◎アザーズ(2001年 アメリカ、スペイン、フランス 104分)
英題/The Others
西題/Los Otros
監督・脚本・音楽/アレハンドロ・アメナーバル
出演/ニコール・キッドマン フィオヌラ・フラナガン クリストファー・エクルストン
◎1945年、チャネル諸島ジャージー島
出征した夫を待つ日光過敏症の夫人とその子供という設定は良好。
だけど、落ちは途中からありありと見えてくる。とはいえ、そこに到るまでけっこう楽しめる。なんていうふうに書いてると、自分でも内容を忘れちゃいそうだ。
ぼくは、ネタバレという言葉が嫌いだ。
下品だからというのではなく、いかにも業界用語っぽい雰囲気を漂わせ、それを使うことがなんだかカッコいいようにおもってる風潮が、嫌いなのかもしれない。なんでそんなことをいうかというと、『シックスセンス』と同じように、ネタバレをいやがる映画の構成だからなんだけどね。
ゴシック調の雰囲気はとってもよく、神経過敏なキッドマンの演技はいつもどおりとはいえ嫌いじゃない。
ただ、映画の中の時の流れが気になって仕方がない。作品中の時は、アザーズ(つまりは、ほんとに棲んでる人達ね)の時間と同じはずだ。キッドマンたち家族とその使用人はまったく時代が異なるから、家族たちの時と、使用人たちの時は、どちらも過ぎ去った時でしかない。
であれば、自分たちが死んだ前後については忘れていたとしても、死んでから現在に至るまでの時は厳然として存在しているはずで、そうした時が経つ内に、自分たちが死んでいることは承知していないんだろうか?
引越してきた現実の生者(アザーズ)が去ってから、キッドマンたちはどんな気分で過ごすんだろう。またふたたび自分たちが死んでしまっていることを忘れ、あたらしく引っ越してきた生者(アザーズ)たちを、キッドマンから観たアザーズ(幽霊)だとおもいこみ、やっぱり絶叫しながら正体をたしかめようとするんだろうか?
となると、キッドマンたちは永遠に同じことを繰り返す地縛霊になっちゃわない?
映画上の時の流れからすれば、キッドマンたちの現在の時も同じであることが望ましいし、そうでないと物語にならないのはわかるんだけど、どうも、納得のゆかない世界観になってるような気がして仕方がないんだよな~。
だからといって決してつまらなくはない。どっちかといったらおもしろい映画だとおもうし、ぼくはこういう映画の愛好家だ。
でもな~時の流れがな~。