◇クリスティーン(1984年 アメリカ、ポーランド 110分)
原題 Christine
staff 原作/スティーヴン・キング『クリスティーン』
監督/ジョン・カーペンター 脚本/ビル・フィリップス
撮影/ドナルド・M・モーガン 特殊撮影/ロイ・アーボギャスト
美術/ダニエル・ロミノ 音楽/ジョン・カーペンター、アラン・ハワース
cast キース・ゴードン アレクサンドラ・ポール アレクサンドラ・ポール
◇真っ赤な58年型プリマス・フューリー
1957年のデトロイトから1972年のカリフォルニアと舞台は変わるんだけど、
そのあたりのこまかな描写はないもので、
アメリカに行ったことのないぼくは、ちょっとばかり残念だったりする。
ま、それはさておき、
昭和60年代、ぼくはスティーヴン・キングに狂ってた。
本を読まないぼくにしてはものすごく珍しいことに、
ともかくむさぼるようにして読んだ。
どれもおもしろかったけど、この『クリスティーン』も興奮した。
すげーな、キング、とおもった。
どれも引っ越しのどさくさで無くなり、もう一冊も残ってないけど、
でも初期のキングはぼくにとって鮮烈だった。
で、この作品なんだけど、
ちょっと予算が足りないかもねっていう印象は濃い。
けど、それがいいんだ。
CGを使ってなめらかな再生をさせるよりも、
廃車になったものも含めて5台のプリマスを用意して、
フィルムの逆回しっていう古典的な技術を駆使してる分、
かえって質感が出て、リアルだ。
人間は、妙な幸福感を得ると自信が生まれる。
クリスティーンという彼女(アメリカ人はほんと物に名前をつけるね)を得、
その魔力によるものかもしれないんだけど、
ともかくポンコツを再生させたキース・ゴードンは圧倒的な自信をもつ。
フューリーというローマ神話の女神フリアイに由来するこの車は、
「止まない者」「復讐の殺戮者」「嫉妬する者」の名のとおり、
凄まじい恐怖をもたらすんだけど、
それと並行して、キースの人格変貌がメインになる。
まあ、映像にしても音楽にしても、
もうすこしマニアックなこだわりがあってもいいとはおもうけど、
ぼくなりに愉しめた映画ではあったかな~。