感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

皮膚軟部組織感染まとめ -その3

2015-09-08 | 感染症
前回に続きまして、皮膚軟部組織感染症の治療についてです。前々回にて述べましたように起炎菌は溶連菌、ブドウ球菌に限るわけではなく、またいまは市中MRSA感染リスクもあり、ケースごとに起炎菌を想定して対応する必要がありますし、皮膚感染独特の感染の深さ、重症度も加味しないといけません。また細菌学的に治療が順調でも死菌からの抗原物質等で炎症が残ることもあるんですね。   治療について &n . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その2

2015-09-03 | 感染症
前回に続きまして皮膚軟部組織感染症(SSTI)についてです。 今回は診断と、壊死性軟部組織感染症の鑑別除外についてまとめました。蜂窩織炎の治療を始めてから経過が思わしくないときは、前回取り上げました起炎菌と治療薬が合っていないか、リスク因子が残存していないか、とともに他の鑑別診断はないか、壊死性感染症のように重症化してきていないか、検討する必要があります。     診断 . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その1

2015-09-02 | 感染症
総合内科に下肢蜂窩織炎入院例があり比較的長引いている経過のため一緒に診療しています。今回は右下肢の下腿遠位あたりの病変ですが、両側下肢とも皮膚の肥厚、象皮様に変化あり慢性的な浮腫が存在していた可能性を示唆しました。残念なことに血液培養は菌が検出されていません。溶連菌・ブ菌をターゲットにCEZ使用中ですが、どうすればいいか。文献をまとめました。この領域のガイドラインとしては米国感染症学会(IDSA) . . . 本文を読む

中心静脈カテーテル講習会開催!

2015-08-19 | 行事
当院では従来より、内頸静脈カテーテル挿入のため超音波ガイダンスを使用することを推進しており定期的な勉強会、実技講習会を開催してきています。 過去の当ブログでもふれましたが、米国の医療疫学学会(SHEA)、感染症学会(IDSA)による中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)防止の戦略 2014年アップデートでも、・CLABSI防止に関するCVCの挿入、ケアに関わる医療従事者の教育、保守 (II) . . . 本文を読む

ANCA値を血管炎の活動性指標として使えるか

2015-08-17 | 免疫
このところANCA関連血管炎(AAV)についていろいろ文献を調べています。この疾患は肺や腎臓に罹患することも多いので、呼吸器内科や腎臓内科でも経過をみられていることも多いです。臓器特異的な所見はそう変化がないのに、一連のANCA値の検査で徐々に増加がみられると、当科に疾患再燃の有無について相談があったりします。ANCA値と疾患活動性との相関、一連の検査での変化は再燃を予想するのでしょうか? 文献を . . . 本文を読む

薬剤関連ANCA関連血管炎

2015-08-14 | 免疫
引き続きましてANCA血管炎に関しましてです。高齢者でのANCA血管炎とは別に、中年女性でもともとバセドウ病で長期間チウラジールを内服されている方の不明熱を診療中です。この方も尿検査異常と血清MPO-ANCA陽性であり腎生検しましたところpauci-immune 分節性半月体性糸球体腎炎と診断されました。薬剤誘発性血管炎について文献をしらべまとめてみました。   まとめ   . . . 本文を読む

ANCA関連血管炎 高齢者治療

2015-08-12 | 免疫
前回の続きでANCA関連血管炎についてです。MPO-ANCA陽性で相談された高齢者の不明熱例で、尿沈渣で子宮体由来血尿あり腎生検について検討しています。かなりな高齢であるため、どのように免疫抑制治療をするのか検討しないといけません。年齢や免疫治療の強度と疾患アウトカムについて調べてみました。   まとめ   ・ANCA関連血管炎は、一般的に高齢者で発見されており、加齢と . . . 本文を読む

不明熱精査中にANCA検査陽性をみたとき

2015-08-06 | 免疫
総合診療内科で発熱精査中の高齢の方で、検査にてMPO-ANCA陽性であったため、当科に相談されました。リウマチ性疾患とその指標抗体との関係はだいたいはそうなのですが、十分な検査前の疾患確率があって、検査陽性であれば診断精度が上がるので、とりあえずなされた検査の陽性は解釈に困るものです。このANCA抗体と血管炎に関しても当初は優れた診断ツールであると考えられてましたが、このテストを広く不均一な集団に . . . 本文を読む

