感染症・リウマチ内科のメモ

聖隷三方原病院(静岡県浜松市)勤務医ブログ

頸部の急性偽痛風:王冠をかぶった軸椎歯突起症候群crowned dens syndromeの症例

2013-10-02 | 免疫

昨日、神経内科より緊急紹介のあった例で、高齢女性の頚部痛と発熱で髄液穿刺検査では異常なかったのでお願いします、との内容。問診でも後頸部以外は症状ないが、頚部痛で日常動作が制限、首を回転することもできない、とのことで、診察でも肩以下の体には異常ありませんでした。すぐとある疾患を考え頸部CTをとりました所、環椎横靱帯に淡い微小石灰化像あり診断に至りました。(図:当科症例)
文献から特徴についてまとめました。



まとめ

・頸部の急性偽痛風は、戴冠状の軸椎歯突起症候群crowned dens syndrome(以下CDS)としても知られており、歯突起周囲関節組織の結晶沈着によって特徴付けられる頸部痛のまれな原因である。
・最初にBouvetらによって1985年に記載、 軟組織石灰化の画像所見で定義されている臨床画像診断的症候群である
・偽痛風はピロリン酸カルシウム水和物(以下CPPD)析出により、それはしばしば特発性であるが時折、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、副甲状腺機能亢進症や低マグネシウム血症、を含む代謝条件により沈殿させうる。
・CDSは多くは、主に60歳以上の女性に起こる。 患者の多く(65 %)が膝や、手首、足首の硝子軟骨などでCPPD沈着の一次的部位での軟骨石灰化を持つ。
・Roveranoらは、末梢性CPPDの probable or possibleと診断された患者で頸部CTスキャンを行い、28名のうち20(71%)での歯突起周囲石灰化を見い出したが、うち9名のみが頭頸部症状を有していた。
・逆に、Sekijimaにより一連のCDSと診断された14人の患者では、関節症状を持っていなかった。CDSは末梢病変なしで独自に発生する可能性がある。

・軸椎歯突起周囲の混濁はCDSのしばしば画像的特徴で、多くは環椎横断靭帯の繊維内の結晶析出によるものと考えられる。冠状ビューで歯突起周囲で"王冠のような外観crown-like"になる。 しかしこの混濁所見は単純X線検査では明らかではない。CT検査がCDSのゴールドスタンダードの画像診断法として認識されている。
・CT画像上の歯突起周囲の石灰化の実証は、歯突起後方に限られたわけではなく、後藤らの放射線分類では後方のみ(50%)、後側方(27.5%)、円形(12.5%)、前方(5%)または横(5%)、であった。
・頸椎MRIはCDS診断に一般的に役に立たないが、椎間板炎、悪性腫瘍および脊髄症などの重要な鑑別を除外するために使用してもよい。
・CDSの様々な発症様式のため、PMR 、髄膜炎、巨細胞性動脈炎、椎間板炎、頸部脊椎症、関節リウマチおよび強直性脊椎炎と誤診されるかもしれない。
・発症は通常急性。患者は一般的に重度の頸部痛を呈し、多くの場合、頸部の著明なこわばりと回転制限を伴う。疼痛はしばしば頭頸部接合部に局在し、疼痛は頸椎へ放射する。CRPは、しばしば著しく上昇。
・CDS 予後は良好で、大半では高用量NSAID、コルチコステロイドまたは併用療法で1週間以内に完全に回復する。
・NSAIDはCDSのファーストライン治療薬である。その投与はしばしば炎症マーカーの迅速な正常化、歯突起周囲石灰化消失をもたらす。コルチコステロイド単独で、またはNSAIDsとの組み合わせも効果的である。
・CDS患者で、NSAIDや全身性コルチコステロイドで疼痛は完全に良くならず、C1-C2のコルチコステロイド注で寛解に入った症例の報告がある
・疾患自然史としてより重篤で神経学的合併症が起こりうるのか縦断研究は行われていないが、頸部や歯突起周囲の巨大なCPPD病変が、環軸椎不安定性、脊髄圧迫、頚椎減圧を必要とするミエロパシー、の原因となる症例がある。


参考文献

Rheumatol Int. 2011 Jan;31(1):85-8.

Clin Rheumatol. 2013 May;32(5):711-4.


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