狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

欧米に翻弄されながらもトルコの内に維持する誇り・・・戦後日本との類似

2016-10-16 08:27:33 | 中東
 アメリカ・NATOに翻弄されるトルコ、それは恰も戦後の日本の様である。日本もロシアへの接近を邪魔されてきた。ヨーロッパ、ロシア、中東の中間に位置し、現在は難民・移民の通過地ともなっているトルコは、NATOにとってのロシアに対する安全保障上の要である。しかし一方では、トルコは希望してもEU(ヨーロッパ連合)に加盟する事が出来なかった。
 そしてトルコはNATOに利用され、また中東の破壊と新秩序構築の為に、IS(イスラム国)とクルド国家樹立の為に、欧米、イスラエルによって背後で操作・支援されて来た
 トルコは石油密輸等でISを支援し、シリアに於いては反政府勢力(反体制派)を支援して来た。NATO(北大西洋条約機構)に加盟し米国の肩を持つ為に、昨年(2015年)11月24日にロシア機撃墜を行った。
 しかし、事前にロシア機の付近の通行を米国に知らせていたにもかかわらず領空侵犯として撃墜したこの事件を、トルコ・エルドアン大統領はトルコ軍の犯行と認めずISの犯行と当初は唱えていた。しかし本年(2016年)8月9日のロシア訪問時に、エルドアン大統領は全面的に認め謝罪した。
 トルコはかつてオスマン帝国として広大な領土を保有したが、17世紀末以降から徐々に領土が縮小され、第一次世界大戦で敗北した結果ほぼアナトリアのみとなり、中東で最初の宗教分離された世俗的国家であるトルコ共和国となった。トルコはかつてオスマン帝国として君臨した故のプライドを持っている
 トルコの国是はイスラム教で有るために、EUに加盟する事が出来なかったと言う。トルコは共和制であるが、長い間、首相と軍の参謀総長が同格であり、政府の完全な軍の制御・抑制が出来なかった。エルドアン大統領は憲法改正等で政治優位に変えてきた。更に今回のクーデターをきっかけに、警察官や県知事8,777人を解任・停職処分、法務省職員2,745人の解任、財務省職員1,500人の解任、情報関係・首相府職員系357人を解任、テレビ・ラジオ24局の放送免許を剥奪し、大統領の権限を強めようとしている
 しかし本年6月27日に、トルコは天然ガスの確保や農産物輸出、自国の観光産業振興等の為にロシアと和解した事が明らかとなった。そしてその直後の6月28日夜(現地時間)、トルコで空港テロが起こされ、その実行犯はISに所属するチェチェン人が疑われている。
 更に7月15日夜(現地時間)、トルコで軍の一部がクーデターを起こし政権側は鎮圧したが、そのクーデターの背後にイスラム教の指導者で米国亡命にして政権と敵対するギュレン師とその支持者の存在を、トルコ政府は断定している。ギュレン師はトルコ軍の改革を目論んでいたとの事である。また、イラン情報機関が掴んだそのクーデターの事前情報を、ロシア経由でエルドアン大統領は先に入手していたとの事である。8月9日のロシア訪問は、その御礼も兼ねていたとの事である。ロシアにとっても、トルコは欧州や中東に対しての安全保障上の要である。
 そのクーデターを起こした反乱勢力を政権側が鎮圧した事に対して、欧米はNATOとしてその協力をするどころか却ってトルコ政府の弾圧を批判した。一方、ロシアはトルコ政権を支持した。
 そのクーデターに先立つ本年6月14日にNATOは、ロシアに対する防衛の為として、東欧のバルト3国とポーランドに合計4千人規模となる4個大隊を配置する事に合意している。
 トルコとロシアの溝が埋まり近づいた様に見えるが、その後8月24日早朝(現地時間)、米国はISからトルコを防衛する為に団結するとの声明の下、トルコ軍は国境付近のシリアに地上侵攻し、米国の支援する反体制派の戦闘員が同行した。それまでもトルコはシリアへの越境砲撃を行っていたが、シリア外務省は、「露骨な主権侵害だ」とトルコを非難した。トルコはシリア国境付近のクルド人勢力の排除も目的としている。そのクルド人は主にイラン・イラク・シリア・トルコに1,500万人が住むが、イスラエルはクルド人の自治・独立、クルド国家樹立を支持している。
 そして、シリア政権側をロシアとイランが支援し、反政府勢力を米国・サウジアラビア・イスラエルが支援している。

 本ブログ過去の関連記事
  ・2015/11/29付:「ISISを支援するトルコはイルミナティのWW3と世界統一政府計画の片棒を担ぎロシア戦闘機撃墜」

 参考文献
  ・2016/09(No.402)号・国際時事情報誌エノク(著者:宇野正美氏、出版社:(株)エノク出版、出版日:2016/09/01):「ついに終末期か、『ヨーロッパ合衆国の夢』が崩れた ■旧約聖書の大預言、トルコ軍事クーデター未遂事件のゆくえ」 ・・・・・・【下画像】
  ・2015/12/12付・神戸新聞朝刊:「シリアの石油 依然トルコへ ロシア、密輸を指摘」
  ・2016/06/15付・神戸新聞朝刊:「NATO 東欧に4個大隊 対ロシア 米英独主導で配置へ」
  ・2016/06/29付・神戸新聞朝刊:「トルコ政権 イスラエルやロシアと和解 天然ガス確保狙い」
  ・2016/06/29付・神戸新聞夕刊:「トルコ空港テロ36人死亡 銃乱射、自爆 147人けが 『イスラム国』犯行か」
  ・2016/07/16付・神戸新聞夕刊:「トルコ 軍の一部反乱 クーデター、制圧か 各地で爆発、42人死亡 強権的な大統領に反発」
  ・2016/07/17付・神戸新聞朝刊:「トルコ『クーデター鎮圧』 政権、将校ら2800人拘束 戦闘で190人超死亡」
  ・2016/07/21付・Sputnik日本:「露外務省:NATOはトルコでのクーデター阻止の代わりに『ロシアの脅威』に取り組んでいた」
  ・2016/08/10付・神戸新聞朝刊:ロシア、トルコ関係修復 爆撃機撃墜後 首脳が初対面」
  ・2016/08/13付・神戸新聞朝刊:「ギュレン師移送要求 トルコ外相 米に関係悪化を警告 『日本に関連15団体、活動禁止を』」
  ・2016/08/21付・世界日報:「クルド人の自治・独立への支持を表明したエルサレム・ポスト紙」
  ・2016/08/25付・神戸新聞夕刊:「トルコ軍 シリア地上侵攻 対『イスラム国」内戦下で初』

 2016/09(No.402)号・国際時事情報誌エノク
2016/09(No.402)号・国際時事情報誌エノク


 関連動画
 

YouTube: ISIS reportedly conducts slave trade via office in Turkey
 

YouTube: "Daesh in Syria get Sarin material via Turkey"
 

YouTube: Chemical agent sarin smuggled from Turkey to ISIS – Turkish MP (EXCLUSIVE)
 

YouTube: Jarablus ‘being cleansed’ of ISIS, Turkey sends more tanks to Syria

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