感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

乾癬性関節炎の治療について –その3–

2015-12-17 | 免疫
前回に続きまして、乾癬性関節炎の治療についてです。今回は治療効果後の薬剤漸減の是非、目標とすべき疾患の低活動性の定義、関節リウマチで推奨されているtreat-to-target戦略はPsAではどうか、併存疾患の治療について、です。これらが今後はっきりしてくるとRA治療のように細やかな管理ができそうですね。   治療の漸減   ・PsA治療にて生物学的療法の漸減をサポート . . . 本文を読む

乾癬性関節炎の治療について –その2–

2015-12-10 | 免疫
前回に続きまして、乾癬性関節炎の治療についてです。今回は関節リウマチでもその効果が示されています生物学的製剤に関してです。現状では治療の推奨はステップアップ法ではありますが、やはり治療の主役はTNFα阻害剤のようです。RAのときのように使用中の効果減弱がありうる、MTXとの併用はどんな意味があるのか。     生物学的療法   ・生物学的薬物治療 . . . 本文を読む

乾癬性関節炎の治療について –その1–

2015-12-08 | 免疫
前回に続きまして乾癬性関節炎の治療について。関節リウマチと比べますとまだまだ文献やエビデンスも少なめではありますが、近年いろいろわかってきています。主な治療ガイドラインは、やはり早期治療は有効か、NSAIDsや従来型DMARDsの効果や位置づけは、生物学的製剤はどうか、併用療法は、治療目標や基準は、注意すべき併存疾患は、など。最近の文献をまとめました。 生物学的製剤で適応は日本では乾癬に対しては . . . 本文を読む

乾癬性関節炎の診断について

2015-11-26 | 免疫
足趾のゆびの腫れと痛みで発症された中年男性で近医で痛風として治療され急な改善に乏しく、その後足関節周辺の発赤腫脹もあって蜂窩織炎として抗生剤投与も改善せず、そのうち頭皮の皮疹が見つかり当院皮膚科で乾癬と診断されました。経過の足趾や足関節の症状につきまして当科に相談ありました。足趾はゆび全体が腫れており、また爪剥離も見られました。乾癬性関節炎(PsA)を疑うことになりますが、どのように診断を詰めてい . . . 本文を読む

白血球破砕性所見はどこまで血管炎を示唆するか

2015-11-05 | 免疫
前回の続きで不明熱精査の症例ですが、紅斑の部分を皮膚生検を行ったところ、血管周囲など好中球浸潤はあまり認めず白血球(単球?)の一部は核崩壊からの核断片を認め、白血球破砕性血管炎が疑われるとの病理コメントでした。臨床的にはSweetなどを疑っており、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病などの小型血管炎は想定していませんでした。生検施行した紅斑もやや時間が経っておりステロイド軟こうも数日使っていたのも考慮し . . . 本文を読む

好中球性皮膚症について - Sweet症候群など

2015-11-03 | 免疫
不明熱精査で診断に難渋している方。数か月前から断続的に頚部や腕などに1cmくらいの丘疹性紅斑が出没し、今回は発熱と意識レベル低下あり入院。強度の左方移動を伴う好中球増加と、手関節腫脹疼痛、髄液検査で軽度髄膜炎所見、抗菌薬治療に反応なく細菌検査などでほぼ感染症は否定的となってきました。慢性的な貧血とMCV増加もあり以前MDSも疑われていましたが骨髄検査歴なし。皮膚科診察でSweet病も鑑別とされると . . . 本文を読む

≥65歳の免疫正常成人のための2種類の肺炎球菌ワクチン:PCV13とPPSV23の投与間隔のためのACIP勧告

2015-10-30 | 感染症
昨年のブログ(→「≥65歳の成人への肺炎球菌結合型ワクチン 予防接種実施諮問委員会の勧告 2014」)でまとめました高齢者への肺炎球菌ワクチンの投与に関する米国予防接種実施諮問委員会の勧告(ACIP)ですが今年9月のCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)で、2種類の肺炎球菌ワクチン:PCV13とPPSV23の投与間隔について . . . 本文を読む

リウマチ性疾患とビタミンD

2015-10-22 | 免疫
当科は関節リウマチや類縁疾患が多いため“疼痛外来”のような感じになります。体のあちこちが痛いとまずリウマチ性疾患を考え紹介されてまいります。その中には慢性的な骨痛ともいえるような状態からビタミンD欠乏症を見つけた例もあります。RAの患者さんでも慢性的に関節以外の骨痛ともいえるような痛みを訴える方もおられます。調べますとビタミンDは骨代謝だけでなく免疫系にも関係した多面的なホ . . . 本文を読む

