WBCヘビー級タイトルマッチ
WBC王者ビタリ・クリチコ選手(Vitali Klitschko)にジンバブエ出身の英国人デレック・チゾラ選手(Dereck Chisora)が挑んだヘビー級戦はドイツで行われ、ビタリ選手が12回大差の判定で勝利して王座防衛に成功した一戦でした。
頭を振ってグイグイ出てくるチゾラ選手に対し、独特の触手のように伸びる左フック・アッパーのリードとフットワークとで距離とペースをコントロールしていくビタリ選手。2回からは打ち下ろしの右ストレートやボディ顔面へ散らす右フックなどの右の攻撃を増やしてチゾラ選手の前進を弾き返していきました。
3回にビタリ選手の綺麗に決まった右アッパー、強く入った右ストレートなどがありペースが一方的になるかと思われたものの、ビタリ選手の正確なパンチを食っても全く怯まず出続けるチゾラ選手のプレッシャーがペースを引き寄せかけた試合中盤戦。
前半から飛ばしたためか、ビタリ選手の手数が落ちだした5回あたりからチゾラ選手の思い切りよく叩きつける右フックボディ、そこから返す左フックなどの迫力のある攻撃が徐々に目立っていった流れ。ブロッキングやスウェー、肩や腕を使ったディフェンスなどでチゾラ選手の派手な攻めの多くを無力化させていた王者でしたが、手数が減りホールディングに逃れるような場面も見せます。
とは言うもののビタリ選手に効いたような様子は皆無。動きに疲労は感じさせたものの、それでも危うい気配はほとんどなかった流れだったのもまた事実。
ペースを上げたチゾラ選手の方もやや息が上がってしまった9回以降、再びビタリ選手の正確な左右がペースを奪い返します。最終12回は逆転を狙って強く出たチゾラ選手の左右フック攻撃を何度か貰い、リスクを回避したビタリ選手のホールディングでの対応で、この試合で初めて明白に失ったラウンドでしたが、ビタリ選手の大差での防衛は誰の目にも明らかだった内容でした。
EpixStats: Vitali's Stats Go Down, Chisora Lands at 45%
公式のスコアは119-111、118-110x2の3-0ビタリ。シロート採点117-111ビタリ。
最終回、チゾラ選手のかなり強く見える左右を何度か食っていたビタリ選手。それでも効いた感じには見えなかったのですが、試合終了直後の様子をみると疲労は結構ピークまで達していた?
ビタリ選手の完勝には違いないですが、チゾラ選手の健闘も光った一戦でした。ウラジ対チゾラ、なんてのも見てみたいです。
ビタリ選手は44勝(40KO)2敗。チゾラ選手は15勝(9KO)3敗。
試合後の会見場でヘビー級ボクサー2人が乱闘騒ぎ(AFPBB News)
乱闘騒ぎの英国人ボクサー、チソラに永久追放処分の可能性 (AFPBB News)
ビタリ・クリチコ対トーマス・アダメク(2011/09/10)
ビタリ・クリチコ対オドラニエル・ソリス(2011/03/19)
ビタリ・クリチコ対シャノン・ブリッグス(2010/10/16)
ビタリ・クリチコ対アルバート・ソスノフスキー(2010/05/29)
ビタリ・クリチコ対ケビン・ジョンソン(2009/12/12)
ビタリ・クリチコ対クリス・アレオラ(2009/09/26)
ビタリ・クリチコ対ファン・カルロス・ゴメス(2009/03/21)
サミュエル・ピーター対ビタリ・クリチコ(2008/10/11)
レノックス・ルイス対ビタリ・クリチコ(2003/06/21)
ロバート・ヘレニウス対デレック・チゾラ(2011/12/03)
デレック・チゾラ対タイソン・フューリー(2011/07/23)
ダニー・ウィリアムス対デレック・チソラ(2010/05/15)
デレック・チソラ対カール・ベイカー(2010/02/13)
このブログの人気記事
最新の画像[もっと見る]
対するチゾラもまだキャリアは浅いのに素晴らしいファイトでした。
しかし、それだけに更なる注文をつけたくもなりますねw
今回は大振りが目立ちましたが、ヘレニウス戦のように地味ながらもコンパクトなアッパーやクリンチ離れ際に何気なくだすジャブなどでポイントを意識したゲームメイクが出来ればなおよかったと思います。
昔は硬かった印象でしたが復帰後のビタリはやたら上体が柔軟で、大振りが仮にヒットしても効果は薄かった様に思います。
