昨日から、福岡県筑紫野市を舞台に始まった『第48期 王位戦』の第4局。
2日目の今日、勝敗が決しましたね。
結局、125手までで、先手番の挑戦者・深浦 康市 八段が羽生 善治 王位を敗って、このシリーズの対戦戦績を3勝1敗とし、タイトル奪取に王手をかけました。
またまたこの両者の対戦戦績が、16勝16敗の「全くの五分」となりました。
深浦八段…凄いです。
この第4局を振り返りますが、本局も、これまで同様、挑戦者の深浦八段が、39手目に▲4五歩と駒をぶつけて仕掛けて「開戦」しましたね。
第3局で羽生王位に星を一つ戻され、嫌な感じはあったかもしれませんが、このシリーズを通じて、深浦八段の一貫した積極策が、結果的に良い方に作用していますよね。
そして、封じ手の58手目ですが…△8八歩でした。
控え室では十分検討された手だったようですね。
小生は平凡に、前例(小生が当日、『六旗の下に』をライブ鑑賞していて、戦局を眺めることができなかった、第78期 棋聖戦 第1局の▲佐藤棋聖 対 △渡辺竜王がその好例)のある△3六歩と予想しましたが…これが、考慮時間をたっぷり使っての封じた意味なのでしょうか。
見事に外しましたが、勉強になりました。
(因みに、西日本新聞社の王位戦のページで、封じ手予想クイズの募集をしていましたが、一番多かったのは、小生が予想した△3六歩でしたね…。正解の△8八歩は、4番目に多かった手です。)
その後の羽生王位の60手目からの△3六歩~△3三桂~△8五歩が狙い筋と思われるのですが、この64手目の△8五歩を見て、小生は、第3局同様、先手陣の銀を端に引かせて、端歩の突き越しから、羽生王位がリードを奪ってペースを掴むように感じました。
それほど、64手目の△8五歩には、唸りましたね…。
ところが…です。
68手目の△1四角までは、羽生王位の構想には入っていたと思います。
先手陣の飛車と、右の金に当たっています。
恐らく、この将棋がいつの間にか逆転したとしたら、深浦八段の放った69手目の▲2五歩からの△同桂→▲3三歩→△同銀→▲4七歩の変化ではないかと思いますね。
ここで、考慮時間の残り時間にあれだけの差があったのも拘わらず、いつの間にか逆転しています。
深浦八段の執念にも似た長考が、この変化を生み、いつしか逆転に繋がったかもしれません。
凄い読みですね…。
ですが、リードは僅かだったと思います。
終盤では、実際に先手玉の頓死筋もあったほどです。
そこで、間違わなかった深浦八段の集中力…これも、本局では羽生王位のそれをも凌駕したのかもしれません。
「戦い方は分かっているつもり。臆することなく戦える相手です」
と、このシリーズ開幕前に堂々と語った自信は、本物ですね。
そして、今日は奇しくも、深浦八段のご出身である、長崎県の『原爆の日』。
長崎県にお住まいや、ご出身の皆様にとっては、1年で一番「重みある1日」だったはずです。
その近くの、同じ九州の福岡県で行われた本局…深浦八段にとっても、非常に感慨深いものがおありだったかもしれません。
素晴らしいですね。この大事な1日に「錦を飾る」ことができたのですから…。
さて、これで羽生王位の防衛に「赤信号」がいよいよ灯ってしまった感がします。
防衛には、3連勝が必要です。
逆に深浦八段は、残り1勝で悲願が成就します。
「がっぷり四つ」から巻き返して、徳俵まで羽生王位を追い込んだ状態なのかもしれないと、小生は思っています。
羽生王位が、次の第5局では、第3局よろしく貫禄を示す形で打開し、星を1つずつ懇切丁寧に戻しながら、結局は大逆転で防衛に成功するでしょうか…。
九州での対局を制し、「九州に、タイトルを…」の初志貫徹よろしく、遂には羽生王位を倒し、本当の意味で「錦を飾る」でしょうか…。
何度も申し上げますが、先の名人戦の最終第7局で、BS2の解説者を担当した深浦八段…。
「名人位は、“選ばれる人がなる”のではなく、“自ら勝ち取りに行くもの”と痛感した」
と、ご自身が語っています。
タイトル奪取に王手をかけましたが、この対局を解説したからこそ、決して気を緩めてはいないと思いますし、内に秘めた闘志の火…さらに燃え盛っているのではないでしょうか。
