正視するのに根性のいる映画だったわ。