ただでさえタフなビタリにあれだけクネクネ動かれたらノックアウトするのは不可能な気がしますし、軽くてもいいから小さいパンチをコツコツ当てていくのが最も現実的な攻略法ではないかと感じました。
兄貴も年なので、もうそろそろ体力面で攻略できそうな気もします。ただそこにすがるしかなさそうなところが悲しいですが…。
スウェーをマスターしているビタリにフック系のブローは効果薄でしょうし、伸びる真っ直ぐ系のパンチから入るべきでした。
上の方のビタリのディフェンスが上手くなっているという意見には同意ですし、経験も大きな武器になってると思いますが、
私はビタリはウラジには勝てないと強く感じました。
ビタリがウラジより下、というわけではなく、相性な問題でウラジが明確な勝利をあげるのでは?という気がします。
まあ、実現はないでしょうけどね。
私はチゾラは割といい選手だと思っていますが、ビタリの強打には耐えられないだろうと思っていたのですが…。
ビタリの落城も、もしかしたらあり得るかもしれないと思った一戦でした。ビタリを明白に効かせることの出来る選手はいないかもしれませんが…
ただビタリの衰えや不調ということも考えられるので、チゾラの実力を測る意味でvsウラジが観たいですね。
久しぶりにエキサイティングさを感じさせる試合だった気がします。
只、ビタリ自身も言ってましたが、チソラにもう少しスピードがあれば、と感じました。
しかし計量の時の張り手はネタなのかと思いましたが、
その後の輪をかけて荒ぶった様子を見ると、素だったのだろうか、という思いを抱かずには居られません…笑。
ウラジ戦も良いんですが、ヘイと真の英国紳士対決も良いんじゃないかと…。
どうやらビタリは4Rに左肩の腱を切ってしまっていた様で、数ヶ月の休養が必要だそうで。
右手だけでこんなに強かったんですね。
チゾラはウラジよりも、ヘイと試合したら面白いかも?イギリスで猛烈な盛り上がりを見せるんではないでしょうか。(因縁も出来ましたし)
チゾラはよくやったと思います。ビタリへの張り手、ウラジへの水吹きかけ、ヘイとの乱闘、などキャラ的にも現在のヘビー級で貴重な存在なのかもしれません。
>すとれいと・くーがーさん
ビタリに対して全然臆している様子がなかったのが最も良かった点だと私は感じました。
対ヘイは確かに盛り上がりそうですね。ヘレニウス戦、ビタリ戦と、負けて勝ちを上げた感のあるチゾラですが、つくづくフューリー戦の不甲斐なさが解せない思いです。
>Ike Quartyさん
仰るように、ウラジ相手のほうがまだ可能性があったのかもしれません。
ただブリュースターに負けた時のウラジは完全なる自滅でしたし、あの敗戦から多くを学びそしてその結果としての現在の超安定政権だとも言えるとも感じます。
>Unknownさん
ウラジとビタリ、ボクサーとしての完成度で言えばウラジ、強さで言えばビタリ
というのが私の見方です。
ビタリがやっているのはボクシングとは異質なものにすら感じます。そしてそれにウラジの「ボクシング」が屈してしまうのでは、とも。
まぁ絶対に実現しないでしょうけれど。
>tarouさん
ビタリは試合中に負傷していたそうですし、片腕でここまで明白に勝ったとも言える気もします。
一方で負傷してしまうこと自体が衰え、だとも言えるとも思います。
>たれさん
対ウラジは私も見てみたいと感じました。
ビタリとは違って打たれて脆いところを過去に何度も見せていたウラジですし。
ただウラジの完成されたボクシングを前に全く手も足も出ない、という展開も予想されるところ。
相手あってのボクシング。誰それ相手にどうだったからこの相手にもこう、とは単純に行かないのがボクシングの深みであり面白さの真髄だと思います。
>TITOさん
私もビンタは完全に演出だと思ってました。
んが、試合前のウラジへの行為とかヘイとの乱闘。判定負けが告げられた後のビタリとのやりとりの様子
なんかを見ると、もしかすると本物のいかれ野郎なのか?との疑いも抱かずにはいられません。
とても貴重なキャラだと感じました。
攻撃面でパッとしなかったビタリですけど、防御面ではなかなか凄さを見せてくれた気がします。
インファイトでのチソラの早いフックに対するスウェーの反応や素早さ、肩を使ったブロッキングなんかを見ると、
スタミナ面は次見ないとわからないですけど、ボクサーとしての実力はまだまだ衰えそうもないかと
まあ、それだけチソラにも攻め込むチャンスがあったとも言えますが…