このシリーズの行方を占う「ターニングポイント」となった第4局を深浦八段が制し、俄然有利となりました。
ですが、まだタイトルの行方が決したわけではありません。
羽生王位の底力は、土壇場で発揮されること必至ですから…。
個人的には、学生の時、サークルの恒例行事で3年連続で訪れていた、神奈川県秦野市の鶴巻温泉…。
ここにある『陣屋』での決戦が、見たい気もします。
今月末の29日と30日に行われる第5局…益々楽しみになりましたね。
2日目の今日、勝敗が決しましたね。
結局、125手までで、先手番の挑戦者・深浦 康市 八段が羽生 善治 王位を敗って、このシリーズの対戦戦績を3勝1敗とし、タイトル奪取に王手をかけました。
またまたこの両者の対戦戦績が、16勝16敗の「全くの五分」となりました。
深浦八段…凄いです。
この第4局を振り返りますが、本局も、これまで同様、挑戦者の深浦八段が、39手目に▲4五歩と駒をぶつけて仕掛けて「開戦」しましたね。
第3局で羽生王位に星を一つ戻され、嫌な感じはあったかもしれませんが、このシリーズを通じて、深浦八段の一貫した積極策が、結果的に良い方に作用していますよね。
そして、封じ手の58手目ですが…△8八歩でした。
控え室では十分検討された手だったようですね。
小生は平凡に、前例(小生が当日、『六旗の下に』をライブ鑑賞していて、戦局を眺めることができなかった、第78期 棋聖戦 第1局の▲佐藤棋聖 対 △渡辺竜王がその好例)のある△3六歩と予想しましたが…これが、考慮時間をたっぷり使っての封じた意味なのでしょうか。
見事に外しましたが、勉強になりました。
(因みに、西日本新聞社の王位戦のページで、封じ手予想クイズの募集をしていましたが、一番多かったのは、小生が予想した△3六歩でしたね…。正解の△8八歩は、4番目に多かった手です。)
その後の羽生王位の60手目からの△3六歩~△3三桂~△8五歩が狙い筋と思われるのですが、この64手目の△8五歩を見て、小生は、第3局同様、先手陣の銀を端に引かせて、端歩の突き越しから、羽生王位がリードを奪ってペースを掴むように感じました。
それほど、64手目の△8五歩には、唸りましたね…。
ところが…です。
68手目の△1四角までは、羽生王位の構想には入っていたと思います。
先手陣の飛車と、右の金に当たっています。
恐らく、この将棋がいつの間にか逆転したとしたら、深浦八段の放った69手目の▲2五歩からの△同桂→▲3三歩→△同銀→▲4七歩の変化ではないかと思いますね。
ここで、考慮時間の残り時間にあれだけの差があったのも拘わらず、いつの間にか逆転しています。
深浦八段の執念にも似た長考が、この変化を生み、いつしか逆転に繋がったかもしれません。
凄い読みですね…。
ですが、リードは僅かだったと思います。
終盤では、実際に先手玉の頓死筋もあったほどです。
そこで、間違わなかった深浦八段の集中力…これも、本局では羽生王位のそれをも凌駕したのかもしれません。
「戦い方は分かっているつもり。臆することなく戦える相手です」
と、このシリーズ開幕前に堂々と語った自信は、本物ですね。
そして、今日は奇しくも、深浦八段のご出身である、長崎県の『原爆の日』。
長崎県にお住まいや、ご出身の皆様にとっては、1年で一番「重みある1日」だったはずです。
その近くの、同じ九州の福岡県で行われた本局…深浦八段にとっても、非常に感慨深いものがおありだったかもしれません。
素晴らしいですね。この大事な1日に「錦を飾る」ことができたのですから…。
さて、これで羽生王位の防衛に「赤信号」がいよいよ灯ってしまった感がします。
防衛には、3連勝が必要です。
逆に深浦八段は、残り1勝で悲願が成就します。
「がっぷり四つ」から巻き返して、徳俵まで羽生王位を追い込んだ状態なのかもしれないと、小生は思っています。
羽生王位が、次の第5局では、第3局よろしく貫禄を示す形で打開し、星を1つずつ懇切丁寧に戻しながら、結局は大逆転で防衛に成功するでしょうか…。
