狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

武士道・自害・切腹に見る日本の伝統的精神性と神道による宗教性、「男系男子」を貫く日本の皇室とユダヤの祭司の血統・・・「驚くほど似ている 日本人とユダヤ人」を読む

2017-05-11 03:10:05 | 歴史・伝統・文化
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 「驚くほど似ている 日本人とユダヤ人」(著者:エリ・コーヘン氏、訳者:青木偉作氏、出版社:中経出版、出版日:2008/02/06)(単行本「大使が書いた日本人とユダヤ人」 ―出版社:中経出版、出版日:2006/08)

 「祭司」の意味を持つ、ヘブライ語の「コヘン」を名字に持つ著者は、地中海沿いの北アフリカ・チュニジアに先祖を持つ、「血統的」ユダヤ人である。若い頃から空手・武道にて心身の修練を重ね、宮本武蔵の著した「五輪書」を読み、正統派ユダヤ教徒として旧約聖書を読む。そして2004年から2007年にかけては、駐日イスラエル大使として日本に駐在された。著者はこれらを通して、日本とユダヤの伝統・文化が非常に似ている事を見抜き、日本に自身と同じ「血統的」ユダヤ人の子孫が存在している事を確信しておられる。その上で、著者は「親日ユダヤ人」である。
 本書は、第7章までの250ページが有る中で、第1・2章の「武士道精神」、「自害、切腹」と言う、日本の伝統的な精神性について述べたものが2/5程を占めており、それを巻頭に持って来ている。また、第3章の「神道とユダヤ教」と言う霊性・宗教性についてのものと併せると3/5程にもなり、著者が古来からの日本精神・大和魂・武士道精神を評価して、その日本の精神性・心性・霊性・宗教性を重視する考えが伺える。
 著者は大使の他、政治家、社長等も務めて来られたが、日本の武道と「武士道」を通じて、人生哲学、生き方、考え方、身の修め方、道徳、陰徳、質素礼節、献身、施し、使命感、責任感等を学び、多大な影響を受けたと述べている。己を克服し、死を恐れず、義の務めとして大切なものを守る為には自分の命も惜しまず犠牲にし、その私心の無い精神の果てに存在する本当の自信、冷静・不動・平安な心、「武士道」「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義・克己」を、心身の鍛錬・集中稽古によって会得された。
 日本の「武士道」をはじめとする精神性に共感するだけで無く、鍛え上げた事によって得た目利き・洞察力を持って、日本の伝統・文化への共感と同時に数々のユダヤとの共通性を見い出されたが、その中でも、日本の天皇・皇室の皇胤(天皇の血統、皇統、皇裔)と、ユダヤの祭司の家系が、共に「男系男子」であると言う重要性を挙げておられる。因みに、現在のイスラエル国家はリベラル的政策の下でユダヤ人とする定義を「宗教的」と「母系」を含める様に変えてしまっているが、本来の伝統的なユダヤ人であるとする定義も「血統的」な「男系」であったのである。創造主である唯一の神の選民である「血統的」ユダヤ人と、古代ユダヤの指導者・預言者モーセの兄アロンの「男系男子」の血統の祭司、その血統を同じくする日本の神道大祭司の皇胤が、この世における「天命」を全うする為に、自身の「世俗的」人権・自由を犠牲にして、国民と「超越者」である神との間に立つ媒介者・祭司となっておられる事が、「男系男子」の根底の意味を成しているのである。
 人それぞれの生命は創造主の持ち物である為に、それを勝手に殺める事は罪となる為に、自殺も勿論、罪となる。しかし、「武士道」における「自害」、「切腹」はその単純で安易な自殺とは異なる。単なる自殺の場合、生命の所有者・創造主に対して罪を犯すだけではなく、不遇・困難な状況から安易に逃れる事や、責任逃れ、使命・運命・天命からの逃避等と、却って卑怯な行為と捉える事が出来る。一方の「武士道」「自害」、「切腹」は、冷静沈着な上で忍耐の末の「やむにやまれぬ」気持ちから、家族・大切な人・民族・国家・伝統・文化・日本精神・魂・誇り・信仰・独自性等を守る為の捧命・自己犠牲・殉死・殉教、責任を取る事、名誉、命懸け、仇討ち等において行われた。それらは単なる自殺とは全く異なるものと捉えられ、旧約聖書を規範に持つ著者もその事を肯定している。例として、大東亜戦争における日本の特攻隊、忠義・清廉で「七生報国」を誓いあった楠木正成・正季兄弟、ユダヤで英雄とされているエリエゼル・マカウィ(B.C.164年)、マッサダ、旧約聖書に登場するユダヤの初代王サウルと士師記のサムソンを挙げる。紀元70年のエルサレム陥落前後、ローマ軍とのユダヤ戦争の末期における、マッサダにおけるユダヤ人の集団自決は、奴隷になって侮辱される事を選ばず、自由戦士として潔く死を選んだ

 吉田松陰
  「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」

 葉隠
  「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」

 新約聖書・ヨハネの福音書12章24・25節
  「まことに、まことに、あなたがたに告げます。一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。
  自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世でそのいのちを憎む者はそれを保って永遠のいのちに至るのです。」

