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ベイブット・シュメノフ対バイロン・ミッチェル(2009/05/09)

2009-06-05 18:55:33 | ボクシング
IBAライトヘビー級タイトルマッチ

約1ヶ月前にカザフスタンで行われた興業です。04年五輪代表のカザフスタン人世界ランカー、ベイブット・シュメノフ選手(Beibut Shumenov)が元世界王者のバイロン・ミッチェル選手(Byron Mitchell)に4回TKO勝ちしてIBA王座を獲得した一戦でした。(体格比較)

2007年にプロデビューして以降この日でプロ8戦目のシュメノフ選手ですが、プロ4戦目から12回戦を戦い、元世界王者のモンティル・グリフィン選手(12回判定勝ち)、元世界タイトル挑戦者のエピファニオ・メンドサ選手(10回判定勝ち)、そしてこの日のミッチェル選手への勝利。世界ランキングもWBAで8位、WBOで9位と言う急激な出世ぶりでどんな選手なのか非常に気になっていたのですが、初めて見たこの試合の印象はちょっと微妙なものでした。
当初元世界王者のアレハンドロ・ベリオ選手との試合を予定したシュメノフ選手だったのですがビザの問題でベリオ選手が出場不能となってしまい、急遽ミッチェル選手を代役に立てての試合。
準備期間が全く無く、かつ米国からカザフまでの遠距離の移動などのミッチェル選手の事情は両者の体重からも明らかでした。(LH級タイトルマッチと銘打っているにもかかわらずミッチェル選手の体重は187lbs=LHリミット+12ポンド)
試合が始まっても手数の少ないミッチェル選手に対し左右に動きながら左ジャブ、右ストレート・フックを叩きつけていくシュメノフ選手の動きからは期待したほどの目覚しいものは感じる事が出来ませんでした。
ただシュメノフ選手の逞しいムキムキの上半身が印象的で、計量時の体重で15ポンド近く軽いはずのシュメノフ選手の身体が非常に大きく見えました。
このムキムキの身体から思い切りよく伸ばし叩きつける右が主武器なんでしょうか?
4回にこの右でチャンスを掴んでからの右ストレート・フック、左フックでの連打でスタンディングダウンを奪い、その後の猛攻でのストップ勝利でした。

非常にガードが低く、たまに出すミッチェル選手の右を食っていたのが気になりました。3回ぐらいで息が上がったようにみえたのは気のせいでしょうか?
強気で濃密なマッチメイクを勝ち続け、年内にも世界戦をとの声も出ているシュメノフ選手に、かつてのチュー選手のようなセンセーションを期待してたのですが、ちょっとこの日は期待外れに感じてしまいました。
ですがチュー選手も最初見たときは「アレ?」とか思ったもんですしwもう少しシュメノフ選手の試合を見てみたいです。

シュメノフ選手は8勝(6KO)。ミッチェル選手は27勝(24KO)5敗1分。


Shumenov Obliterates Mitchell(Jim Dower/boxingnews24)




●ミドル級10回戦
ローマン・カルマジン対ルイス・アウグスト・ドス・サントス(2009/05/09)

元世界王者のローマン・カルマジン選手(Roman Karmazin)がブラジルのルイス・アウグスト・ドス・サントス選手(Luiz Augusto Dos Santos)に4回ストップ勝ちしています。(体格比較)

身長・リーチで上回るカルマジン選手が自信満々の様子で左右のフックを振るってサウスポーの相手ドス・サントス選手に迫っていった試合の立ち上がりでしたが、ドスサントス選手の左ストレートをまともに浴びて大きくよろけます。
あわやノックダウンと言う場面でしたが、ドス・サントス選手が全然出なかった事もあってすぐに体勢を整えなおした元王者が以降左ジャブを伸ばしての距離をキープする戦いでペースを掌握し、4回に右フックで効かせてからの左フックボディ連打でブラジル人を倒した場面でタオルが投入されてのストップでした。

