WBCスーパーフェザー級タイトルマッチ
今から31年前にプエルトリコ・バヤモンで行われたスーパーフェザー級戦は、11度目の防衛戦に臨んだ地元の王者アルフレド・エスカレラ選手(Alfredo Escalera)が2階級制覇を目指すニカラグアの貴公子アレクシス・アルゲリョ選手(Alexis Arguello)の挑戦に13回TKO負けに屈した一戦でした。
日本のリングにも馴染みの両強豪がプエルトリコの大観衆の前で激突した大一番でしたが、試合を終始リードしたのは1つ下のクラスから上げてきたアルゲリョ選手の圧倒的な強打でした。
試合のオープニングヒットを奪ったのは地元のエスカレラ選手で、初回開始早々にワイルドに振るって行った右を当てて元フェザー級王者をロープに押し込み地元の大観衆を沸かせます。
しかしピンチの(あるいはピンチに陥りかける)場面では必ず打ち合いを挑み、そして必ず打ち勝つ事で偉大なるキャリアを築いていったアルゲリョ選手。
それはこの日のこの場面でも同じで、強烈な右ストレートや左フックでエスカレラ選手の顔面を大きく跳ね上げペースを奪い返します。2回には出てくる王者に鮮やかに合わせた左フックのカウンターでノックダウンを奪い、以降徐々にプレスを効かせられなくなっていった王者をハードなジャブを中心とする攻めでコントロール。
2回に左目、4回に右目をカットし口から大量の出血にも悩まされていた王者は、7回、8回には強烈な右ストレート左フックでピンチに陥りますが、9回に攻勢を強め、さらに12回には右フックでアルゲリョ選手の右目の下を切り裂いて後退させる見せ場を作るガッツを見せましたが、試合のペースは終始アルゲリョ選手のもので、エスカレラ選手のダメージと疲労が回を追うごとに着実に限界に近づいていた試合。逆襲を見せた12回でしたが、続く13回にアルゲリョ選手の強打を浴びて苦しくなった場面でレフェリーのアーサー・マーカンテ・シニア氏が試合を止めています。(最後は3箇所カットしていたエスカレラ選手の傷をドクターに見せてのストップでした)
この両者は79年2月にイタリアで再びグラブを交えていて、この時は王者のアルゲリョ選手が4回に1度、5回に2度ノックダウンを奪った末に13回に強烈な左フック1発で仕留める勝利を挙げて防衛に成功しています。
計4度ダウンを奪われて最後は痛烈に沈んだエスカレラ選手でしたが、アルゲリョ選手を苦しめる場面を再三演出していて、第一戦以上の熱闘でした。
後傾気味の構えや、大振りしない序盤の戦いでは前戦での反省が見える戦いで、距離を潰してからのアッパーフック攻撃で王者のリズムを大いに乱す実に上手い戦いを見せてくれました。
さらに2度ダウンを奪われた5回は、今なら大半のレフェリーがストップすると感じるほどの深刻なダメージを負ったエスカレラ選手でしたが、ラウンド後半には決死の反撃を見せ、さらに7回には強烈な左フック2発を浴びせてアルゲリョ選手を効かせる等、13回に倒されてしまうまでは一進一退の白熱の打撃戦を展開し元王者の意地を存分に見せつけてくれました。
しかし、この試合でも最後に物を言ったのはアルゲリョ選手のハードパンチでした。エスカレラ選手が強い攻撃を決めて圧し気味の場面でも要所要所で的確に強くヒットさせるジャブ。カウンターで決める左フック、右ストレートの威力は強烈の一語に尽きます。
アルゲリョ選手の強打を浴びまくって感覚が麻痺してしまったようだったエスカレラ選手。この状態になった選手を倒すのは至難の業だったりするのですが、フィニッシュの左フックの破壊力は凄まじいものでした。
史上最高のパンチャーは誰か?と言ったお馴染みの議論で必ず名前の出る、サラテやゴメス、フォアマン、ハーンズ、タイソン・・・私は文句なしにアルゲリョをナンバー1に推したいです。(ジョー・ルイスやジャック・デンプシー、スタンレー・ケッチェル、レイ・ロビンソンなどは知らないので除外です。あとジュリアン・ジャクソンは彼が上とか下とかじゃなく別次元だと思ってますw)
