Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

渡辺 明 竜王、7連覇達成。/『第23期 竜王戦』第6局

2010-12-16 00:00:01 | 将棋
12月14日、15日の2日間、岐阜県高山市で行われた『第23期 竜王戦』の第6局。

結局、146手まで、後手番の渡辺 明 竜王が、挑戦者の羽生 善治 名人をシリーズ成績4勝2敗で防衛に成功、このタイトルの7連覇を達成しました。

渡辺竜王が4勝2敗で防衛、7連覇達成(読売新聞) - goo ニュース

先ずは、渡辺竜王、防衛と7連覇、おめでとうございます。

敗れた羽生名人…この「竜王戦」のシーズンインから、どうも不調でしたね。
王座戦を防衛したまではとても良かったのに、ちょっと不思議です。

渡辺竜王は、年度始めが調子が悪くても、竜王戦に照準を合わせてベストコンディションに持っていきますね。

多分、この「差」が、今シリーズの全体の流れを構成した様に思います。


先ずは、この第6局から振り返ってみます。

戦型は、角換わり相腰掛け銀で、今シリーズの第4局と同じで、先後も同じ。
渡辺竜王は、後手を持ってもこの戦型を苦手とはしていないため、「歓迎」だったのかもしれません。第4局に負けて恐らく、備えもあったのでしょう。

1日目は、終始「駆け引き」でした。
でも、見ていて「凄いな」とは思っていました。
お互い「負けたくない」という主張合戦の様な…。

先手の羽生名人は、仕掛けて良い局面で仕掛けず、2八の飛車を▲2六(49手目)に進めたかと思えば、▲2九に引いて(51手目)、▲2八(53手目)、▲2七(55手目)と、渡辺竜王に指し手を尋ねているかのように飛車を「歩」の様に使ってから、57手目に▲4五歩と仕掛けました。
ここでは、「千日手」模様でしたが、羽生名人は、後がなく先手だし、「千日手」は「損」と見たのでしょう。それが▲4五歩の仕掛けになった様な気がします。
一方、渡辺竜王は、本局を負けても最終の第7局があるし、しかも、本局の先後は第7局に持ち込まれず、振り駒で決まるから、むしろ歓迎だったのでしょう。

この辺にも、実は「アヤ」があったのかもしれません。

ともかく、羽生名人が仕掛けますが、2日目の午前中の渡辺竜王の9筋からの「端攻め」(74手目△9五歩から)が、良かったのかもしれません。8五に後手の歩がいるのも、先手を持って気持ち悪い気が、私にはしていました。




第1図は、中盤の印象に残った、88手目△4六歩。
これは、▲2四銀,△同歩と、後手が銀を取り返すと、△4七歩成,▲同金,△3八銀の筋が見えて(飛車と金の両取りで、どちらかが取られますね)、後手が良さそうという意味でも、とても良い手だと思いました。
結局、終盤でも、もう一回△4六歩を打って、△4七歩成で「と金」ができたのが大きかったと思います。
そうなると、9筋の攻めは、先手の見た目以上に厳しかった…という事かも知れません。




少し進んで、私が勝手に「決め手」と思っている、終盤(110手目)の△2三玉。
これで、後手玉がかなり安全になったのでしょう。
後手は、この局面では攻め合いに出るより、陣形を整えたのが功を奏したようですね。
この局面、先手玉は堅いですが、端攻めを見せられているので、端から早逃げもできず、震えている様に見えます。一方で、後手玉は薄いですが、充分広く、先手の手駒から、捕まえるのはそう簡単ではなさそうです。
「終盤は、堅さよりも広さ」…これが良い手だったのでしょう。
その後も、自陣の飛車が、2段目の「横」に良く効いていたのも印象的です。


振り返ると、どちらかが悪手を指す様な将棋ではなかったのですが、羽生名人の状態が万全ではなかったのかもしれません。
本局も、いつの間にか悪くなり、序盤から実はそんなに自信がなかったのかもしれませんね。渡辺竜王の受けの強さも、そうさせたのかもしれません。


シリーズ全体を通して見ると、渡辺竜王は、第3局が、敢えて過激な表現を使いますが「悪過ぎ」たので(あんな逆転を許す様では…)、広瀬 章人 王位も指摘した様に、正直「危ない」と思いましたが、羽生名人の万全でないコンディションに助けられ、第5局を先手でしっかり勝てたのが、このシリーズの流れを決定的にしたと思います。
第1局の終盤で、羽生名人がポッキリと折れたのも、印象的でした。

しかし、この7連覇は、羽生名人から2勝、佐藤 康光 九段から2勝、森内 俊之 九段から2勝を含んだものですから、相当価値は高いと思います。

恐らく、以上の3名の棋士が、それぞれ「3度目」は許さないと思っているでしょうから、早くも来年の事を思うと、願わくば今シリーズの「リターンマッチ」が見たいですし、羽生名人が挑戦者でない場合であっても、佐藤(康)九段か、森内九段を挑戦者として迎えるシリーズであって欲しいと、個人的には思います。

それ以外の棋士の方が挑戦者であれば、多分、相当な「長期政権」になりそうな気がしますね。


見る側としては、「クリスマスプレゼント」がなくなってしまったのは残念ですが、必ずしも「渡辺竜王、圧勝」ではなかったし、羽生名人が仮に奪取して「永世七冠達成」でもフルセットだったわけですから、今シリーズを楽しめた事だけは確かです。

来年は、どんな『竜王戦』になるのか…早くも楽しみです。

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