感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

リウマチ性疾患での食事療法の役割

2012-09-04 | 免疫
2011年のRDCNAの文献です。リウマチ性疾患の食事療法についてのレビュー。 
痛風とコーヒ、ワイン、変形性関節症とビタミンCの話などが興味深かった。
いろいろな臨床試験も紹介されているが、比較対象の“普通の食事”自体が日本と違うだろうと思う。 全体的に食事療法の有用性に関する臨床試験データは限られている。また厳格な食事療法は高い中断率に関連づけられてしまう。


Rheumatic diseases clinics of North America. 02/2011; 37(1):119-33.
Role of diet in rheumatic disease.
Sophia Li, Robert Micheletti
Division of Rheumatology, Department of Medicine, University of Pennsylvania, 3400 Spruce Street, Philadelphia, PA 19104 , USA.

(抜粋要約)

痛風

・厳密なプリン制限食が推奨されてきたが、血清尿酸を1mg/dL程度下げるものの長期的な遵守が困難
・カロリー制限と、飽和脂肪酸や精製炭水化物の回避は、より口にあうかもしれず、また尿酸を1.7mg/dL下げる
・肉類や魚介類などの蛋白は尿酸値を上げ、痛風リスクを増やす、 野菜や乳製品蛋白は逆にリスクを減らす
 植物ではプリン体を多く含むもの(えんどう豆、ほうれん草など)でも痛風リスクは増やさない
・アルコールではビールが最大リスクを持つが(ビールはプリン体含有も多い)、ワインは痛風と関連せず
・果糖の多い食事(糖入りジュース、果物)は痛風リスクが増える、 ダイエット清涼飲料は尿酸レベルと関連せず
・コーヒー消費量が多いほど痛風リスクが減少する 4~5杯/日で相対リスクは0杯に比べ0.60
・21歳以降体重が約14kg以上増えた人はそうでない人より、痛風発生は1.99倍

変形性関節症

・肥満が最も重要な危険因子
・高タンパク、低カロリー食は体重減量と体脂肪喪失をもたらし、OAに有益
・OAと肥満患者のための一般的推奨は、週0.4-0.8kg平均の体重減少と減量プログラム維持、これで症状緩和をもたらし平均28%で機能が改善
・食事との組み合わせで運動は、OA症状軽減のための効果的手段
・多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脂肪酸鎖の最後の二重結合の位置によって、n-3、n-6系、またはn-9のように分類。高いn-3摂取は心血管疾患発生率の減少と相関するが、OAにおける脂肪酸の抗炎症性の役割はそれほど明確ではない。
・抗酸化作用を持つビタミンC摂取は、OA進行のリスクを減らし、疼痛を軽減する。しかし高容量の安全性をみる長期的データが必要。

関節リウマチ

・地中海式ダイエット(植物性食品、魚、オリーブオイルが多く、赤肉が少ない)で疼痛VAS、HAQスコアの有意な差を認めた
・果物や野菜が豊富で、飽和脂肪の少ないベジタリアンダイエットは、アラキドン酸、抗酸化剤、必須脂肪酸レベルの変更によって全身の炎症を減少させ、食物抗原を減少させると仮定している。 RA患者へのビーガン食→ラクト菜食実施にて、疼痛、こわばり、関節腫脹の有意な改善を示した
・除去食では、食品に見られる食物抗原がリウマチ性疾患の病因に役割を果たしており食事からそれらの除去が症状の改善を引き起こす可能性があると想定している。比較試験では、疼痛、こわばり、疼痛関節数、など改善を認めた

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