カルマジン選手は39勝(25KO)3敗。ドス・サントス選手は24勝(20KO)16敗。

ローマン・カルマジン対アレックス・ブネマ(2008/01/19)
ローマン・カルマジン対アレハンドロ・ガルシア(2007/11/23)



●スーパーライト級8回戦
デマーカス・コーリー対シドニー・シケラ(2009/05/09)

元世界王者のデマーカス・コーリー選手(DeMarcus Corley)がシドニー・シケラ選手(Sidney Siqueira)との8回戦に最終8回ストップ勝ちしています。(体格比較)

06年にウィッター選手に敗れてからの6連敗や、この試合の1ヶ月前にも判定負けを喫したりなど、もう完全に過去の人だと思っていたコーリー選手でしたが、この日のボクシングはなかなか見事でした。上下へ散らす左ストレートリードや内から外から打ち分ける右のジャブ。左ストレートの返しや相手の入りに合わせるカウンターとして様々に使い分ける右フック、左右アッパーなどの多彩でシャープな攻撃を軽快に飛ばしながらペースを終始コントロール。
最終回のフィニッシュも強烈なものでした。接近戦の場面で思い切り振りぬいた右がシケラ選手の顔面を痛烈に捕えると、ブラジル人は立ったまま半失神状態に陥ります。フラフラとロープへもたれ、4番目のロープに腰掛ける状態になってしまった無防備のシケラ選手をコーリー選手の容赦の無い左右フックの追撃が襲った場面でレフェリーが試合を止めています。マーサー対モリソン戦の戦慄を思い出すストップの場面でした。

コーリー選手は34勝(20KO)11敗。この日のボクシングを見る限りここ10戦で3勝7敗との成績が信じられない思いでした。
シケラ選手は12勝(7KO)4敗1分。ガードをしっかりと締めて度々右のパンチを当てていたシケラ選手もそんなに悪い選手には見えませんでした。

デボン・アレキサンダー対デマーカス・コーリー(2008/01/19)
フロイド・メイウェザーJr対デマーカス・コーリー(2004/05/22)


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ベルトが… (Jermaine)
2009-06-06 16:29:46
最初画像から入りましたので、シュメノフ選手の腰に巻かれた黒を基調としたベルトを見て、てっきりWBAのタイトル戦かと思いました。「IBA」なんですね(恥ずかしながら、もう話がついていけません)。シュメノフ選手、私にとってはもちろん未見の選手ですが、カザフの選手もフィジカル的に非常に恵まれていますね(中国も含め、外国選手は競技を始める前の段階で体格的、運動能力的に優位に立っているように感じます)。実力は未知数のようですが、プロボクシング新興国、もしくは弱小と見られる国から存在感のある強い選手が出てくるのは、見ていて新鮮で爽快な感じがします。
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Unknown (管理人)
2009-06-06 18:07:39
>Jermaineさん
この試合ではIBA以外にもWBOアジアパシフィック、WBCアジア、暫定PABAタイトルもかかってたみたいですw
IBAはわりと前からたまに聞く団体ですが、正真正銘のマイナー団体ですね。
過去に行われたIBAタイトルマッチ
http://www.boxrec.com/title_search.php?title=IBA&division=ALL&SUBMIT=Go

カザフと言うとジロフ(http://www.boxrec.com/list_bouts.php?human_id=007121&cat=boxer)が有名ですよね。
あとヘナロやフレイタスとやったアレキサンドルフ(http://www.boxrec.com/list_bouts.php?human_id=003554&cat=boxer)この2名が同国出身の世界王者みたいです。
オリンピックでは前回の北京で金1、銅1。
通算では13個のメダルを獲得しているようです。(金5、銀4、銅4)
96年大会で初めて出場して4大会でこの成績ですから優秀ですよね。金は毎回取ってます。
(全部wikiとboxrec調べです、wikiの国別獲得メダル数では金4、銅3となってるんですが、これは現在廃止されたライトミドル級での獲得メダルをカウントしていないためみたい)