今月1日に突然この世を去ってしまったニカラグアの貴公子、アレクシス・アルゲリョ。この写真は死の直前である6月27日にエスカレラ氏と共に笑顔を見せていた時のものです。
そしてこの写真は、同年代に活躍した元4階級制覇王者ロベルト・デュラン氏が棺の前で佇む様子。遂にグラブを交える事は無かった伝説の両雄。永遠のライバルの突然の死に何を思ったのでしょう・・・
アルゲリョ選手のご冥福を心より祈ります。
【ボクシング】アレクシス・アルゲリョがボクシング人生を振り返る
The Bloody Battle Of Bayamon: Alexis Arguello vs Alfredo Escalera
Alexis Arguello fights Escalera 2
アーロン・プライアー対アレクシス・アルゲリョ(1983/09/09)
アーロン・プライアー対アレクシス・アルゲリョ(1982/11/12)
2009-07-29 22:04:57
ご冥福を祈ります。
スイマセン、後一言だけ、「デュラン太りすぎやろが!!」
私もアルゲリョが棺に入っている写真を見て全く同じ感想を抱きました。
訃報を聞いてもどこか現実離れしたというか、実感を抱けない事が多いですが死顔を見てしまうと迫ってくるものが違いますよね・・
本当に亡くなってしまったんですね。。
デュランの膨張は今に始まったことではないですが、昨年久しぶりに見たときは最初誰だかわかりませんでした。
http://blog.goo.ne.jp/daisukebe_2006/e/92f668575b3406c5c0b796672324b8d5
P.S.せっかくデュランの話が出ていたので、お手数でなければ今度はclassicでデュランを取り上げていただけませんか(これだけclassicを掲載されていて取り上げられていなかったのですが何か個人的な理由があるのであれば結構ですが)。ファンとしては勝った試合が有難いです(笑)
アルゲリョほどの「絵になる男」ってのはそうはいないと思います。
デュランは私も大好きな選手なので、試合映像手元にも結構あります。
ブキャナン、デ・ヘスス3つもあり。
デ・ヘススとの3試合は、以前クラシックで取り上げようとした時期があったんですが、3つもあるのでどういう風に取り上げようかとか、古いのであまり良い写真がないなとか、うだうだやってるうちに結局そのままになってしまってますw
ですが、リクエストありましたので近々やります!
デュランの様な超ビッグネームでかつ好きな選手の記事を書くときにはどう書けばいいのか悩みがちです。
自分がもの凄く痺れた、ボウ対ホリフィールド戦とかハグラーハーンズ戦の記事もなぜか取り上げにくいです。
絵になるという意味ではデュランも写真からエネルギーが伝わってくる凄い選手です。実績という意味ではW級以上で確立したかと思いますが、間違いなくL級のデュランが最盛期であると思っていますので、記事にしていただけると嬉しいです
ボウ対ホリも熱かったですね。あとは・・・いやいや、欲を出してはいかん!!なわけでデュランのL級の記事心待ちにしています!!
デュランが日本に来て試合をやった時の相手は船木さんですね。
高田さんは元ヘビー級王者の故トレバー・バービックとやってますし、元双羽黒の北尾さんとも異種格闘技戦(?)をやってましたね。
懐かしいです。
調べたらありました
確かに見たはずなんですが、腕固めで勝利ってのが記憶になくて、私も蹴られて戦意喪失というようなイメージを抱いてました。バービックのとゴッチャになってるんでしょうか。記憶ってのは曖昧なもんです
動画があったので貼っておきました。さわりだけ見ましたが、デュラン太ってますねぇ・・・今はこの時以上ですが
http://blog.goo.ne.jp/daisukebe_2006/e/7eb9c9bc27471a09213953fe3a3bcfbb