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KT

2013年11月24日 20時55分00秒 | 邦画2002年

 ◇KT(2002年 日本、韓国 138分)

 staff 原作/中薗英助『拉致 知られざる金大中事件』

     監督/阪本順治 脚色/荒井晴彦 脚本協力/丸内敏治 西田直子

     撮影/笠松則通 美術/原田満生 装飾/大光寺康衣裳/岩崎文男

     音楽/布袋寅泰 主題歌/布袋寅泰『FROZEN MEMORIES』

 cast 佐藤浩市 原田芳雄 筒井道隆 香川照之 柄本明 光石研 麿赤兒 江波杏子

 

 ◇1973年8月8日、金大中事件

 そのとき、ぼくは中学生だった。

 なにがなんだかまるでわけがわからない事件で、

 愛知県の田舎に住んでいたから、

 ホテルグランドパレスっていうホテルがどこにあるのかもわからなかったし、

 KCIAこと韓国中央情報部なる組織があるなんてことは全然知らなかった。

 ただ、とんでもない事件が起きたってことだけはなんとなくわかった。

 でも、その後、ぷっつりと情報は途切れ、

 金大中という名前だけが、やけに印象深いまま、記憶に残った。

 その後、なんだかんだと見たり聞いたりしてる内に、

 おおまかに事件の概要はわかったけど、それが映画になるとはおもわなかった。

 もっとも、

 映画の中では、

 事件に関与した少なくない日本人をすべて出すわけにもいかなかったろうし、

 全体的にあいまいさも残したままエンドマークになってる。

 興味深く観たのは、筒井道隆だ。

 帰化して、母国の言葉も喋れずに過ごしてきた彼にとって、

 韓国の情勢は、知っていなくちゃいけないだろうけどよく知らない世界で、

 そんな若者が事件に巻き込まれるわけだから、

 できれば、この若者を中心に描いてほしかった気がしないでもない。

 そうすれば、

 事件をまるで知らない観客の目線と合致するわけで、

 おおまかなことは知っていても事件の核心や全貌が完全にはわかっていないという、

 駒のひとつにすぎない自衛官たちや新聞記者らの目線で描かれるよりも、

 ぼくみたいな素人にはわかりやすかったかもしれない。

 そうじゃないと、

 三島由紀夫のことが大好きで、その思想に傾倒していた自衛官が、

 なんでKCIAに協力するのかいまひとつ納得できないんだもん。

 ま、それはそれとして、

 布袋寅泰の主題曲『FROZEN MEMORIES』はよかった。

 短い主旋律が繰り返し奏でられるのは、

 その昔『渚の白い家』でかまやつひろしが音楽を担当したときみたいに、

 なんだか妙な酩酊状態になり、サスペンスの盛り上がりに共鳴できる。

 この音楽がないと、かなりきつかったかもしれないわ。


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