Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

追悼・宇津井 健 さん/「少女に何が起ったか」最終回でのご活躍

2014-03-14 23:59:59 | 芸能界
2014年3月14日…この日は私のこれからの人生で、決して忘れられない1日になりました…。
未明に伊予灘を震源とした比較的大きな地震が起こったのも、もちろんあります。
しかし、それ以上に、俳優の宇津井 健 さんが逝去されました…。

正直凄くショックです。

「渡る世間は鬼ばかり」では、故・藤岡 琢也 さんの代役として、イメージを崩さずに岡倉 大吉を見事なまでに演じましたし、芸能界きっての乗馬好きで、その技量も図抜けていたと聞いています。
しかし、事実として受け止めなければなりません。
心より、ご冥福をお祈りしたいと思います。

このエントリーは、私が拙ブログを設立して間もない頃、故・高柳 敏夫 名誉九段の道場で指していた程、将棋好きだった石立 鉄男 さんを追悼するシリーズの「初回」のものです。
そのコピー&ペーストにはなります。サルベージした格好となります。正直、芸がないといえばその通りだとは思います。

しかし、今日は、石立さんはもちろんですが、大映テレビのドラマ…その代表たる「赤いシリーズ」でその地位を確固とし、その後もテレビ, 舞台, 映画でもご活躍された宇津井さんを主に偲ぶ意味で、宇津井さんがご出演なさっていた数多くのドラマのうち、私自身が映像として所有している、『少女に何が起ったか』の最終回でのご活躍の様子を、画像引用して紹介したいと思います。(以下、敬称略。文中「だ・である調」に変える。)

大変古い画像ですので、若干お見苦しい点はご容赦ください。


【画像引用】

TBS系列 大映テレビ製作ドラマ 『少女に何が起ったか』 最終回


【ストーリー】


これが、このドラマのタイトル画面。


天才ピアニスト・東 雪彦(風間 杜夫)と血縁関係にあるかどうか不確定な最中、主人公・野川 雪(小泉 今日子)は、東音楽大学の学長で、雪彦の父である東 雪雄(松村 達雄)の屋敷に、「家事手伝い」として住み込んでいる。
そんな雪を含む、大学の特待生制度で入学したピアノが上手な特待生6名が、日本ピアノコンクール本戦を4日後に控え、その中心的存在の雪の優勝を祈願するために、学内の礼拝堂で願掛けをする。


そんな特待生達を『野良猫』と罵る、東家の令嬢・美津子(賀来 千香子)以外は、実力は特待生より下の一般学生(その中に、田辺ゆりこ役の高木 美保がいる)が乱入し、鍔迫り合いとなる。雪も、美津子も「睨み合い」となっている。


体格も体力も美津子より劣る雪は、大学の理事長・東 節子(辺見 マリ)の陰謀で、好きなだけ、ラウンジのピアノを使えることになる。
課題曲である、ベートヴェンのピアノ・ソナタ第23番 F Minor Op.57 『Appassionata(熱情)』の第3楽章「Allegro ma non troppo」は、男性ピアニストでも3時間程度の練習が精一杯なほどの激しい曲で、時間を忘れて練習に没頭すると腱鞘炎を起こし、4日後のコンクール出場は不可能になるのだ。


そうとは知らず、雪は、無鉄砲な性格から、練習に没頭してしまう。


そこに、雪の「化けの皮」をはがそうと、夜中の12時に、石立 鉄男さん扮する刑事が登場。



そして、いつものように雪を徹底的にいじめ、流行語にもなった名台詞を残して去っていく。
その名台詞は…「やい!、この薄汚ねぇシンデレラ。魔法の解ける12時だ!」



東家の中では、雪の唯一の理解者である信之(柳沢 慎吾)が、練習過多による雪の異変に気付き、大学のピアノ課専任助教授・大津 光三(辰巳 琢郎)に連絡を入れる。


大津が急ぎやってきて、雪への叱責に似た助言と介護の甲斐があり、事なきを得る。


コンクール前日、規定のドレスと靴がない特待生達が困っているところへ、大きな荷物と共に、この手紙が添えられていた。なんと、荷物は差出人不明で、人数分の規定のドレスと靴だった。


特待生達は、雪を優勝者に相応しいようにとドレスを選び、試着させる。


そして、コンクール当日。学長から、事実上の一騎打ちである雪と美津子へ檄が飛ぶ。


その控え室に、雪が「東雪」ではない証拠を所有する、雪の父親との疑惑がある謎の男(この役を、宇津井 健 さんが好演)との取引のため、石立さん扮する刑事が仲介として控え室を訪れ、東 久之(長門 裕之)を招く。実はこれが、久之に対する「罠」なのだが…。



久之は、3億円の小切手と引き換えに、雪が「東 雪」でない証拠を手にする。
雪の血液型はAB型で、カルテにはO型…これで偽者と証明できる久之は大喜び。


偽者という、実は「嘘の証拠」を手にした久之は、雪に「偽者」と凄む。


「偽者」と罵られた雪は、絶望感からコンクールを辞退する意向を示すが、大津の必死の説得と情熱に打たれ、これを翻意し、コンクールへの出場を決意する。


大津と特待生達が見守る中、雪は、課題曲のベートヴェンの『熱情』に挑む。己と、美津子に勝つために…。


闘いを終え、控え室に戻った雪を久之は罵倒するが、そこへ先の謎の男・宇津井さんと刑事の石立さんが、「重大な話がある」といって再登場する。

ここからがこのドラマの『大逆転劇』『大どんでん返し』である。このドラマ最大の見どころと言っても過言ではない。



先に久之に3億円の小切手で取引したカルテの一片は、実は巧妙に偽造した「偽物」で、「本物」の方を提示する。そこには血液型がAB型とあり、雪は天才ピアニスト・東 雪彦の実娘と証明される。