九州での対局を制し、「九州に、タイトルを…」の初志貫徹よろしく、遂には羽生王位を倒し、本当の意味で「錦を飾る」でしょうか…。
何度も申し上げますが、先の名人戦の最終第7局で、BS2の解説者を担当した深浦八段…。
「名人位は、“選ばれる人がなる”のではなく、“自ら勝ち取りに行くもの”と痛感した」
と、ご自身が語っています。
タイトル奪取に王手をかけましたが、この対局を解説したからこそ、決して気を緩めてはいないと思いますし、内に秘めた闘志の火…さらに燃え盛っているのではないでしょうか。
このシリーズの行方を占う「ターニングポイント」となった第4局を深浦八段が制し、俄然有利となりました。
ですが、まだタイトルの行方が決したわけではありません。
羽生王位の底力は、土壇場で発揮されること必至ですから…。
個人的には、学生の時、サークルの恒例行事で3年連続で訪れていた、神奈川県秦野市の鶴巻温泉…。
ここにある『陣屋』での決戦が、見たい気もします。
今月末の29日と30日に行われる第5局…益々楽しみになりましたね。
王位戦は,第4局も手に汗握る熱戦でした。
ご質問のあった本局の形勢判断についてですが,正直私のようなシロートでは手に負いかねる(苦笑)テーマなのですが,出来る範囲でコメントいたします。
本局のように,角換り腰掛け銀の先後同形で先手が51手目に▲26飛車と引く形は,若手棋士の研究によれば現在のところ「先手が指せる」との判断が出ています。
63手目までは前例がある局面で,村山四段の『最新戦法必勝ガイド』でも「先手有利」とされています。羽生王位の64手目の△85歩はおそらく新手で,この手で先手にかなり迫っていると思うのですが,73手目の▲47歩が渋い一手で,私の印象では,先手が微差のリードを保ったままゴールインしたように思えます。
(これは,あくまでシロートの無責任な見解ですので,もっと強い方にお聞きされることをお勧めします。)
終盤になっても決して慌てず着実に後手を追い詰めていった深浦八段の寄せ方は参考になります。
これで3勝1敗となり深浦八段が断然有利になりました。しかし相手はあの羽生三冠ですので,これからの展開がますます面白くなってきました。
***
暦の上では立秋ですが,まだまだ暑い日が続きます。Danchoさんも,無理をなさらずに,お体には十分お気をつけください。
先手の玉には、連続、王手、必死、縛りが続きませんでした。
後手の玉は、連続、王手、必死、縛りが続きました。
同型角換わり腰掛け銀は、先手の攻めを完全に受け切り、その反動で攻めに転じる展開が、後手が勝ちやすい展開です。
今回は、そんな展開ではありませんでした。
『第2図の後,先手も▲25歩,△同桂,▲33歩,△同銀の後,冷静に▲47歩(第3図)として,金取りを未然に防ぐ。』
これも、手順のあやで、先手が完全に受けきっているので、逆転まではいきません。
やはり、先手の深浦八段の優勢だと思います。
今回の形勢判断は、駒の損得より、速度重視の方が比重が高かったので、形勢判断は、読みの力の問題だと思いました。
そういう意味では、形勢判断は難しいかったと思います。
Danchoさんは、羽生王位の方が良いのかな?と思っていました。
ちょうど、64手目の△8五歩のあたりだと思います。
羽生王位が攻めているので、良い感じがします。
しかし、深浦八段の玉が、ぎりぎり余しているので、ただ、羽生王位が単調に攻めていた感じです。
深浦八段の玉に寄りがないので、やはり、深浦八段の優勢だと思います。
そんな、印象を受けました。
大幅なレス遅れを来たし、申し訳ありません。
コメントを拝読して、勉強になりました。
この戦形は、先手が指しやすいということですね。
『先手も▲2五歩,△同桂,▲3三歩,△同銀の後,冷静に▲4七歩として…』
では、確かに後手がしんどいかとしんどいかと思いましたが、64手目の羽生王位が放った△8五歩を見た瞬間に、「逆転か?」と思ったものですから…。
でも、残っている…というか、先手が冷静だったということでしょうか。
返す返す、勉強になりました。
ご教示いただいたお三方に、深謝まで。