熱中症について -その3

2015-08-03 | 内科
前回に続きまして熱中症についてです。今回は熱中症の治療について。医学的緊急状態であり迅速な治療開始が必要、おもなものは能動的な冷却治療である、大量輸液をするかどうかは病態によるのでその把握も必要、さまざまな合併症にも対処すること、などです。   治療   ・熱中症は医学的な緊急事態。 ・迅速に治療しなければ死亡率は80%と高いことが報告されている。 ・熱関連疾患には . . . 本文を読む

熱中症について -その2

2015-07-31 | 内科
前回に続きまして熱中症についてです。今回は罹患リスクと、検査、診断について。因子があるから熱中症の診断に活用するということではなく、因子のある人はこの時期より注意すべきでしょうね。CRPやPCTに関する文献もいくつかありました。とくに熱射病ではこれらは上昇するということ、その値の大きさで感染症と区別できるかもしれないこと。熱射病と中枢神経感染症はもっとも重要な鑑別点で、誤診により死亡率は上がるので . . . 本文を読む

熱中症について -その1

2015-07-30 | 内科
当科では発熱性疾患の相談や初診を受けることも多く、この時期ですと熱中症は鑑別から外せません。高齢の男性で日中に農作業をされており、当日朝から悪寒発熱、嘔吐、起立困難となり救急搬送され入院されました。定期内服薬は、アスピリン、Ca拮抗薬、PPI、抗血小板薬、ビカルタミドなどでした。 特に身体所見や胸部XP、尿検査で感染症を思わせる所見はありませんが、CRPは5台、WBC数は12000程度でした。状 . . . 本文を読む

巨細胞性動脈炎の治療について まとめ - その7

2015-07-08 | 免疫
前回の続きで、巨細胞性動脈炎(GCA)の再燃、再発時の治療法についてです。ステロイド(GC)の再投与をどうするか、ステロイド漸減困難な依存性患者ではどうするか、生物学的製剤の効果は? などでしょうか。     再燃、再発時の治療   ・GCA治療を中止したあと臨床的寛解中での再発をきたした患者は新たに患者ごとに治療する必要がある。 ・通常、再発の種類と以前 . . . 本文を読む

巨細胞性動脈炎の治療について まとめ - その6

2015-07-02 | 免疫
前回の続きで、巨細胞性動脈炎の治療およびその合併症の発生とリスクについてです。これらの特徴をよく理解することがよりよい治療法の開始につながります。   合併症   虚血性視覚障害   ・グルココルチコイド(GC)に対する応答に影響を与える主な要因は、治療の遅延である。 視力喪失の開始は視覚的な改善を経験した後の最初の24時間以内に治療された12名の患者の7 . . . 本文を読む

巨細胞性動脈炎の治療について まとめ - その5

2015-06-22 | 免疫
  前回の巨細胞性動脈炎(GCA)の治療についてのまとめの続きで、今回はステロイド治療中や中止後の疾患の再燃/再発についてです。再燃/再発の見分け方、そのリスクなど、まとめました。   再燃と再発、リスク因子   ・再発は、GCA患者の25から65%が経験。 ・グルココルチコステロイド(GC)の投与量を徐々に減少においてさえ、臨床的な再燃flaresは、患 . . . 本文を読む

感謝!!訪者数30万人!

2015-06-10 | 日記
当ブログの訪問者数が 「30万人」 を超えました! 日々閲覧してくださる皆様のおかげです。 ブログ開設は2012年9月で、約2年9か月、です。 もともと感染症分野が好きで、変わった菌や感染症など書き込んできてましたが、最近は、リウマチ・免疫系疾患を調べることが多くなりました。私一手で、病院でのこの領域をやっていますので、症例や相談が集中することもあると思います。 「SAPHO症候群」はこの . . . 本文を読む