久之と小切手で取引したのは、口座がある銀行を「強制捜査」する目的と告げる。


宇津井さんが演じた謎の男は、「東京地方検察庁特捜部検事の鈴木」と本人が明かし、久之が「裏口入学」を斡旋しているという情報を元に、極秘捜査をしていた。
石立さん扮する刑事とは、実は「グル」で、石立さんが雪をいじめることで、久之のガードを甘くしたのだ。


宇津井さん演じる特捜部検事の鈴木は、雪に対し…

「裏口入学の捜査を始めてから、東家の事情を色々調べた。君のお母さん(市毛 良枝)に何度もあって雪彦さんの話を聞いた。そして死に際に、『君(雪)を宜しく頼む』と、お母さんに言われたんだ」

と語る。

雪が「どうして貴方が検事だと私に言ってくれなかったのですか。貴方が実の父親じゃないかと思って、どれだけ苦しんで悩んだか、分かりません」と返した時にも…

「私も辛かった。でも、私が検事だという事が君の口から洩れてしまったら、久之先生は用心して裏口入学の証拠を皆隠してしまう。私の捜査に協力した刑事さん(石立さん)も、苦しかったはずだよ」

そしてこう続けている…

「私も非常に迷った。君(雪)をこんなにも苦しめて良いのかどうかとね。しかし、君は強い子だ。どんなに辛くても苦しくても、我慢した!」

そして、石立さん扮する刑事のミッションが、石立さん本人から雪に告げられ、東家のいじめに対しても、自身のミッションの「犠牲」に耐えたことも含めて、最後は…
「君の頑張りには本当に感心した。この娘は何があっても負けない…素晴らしい娘だ!って」
と、賛辞の言葉を雪に贈っている。


久之は、「裏口入学」の実態が明るみになり、その首謀者として逮捕。
この時の宇津井さん扮する検事・鈴木の台詞は「東 久之、逮捕する!」
この瞬間、美津子もプリンセスの座から転落する。


石立さんのこのドラマの「ラストシーン」。最後の台詞は…
「もう夜中の12時には会えない。ちょっと寂しいが元気でな!…“薄汚ねぇシンデレラ”…いや、“とっても可愛いシンデレラ”」…。
そして、コンクールのドレスは、鈴木が贈ったものであることが、ここで判明する。

その時の宇津井さんの台詞は…

「このロングドレス気に入ったか?」
(「検事さんが私達に贈って下さったのですか?」という雪の問いに対し)
「ああ。君や特待生の皆さんには色々迷惑をかけた。そのお詫びのしるしだ。(雪をチラッと見て…)しかし、良く似合う!。いや、似合って良かった!」


これがこのドラマの宇津井さんの最後の台詞となる。


審査結果は、雪の優勝。名前も「東 雪」に。学長が事務局と交渉して野川姓から東姓に変えるよう要求した結果、本物の「東 雪」として表彰を受ける。特待生達も大喜び。素晴らしいシーンだ。


雪は早速、父母(母は文子(市毛 良枝))の遺影に、父母の願いと夢が叶ったことを報告する。


美津子も素直に敗北を認め、自身は海外留学することを表明。これが、賀来さん扮する美津子の「ラストシーン」。


雪は、本物の「東 雪」になるまで、必死に支え続けた大津と特待生達へ感謝の意を示す。「友達って、素晴らしい」の台詞が泣かせる。


最後は、この笑顔で完結する。小泉 今日子の、女優としてのセンスが大きく評価されたドラマでもある。
その後のテレビドラマへの出演や、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の天野 春子 役でその価値が更に高まったことは、言うまでもない。


蛇足だが、この当時、賀来 千香子さんがいかに「無名」だったかを証明するラストテロップがこれ。ルビが…。



【編集後記】

このドラマの宇津井さんは、主人公の敵としてスパイスを効かせる役の石立さんとは異なり、謎めいた雰囲気を醸し出しながら、主人公を最後まで見守り、励ます「足長おじさん」的存在であった。
昨年4月~9月までNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」でもワンシーンに採用され(私自身は、拙ブログへのアクセス数の急上昇で「そうらしい」という事を知った)、当時の流行語にまでなった名台詞を石立さんが残し、最後の逆転劇までヒールに徹した一方で、宇津井さん扮する「謎の男」が主人公をいつも励ますという図式が、このドラマの中で首尾一貫して描かれ、適度なバランスを保ったことが、このドラマのヒットのもう一つの理由といえる。

正直、宇津井さんは先日までお元気でいらしたので、「不死身」と思っていただけに、享年82歳であっても「若すぎる」印象が払拭できない…。
この「コピペ」「サルベージ」エントリーの、主に宇津井さんの台詞といった加筆点は、全く映像を見ずとも、かなりの精度を持ってスラスラと出てくる程、私にとっては非常に印象深く、宇津井さんの存在感やスケールの大きさを随所に感じる。
「少女に何が起ったか」は、私にとってそんなドラマであった。

もう宇津井さんに会えないかと思うと、痛恨の極みである。

改めて、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

合掌。

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