感染症発症後の腎糸球体障害

2015-10-15 | 感染症
最近、感染症発症例での急性糸球体障害を連続で経験したので、感染症と腎糸球体についてその鑑別を上げるべく、文献を読みました。古典的には、A群連鎖球菌の感染によって引き起こされるとされているが、最近ではブドウ球菌やほかの病原菌でも糸球体障害を引き起こすことが分かっている。考えられる病態が様々なだけに、高齢者での腎障害では腎生検も考慮したほうがよさそう。     まとめ &n . . . 本文を読む

リンパ節炎病理検査でトキソプラズマ感染症は診断できるか

2015-10-08 | 感染症
耳鼻咽喉科から頚部リンパ節腫脹の例で、病理にてリンパ節生検にてトキソプラズマ症疑いと診断され当科に追加検査や治療につき相談ありました。50代女性で半年前から頚部リンパ節が腫れ、増大傾向にあったため今回生検となったようです。 所見は、正常なリンパ節構造は保持、著明な濾胞過形成、胚中心でTingible体マクロファージ、副皮質領域において散在性類上皮組織球、焦点性の単球細胞凝集で、多核巨細胞や悪性所 . . . 本文を読む

成人スティル病について まとめ – その3

2015-10-05 | 免疫
前回に続きまして、成人スティル病ですが、今回は治療と自然史について。治療はまずはステロイド、反応に悪ければMTX、さらに最近は生物学的製剤の使用が検討と、他のリウマチ性疾患と似たような流れですね。自然史は、診断時の疾患の臨床症状に応じて2つの AOSD表現型すなわち単回・多回性と慢性形態に群分けして考えると良いようです。   治療   ・成人スティル病(AOSD)の治療 . . . 本文を読む

成人スティル病について まとめ – その2

2015-10-01 | 免疫
前回に続きまして、成人スティル病に関しましてです。 臨床検査は非特異的で、高い免疫学的活性を反映して白血球および好中球増加、高フェリチン血症などを起こす。診断は臨床的であり診断基準を参考にし、感染性、腫瘍性、および他の自己免疫疾患の除外が必要。いくつかの診断基準が発表されていますが、山口らの基準が感度が良いようです。あと血清フェリチン値は参考になるが特異性に乏しい、グリコシル化フェリチンは有望だ . . . 本文を読む

成人スティル病について まとめ – その1

2015-09-24 | 免疫
手首や肘肩などの疼痛を伴う不明熱症例で整形外科から当科に相談され、当初はEBV IgM陽性、EBNA陰性からEBV感染症による熱としていたのですが、その後も自然解熱せず断続的な熱が継続し、体幹に発熱時に皮疹が出現し、血清フェリチン高値であり、成人スティル病も疑いました。 これは不明熱診断では欠かせない鑑別疾患ですが、なかなか疾患特異的な指標がないので、その臨床的な診断の確定は悩ましいものがありま . . . 本文を読む

Lemierre症候群とFusobacterium感染と

2015-09-15 | 感染症
5日前に咽頭痛ありその後発熱、頸部リンパ節腫脹で入院された10歳代男性(近医からはクラリス、ロキソニン)、伝染性単核球症疑いでしたが入院後ショック状態となりなんらかの敗血症も疑われ当科に相談され転科しました。左前頸部のみの痛みの訴えと診察で顎下リンパ節の腫脹圧痛と頸動脈にそった圧痛があります。採血でDダイマーが上昇しており、肺のCTでは小さなseptic emboli疑いとのことからフソバクテリウ . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その4 再発性蜂窩織炎

2015-09-10 | 感染症
前回の続きで今回は蜂窩織炎の再発についてです。2年ほど前に右下腿の蜂窩織炎で当科入院加療しておりました方が、今回も同部位の蜂窩織炎となり救急科より紹介され当科入院されました。 両下肢とも慢性浮腫があり、前回入院中に足白癬(いわゆる水虫)、さらに深部静脈血栓症も診断していたので、蜂窩織炎再発のリスクは高いようです。こういった例は多いかと思いますが、どのように対処すればいいのでしょうか。   . . . 本文を読む