 旧約聖書・箴言24章16節
  「正しい者は七たび倒れても
  また起き上がるからだ。
  悪者はつまずいて滅びる。」
    ・・・楠木正成・正季「七生報国」

 船越義珍氏著「空手道教範」(英文書)より(本書経由)
  「日々感謝し、質素礼節を旨とせよ。しかし、一旦緩急あれば正義のために身を惜しむな

 日本人は無宗教の人たちが多いと一般的には言われているが、著者が客観的に日本を眺めた所、生活習慣、しきたり、儀式、伝統、文化等に宗教性、神道的なものが含まれており、無意識の内にその宗教的、霊的な事を行っていると言う。そして、先祖から潜在意識として、その独自性を受け継いでいると言う。穢れを清めて新年を迎え、古きを葬り蘇生する屠蘇を正月に頂く事、その他、初詣、地鎮祭、節分、七五三等と、伝統的行事神道的要素が根底に流れていると言う。また昔の成人式としての元服は、ユダヤ教と同じ13歳頃に行われていた。日本人には、その神道と武士道とをセットにした、独特の精神性が存在する。
 その神道神社には、ユダヤと共通するものが多く有ると言う。水・酒・塩・米を聖別し、参拝や食事前に手を洗う事(手水舎)や斎戒沐浴は、禊ぎ、清めの行為である事、伊勢神宮、三種の神器、神宮装束、神明造、偶像無き事など。また、諏訪大社守屋山と、7年に1度の御柱祭と、昔行われていた御頭祭の「イサク奉献」(旧約聖書・創世記22章1~14節)と鹿の肉。剣山磐境近くの白人神社と、忌部氏の作る大嘗祭の麁服(あらたえ)と、倭大国魂神社の神紋のメノラー。
 日本とユダヤ共通のものとして、西洋文化に同化せぬ様に排他的に、家族・民族の枠を大事にしてその独自性を守る事、先祖を敬う事、年配者を敬う事、そして、家事・子育てが妻の役割とした夫婦の役割分担を行う事を挙げる。ユダヤ人がディアスポラとなって多民族の中に在った事から、その民族としての固有性・独自性・純粋・純血を守る為に、民族として孤独を守り続けた事と、一方の日本は島国で、大陸・隣国から離れて干渉を受ける事無く、国として個を守れていた事。信仰・民族・国家の三つを一つにして守る事が必要である事を言う。
 ユダヤ人が日本人と異なる点として、疑問・質問・反論・理屈・議論を挙げ、序列を好まず、枠を嫌い、思想の独立を好む。ただ一方で神や律法の宗教上の枠を守り、その内なる葛藤が在ると言う。また、現在のイスラエルが水不足でありながらも農業が自給出来ているどころか、輸出まで出来ている事を述べる。
 日本は地震大国であるが、イスラエルは現在の所は小地震が起こるのみとなっている。しかし、シリア・アフリカ地溝帯の真上に在る事から、ヨルダン渓谷や死海が形成された様に、今後の地殻変動によって大地震が起こる可能性を指摘し、その為の「心の準備」が必要であると言う。
 そして、神の選民であるユダヤ人が、道徳的・信仰的に適った生き方や、「神のメッセージを伝える使命」を自覚して、それを行うべき事を述べる。
 因みにユダヤ教においては、 トーラー(旧約聖書の内のモーセ五書、律法の書)→口伝律法→タルムード(本文:ミシュナー、注解:ゲマラ―)→ハラハーとなるとの事である。

 引用元?(本書経由)
  「『もしあなたが義人であるなら、もしくはあなたが義を求めて生きる人ならば、あなたの信仰はあなたの生きる道となる。・・・・・・(後略)。』」

 旧約聖書・詩篇51章10節
  「神よ、私にきよい心を造り、
  ゆるがない霊を私のうちに新しくしてください。」

 宮本武蔵「五輪書」九箇条(「五輪書・地之巻」より)
  第一に、よこしまになき事をおもふ所
  第二に、道の鍛錬する所
  第三に、諸芸にさはる所
  第四に、諸職の道を知る事
  第五に、物毎の損得をわきまゆる事
  第六に、諸事目利を仕覚ゆる事
  第七に、目に見えぬ所をさとつてしる事
  第八に、わづかなる事にも気を付くる事
  第九に、役にたたぬ事をせざる事

 十戒・・・(旧約聖書・出エジプト記20章3~17節)
  1.「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。」
  2.「あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。……」
  3.「あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。……」
  4.「安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。」
  5.「あなたの父と母を敬え。……」
  6.「殺してはならない。」
  7.「姦淫してはならない。」
  8.「盗んではならない。」
  9.「あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。」
  10.「……すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」

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  ・2012/11/25付:「古事記・天孫降臨、イザヤ・ナギード(イザナギ)」
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  ・2013/07/08付:「日本人のルーツを取り戻す(5)・・・天皇と賎民は共に同じ民族ユダヤ人・・・『天皇家とユダヤ人』を読んで」
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「驚くほど似ている 日本人とユダヤ人」 「驚くほど似ている 日本人とユダヤ人」
   (著者:エリ・コーヘン氏、訳者:青木偉作氏、出版社:中経出版、出版日:2008/02/06)
   (単行本「大使が書いた日本人とユダヤ人」 ―出版社:中経出版、出版日:2006/08)



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