Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

諦めなければ…(将棋編)

2011-04-03 23:59:59 | 将棋
読者の皆様、こんばんは。

管理人のDanchoです。

先ずは、「東日本大震災」で犠牲になられた皆様に対し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
また、被災され、多くのものを失ってしまった皆様、今もなお避難生活を余儀なくされている皆様に対し、謹んでお見舞い申し上げます。

更新した日付は、4月3日としていますが、只今、4月2日、21時25分頃です。

タイトルを「将棋編」としたのは、同じタイトルで「応援団」と絡めて記事を書こうという構想があったからです。

それは、後日(恐らく、来週末)書くことにして、こっちを先にします。

今日の「3時のおやつ」の時間の事です。

明日3日から始まる『第61回 NHK杯将棋トーナメント』の女流棋士枠を争っての対局が、今日放送されたので、テレビ観戦しました。

これを見る前は、どちらが勝っても良いな…という感覚でしたし、それよりも、ネットや将棋関連誌掲載の棋譜では「観戦」した事はあっても、実際に将棋を指している甲斐 智美 女王・女流王位を見た事がなかったので、「将棋を実際に指している、甲斐女流二冠の姿」が見たい…という思いが強くて、観戦していました。

実際に、凄い将棋でした。

これは、将棋を全く知らない読者の皆様にも読んで頂ければ…そう思っています。
(良い記事になるか、「熱いもの」をお届けできるかは、自信がありませんが…。)


対局者は、史上最年少で、女流のタイトルを同時に3つ持つ記録を打ち立てた、「出雲のイナズマ」(実は、昨日の拙稿で紹介した上司の高校の直後輩に当たります。凄いでしょ。)こと、里見 香奈 女流三冠(女流名人・女流王将・倉敷藤花)と、先に述べた、甲斐女流二冠です。

御二人とも、飛車を序盤から横に動かす「振り飛車」党で、先手となった里見女流三冠は、終盤が鋭く、手が良く見えるタイプです(違っていたら、ごめんなさい)。
一方の甲斐女流二冠は、性格や「語り口」がおっとりしていますが、基本的に「攻め」の棋風だとは思います。

この将棋は、先手の「向かい飛車」(初形の後手の「8二」の位置に据えられている飛車と同じ「8筋」に飛車を降ること)で、後手は「三間飛車」(自陣の左から3筋目(先手の「3筋」)に飛車を降ること)の「合い振り飛車」の戦型になり、序盤から後手の甲斐女流二冠が駒をぶつける、激しい将棋となりました。

甲斐女流二冠の棋風は、「激しい攻め」と噂には聞いていましたが、ここまで「激しい」とは、正直思いませんでした。「見た目」とは「正反対」で、そのギャップがとっても「魅力的」でした。

そして、中盤から終盤…。

里見女流三冠が柔軟な指し回しで、ややリードを奪って迎えたのが…



この局面です(画像は、録画したものを再生して、私自身の携帯電話のカメラから撮影したものです。以下全て同じです)。

ここで後手の甲斐女流二冠が、△4四角と指しましたが、この手は一見自陣の5三の位置を守る意味もあって良さそうですが、先手の里見女流三冠が、手持ちに「金」があるので、その金を、▲2五金と打つと、折角飛車を成って「龍」を作ったのに、それが「詰み」になってしまいます。
(将棋は、お互いの「玉」が「詰み」になる(必ず相手に駒を取られる形になる)と、負けのゲームですが、「龍」自体が「詰み」でも、相手に「飛車」として手持ちにされるだけですので、「負け」にはなりません。しかし、この局面で、後手にとって「攻めの拠点」になっているこの「龍」は、取られると、相当不利になります。)

里見女流三冠は、ここで的確に▲2五金と指しました。



この手を「うっかり」していた甲斐女流二冠…がっくりと頭を抱えてしまいました。はっきり「自分の方が、(形勢が)悪い」と気付いてしまったようです。
その後の数手は、手つきが弱々しかったです…。



更に進んで、解説の山崎 隆之 七段も「これは第一感では指せない。凄い!。びっくり!。将棋はこう指すのか!」と賞賛した、後手の2二の角を、里見女流三冠が飛車を成り込んで▲2二飛成と、後手玉に激しく迫る一着を「格好良く」決めました。
これで、「ほぼ先手の勝ち」が見えました。
山崎七段も「角1枚で、寄せられる(玉を詰ませる)という自信があるから指せる手」と解説していた程です。