現役のプロ選手ですと、このシュメノフ選手に加えてミドル級のゲナディ・ゴロフキン選手がなかなか良い選手です。
http://blog.goo.ne.jp/daisukebe_2006/e/32b9133e940de9f77860ca7d274a94c9

シュメノフ選手は結構話題になってた選手なので、過剰に期待していた分落胆が大きかったてのもあるのかもしれません。あと、この日のミッチェル選手はちょっと試合を出来るような状態じゃなかったようにも感じました。年内にもエルディに挑戦、てな話も出てるので期待したいです。
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有難うございます! (Jermaine)
2009-06-09 17:24:40
お礼が遅くなりました。
カザフのボクシング事情について大変勉強になりますね。
ヘナロは渡辺雄二を粉砕した「エルナンデス」でしょうか。芸術的なテクニックはもちろん、あの神様のような(笑)重厚な顔立ちが印象的でした。フレイタスはもちろんアセリーノですよね。フレイタスというと、私は「あしたのジョー」のカーロス・リベラがダブってしまいます。劇画から飛び出したような精悍な風貌、圧倒的な強さに、現実にあんなボクサーがいるんだなって唖然としたものです。
すみません、くだらないコメントで。
私のボクシング愛好のレベルがお分かりになるのではないかと思います。
でも、日本のボクシング事情に何度も失望しながらも、やはり常に本物を見たいという思いは消えることなく、くすぶり続けています。
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Unknown (管理人)
2009-06-10 00:40:25
>Jermaineさん
私もJermaineさんのご指摘で興味を持って調べるまではカザフのこと何も知りませんでしたよw
もっといっぱいプロで活躍している選手がいるような印象だったんですが、世界王者は僅か2名と言う事が以外でしたし、五輪での強さってのにも驚きました。
カザフとしての活動の歴史はまだ浅くこの国の持つ本領がプロで発揮されていくのはまだこれから、だとも思えて楽しみです。
フレイタスは本当にイケメンでしたよねぇ。
奥さんだったか婚約者?、その彼女がらみで試合を止めただったかなんかありましたよね。(忘れた・・w)
試合をあっさり投げてしまうようなところも彼の魅力だったと思ってますw

ヘナロは今、癌と戦っているようで心配しています。去年ぐらいまでトップランクの興業とかで解説やったりしてたんですけどねぇ・・
回復を祈っています。
http://ameblo.jp/m-fist/entry-10190164606.html
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Unknown (プクー)
2009-06-10 15:04:40
カザフといえばナザロフもそうですよね。不確定な情報によると今母国でジムやってるとか・・・オリンピックでも活躍が目立ってました。少し東洋が混じってる風貌の選手が多いような気がします。タフネスも印象的です。グレゴリアンはどこでしたっけ?クリチコ兄弟も出身はベラルーシ?とカザフだったような気がします。昔上海に駐在してた時カザフの人が結構いました。陸続きだから意外と交流があるんだとか・・・不思議な地域です。
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Unknown (管理人)
2009-06-10 17:35:19
>プクーさん
boxrecで調べると
ナザロフの国籍はキルギスとなっています。ジムの件については載っていませんでしたが2007年にキルギスの議員に選出されているんですね。
http://www.boxrec.com/media/index.php?title=Human:3205
キルギス人ボクサー
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Kyrgyz_boxers
キルギス人のプロ世界王者はナザロフしかいないようです。
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Kyrgyzstani_World_Champions
キルギス人五輪代表選手
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Kyrgyzstani_Olympians
シュメノフの顔を見て最初はキッド・ダイアモンドと同胞なんだろうと想像しましたが、シュメノフがカザフ、ダイアモンドはキルギスでした。