ところがです…。

甲斐女流二冠も、何とか粘り、手つきも覚束ないのですが、「悪い」ながらも指し続けます。



敗戦濃厚な甲斐女流二冠が、渾身の「勝負手」である△7九金を着手します。
この手で、はっきり良くなった訳ではありませんが、これがきっかけで、「凄い事」になります。
局後、甲斐女流二冠は、「この手から、ちょっとだけ挽回できたかも知れない」と感想を漏らしていましたが、自信はこの時点でもなかったようです。

数手進んで、いよいよ先手の里見女流三冠が、「決め」に出ます。



自陣の8六の角を▲9五角と出て、「王手」(「玉」を「取りますよ」という手の事です)をかけました。

しかし、この手が案外「疑問手」(指し手としては芳しくない手)だったのです。

その後、△8四金▲同 角△同 歩▲8三金と進みました。
後手の甲斐女流二冠の手持ちに「角」が補充されたのは、実は大きかったのです。
解説の山崎七段も指摘していたし、私も指してみたかった手…甲斐女流二冠も、そして里見女流三冠も、実は見えていて、甲斐女流二冠は「差が縮まった」と感想で漏らし、里見女流三冠は「それを指されても(自分が)勝ちだと思った」手が、「炸裂」します。



この後手の△5九角が、実はとっても厳しく、里見女流三冠も、直後に▲6八飛として、飛車を守りに効かせましたが、△6四金と「6四の自分の桂馬」を抜かれて(取られて)、「負けになった」と気付いたそうです。

この△6四金が自陣玉の「詰めろ」(「一手透き」とも言い、放置すれば、次の一手が「詰み」になる手の事です)になっている事に、里見女流三冠は、「終盤力」があるがために気付いてしまったのです。

ほぼ「勝ち」の将棋が、決めに行った一手で、まさかの「負け」に繋がってしまった、「大逆転」が成立した瞬間でした。

見ていた私も、思わず「逆転だ!。凄い、甲斐さん!」と叫んでいました。
まさに「目が覚める大逆転劇」でした。



甲斐女流二冠が、先手の6八の飛車を5九の角で取れば、形勢がはっきり「後手勝ち」になりますが、ちゃんと見えていました。
甲斐女流二冠が、△6八角成を着手する瞬間です。
どっちを応援していた訳ではないけれど、思わず「ガッツポーズ」までしてしまいました。

本当に凄い「大逆転劇」でした。
でもそれは、この両対局者が「高いレベルで競った結果」として誕生したドラマでもあります。



「負け」を悟った里見女流三冠…ポッキリ折れた感じの、弱々しい手つきで、「ノータイム」で▲同 玉と指しました。
解説の山崎七段は、「こんな里見さんの崩れ方は、珍しい」と…。



先程は、甲斐女流二冠が「がっくり」と頭を抱えていたのに、「攻守逆転」がはっきりした、「勝負あり」の画像です。
この後の甲斐女流二冠は、手を間違えませんでした。

130手まで…甲斐女流二冠が、『NHK杯』本戦出場の切符を掴みました。
(本戦では、島 朗 九段と対戦することが決まりました。居飛車の激しい攻めの棋風ですから、「対抗型」にして、解説も上手な島九段から「教えて」頂くと良いかもしれません。)

本当に凄い将棋で、「何かを決める」に相応しい内容でした。


この拙稿で、何が言いたいのか…。

それは、 「最後まで諦めなければ、こういう信じられない逆転もある」という事です。

「東日本大震災」で日本中が暗くなって、なかなか前向きにはなれない状況ですが、諦めなければ、必ず報われる…そういう事なんだと思います。

私も、困難な状況に陥っても、絶対に諦めない…これ、改めて肝に銘じたいと思います。


間違いなく、この対局は、被災され、様々なものを失ってしまって元気を失くしている皆様はもちろん、日本中を元気にしたと思います。

そんな素晴らしい将棋を披露して下さった、勝った甲斐 智美 女王・女流王位と、残念ながら逆転負けを喫しましたが、多くの見せ場を作った里見 香奈 女流三冠の御二人に、感謝したいと思います。

ありがとうございました。

私のこの拙稿では役不足かもしれませんが、「将棋」を通じて、「元気」を皆様にもたらしたとしたら、とっても嬉しいですよね。


読者の皆様、力を合わせて、何としてでも「復興」という二文字を勝ち取るために、頑張りましょう!

(「応援団」絡みでの「諦めない事」…今しばらくお時間下さい。)

では。

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