グレゴリアンは生誕地・国籍ともにウズベキスタンのようです。ただ彼の場合アルメニア系のようです。
アルメニア系ボクサー
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Armenian_Boxers
アルメニア人ボクサー
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Armenian_boxers
同じaremenian boxerとの分類ですが、恐らく系と国籍ってことなんだと・・?
グレゴリアンはアルメニア系には入っているけれど、アルメニア人の方に名前は無いです。
ウズベキ人ボクサー
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Uzbekistani_boxers
ウズベキ人のプロの世界王者はグレゴリアンとチャガエフの2名のみみたいです。
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Uzbekistani_World_Champions
ウズベキスタン五輪代表選手
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Uzbekistani_Olympians
グレゴリアンはソ連代表として五輪に出ていたみたいです。ソ連代表選手
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Soviet_Olympians

アルメニア五輪代表選手
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Armenian_Olympians
アルメニア人プロ世界王者
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Armenian_World_Champions


クリチコ兄弟に関してはboxrecの生誕地ではビタリがキルギス、ウラジがカザフとなっていますが両者共に国籍はウクライナとなっていてこの辺の事情がちと私には掴みきれないです。
ウクライナ人ボクサー
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Ukrainian_boxers
ウクライナ人プロ世界王者はクリチコ兄弟をはじめ、7名いるようです。
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Ukrainian_World_Champions
ウクライナ人五輪代表選手
http://www.boxrec.com/media/index.php/Category:Ukrainian_Olympians
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Unknown (プクー)
2009-06-12 11:19:29
何気なく書いたコメントに対しここまで正確にお答えくださってありがとうございました。ここらへんの地域はどうなっていて言語や民族性などどう違うのか・・・なぞですね。本当にありがとうございました。
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Unknown (管理人)
2009-06-12 18:35:27
>プクーさん
こういうチマチマと調べる作業は全然苦にならなくて、というかむしろ好きでして、聞かれてもないことまでシコシコ調べてしまいました。
今回プクーさん、Jermaineさんに尋ねられて色々と調べた事は本来なら全く興味の無かった事でしたが、聞かれた事で興味が発生し、それを調べる作業は楽しいものでしたのでむしろこちらが感謝したいぐらいです。
あとこれらはwikiとboxrecでの情報なので、あまり信用しすぎるのは禁物かとも思います。

日本語のウィキを見るとナザロフの事は、キルギス共和国カント出身のタジク人のプロボクサー。
と書いてあって、タジク人ってなんぞ?
とかだったりしますw
仰るようにこの辺りの中央アジア(?)諸国の事情ってのは猛勉強してやっと把握できるぐらい複雑なものなんでしょう。ワケワカランです
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Unknown (ふみ)
2009-06-12 22:13:47
カザフスタンは地下からウランとレアメタルがモリモリと出てくるので、当地の独裁者さんのところに日本の国会議員団がしばしば大挙して挨拶回りに行って(もちろんODA付き)、その治世を美辞麗句で褒め称えております。wwwww つまり日本との関係は浅いわけではありません。

この国に限らず中央アジア諸国は、元からいたアジア系(正確には元からいたテュルク系=トルコ系と、征服者であるモンゴル系の混血が進んだ人たち)国民と、入植してきたロシア系国民との潜在的な対立は根深いです。ちなみに前述の独裁者さんはアジア系で当然のようにアジア系しか信用していない模様。

で、件の独裁者さんはスポーツ大好きなのでシュメノフ選手の活躍は大喜びでしょう。過去のカザフ人世界王者はすべてロシア系でしたが、今度は見た目にもアジア系ですしね。また過去には地元の有名プロ自転車選手(こちらはロシア系でしたが)のために、欧州のプロチームを1個買収してプレゼントしたことすらあります。シュメノフ選手がラスベガスと地元を往復して、チャンスが次々与えられているワケがなんとなく見えてくるような気がします。

で、この調子ではカザフスタン初のボクシング世界戦が開催されるか? と思いきや、ジロフが1度だけ地元で防衛戦やってるんですね。あらあら。
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Unknown (ふみ)
2009-06-12 22:46:08
あと、クリチコ兄弟の父親は軍人だという話を見た記憶があるので、各地転勤しているときに生まれただけじゃないですかね(当然当時はソ連軍だったわけですし)。
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