感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

リウマチ患者教育 -どのような教育方法が良いのか‐

2016-06-22 | リウマチ
前回の続きで、リウマチ患者の教育について。では具体的な教育方法はどうなのか? 欧州リウマチ学会(EULAR)が2015年に炎症性関節炎を持つ人々のための教育のための勧告をだしていて参考になる。引用文献より学際的教育プログラムの具体例をみると、当院でもまだまだ複合的に教育できていないことがわかる。今後の課題として、感情的な問題についての議論を含める あたりが大切か。     . . . 本文を読む

リウマチ患者教育 -患者側ニードについて-

2016-06-01 | リウマチ
前回に続きまして、RA患者の教育についてです。当科でもいままで患者・市民向けの講座・勉強会を開催してきましたが、ほとんどの通院患者さんは参加されないこと、講座でお話していることと、日ごろの患者さんからの疑問などの観点は違うだろうことがなんとなく実感されます。“教育”という言葉も上から目線で医療者側が必要と思うものをしっかり理解してくださいといった姿勢ですが、それで良いのでし . . . 本文を読む

リウマチ患者教育 -患者の薬剤知識について-

2016-05-27 | リウマチ
先日、この地方でのリウマチ診療に携わる各医療従事者のための定期的勉強会で、リウマチ看護とケアについてのお話をしました。看護とケアといっても膨大な文献があり、さまざまな角度もあって、なかなか講演スライドがまとまりませんでした。その文献的なまとめを今回から少しずつ書いていきます。今回は、患者教育- 患者の薬剤知識について です。当科でも定期的にリウマチ市民講座を行っておりアンケートもとっていますが、要 . . . 本文を読む

抗菌薬スチュワードシッププログラム(ASP)の新しいガイドライン IDSAとSHEA2016

2016-04-19 | 感染症
米国感染症学会と医療疫学学会から抗菌薬スチュワードシッププログラム(ASP)の新しいガイドラインがでています。2007年にも同組織からASPを開発するためのガイドラインがでていました。その実践版という位置づけです。かなり具体的です。 日本でも、日本感染症学会、化学療法学会などの8学会で抗菌薬適正使用支援(Antimicrobial Stewardship ; AS)プログラム推進のために抗菌薬の . . . 本文を読む

頸部から上肢の静脈血栓症について

2016-04-07 | 内科
発熱および左頚部痛にて受診入院された方で、左側頚部から左上腕にかけての浮腫および圧痛伴い、所属リンパ節も腫れ、血管エコー検査では、左内頚から腋窩鎖骨下静脈にかけて広範囲に血栓形成をみとめました。以前のよく似た症例の経験もあり(availability biasでしょうね)、まずLemierre症候群を疑って嫌気性菌に向けた抗菌薬を開始していたのですが、血液培養は結局陰性。ワーファリン開始にて退院、 . . . 本文を読む

アルコール非関連のビタミンB1欠乏症

2016-04-04 | 内科
前回の症例ですが、尿路でのウレアーゼ産生菌による感染症を考え抗菌薬投与開始し、また点滴を開始してビタミンB類も添加していたところ翌朝には意識が戻っていました。さらに、血清ビタミンB1濃度が低値だったことが判明し、今回の意識障害はビタミンB1欠乏症だったようです。(逆に数日後の血清アンモニア値は横ばい) 1か月以上の入院期間となり毎日病院食も10割食べておられ、この病態は念頭にはなかったので驚かされ . . . 本文を読む

高アンモニア血症と非肝臓疾患の原因

2016-03-30 | 内科
肺炎治療で入院されその後ADL改善のためリハビリ入院中の方ですが、数時間で徐々に応答が乏しくなり翌日には傾眠的になりました。多少発語はあるのと明らかな四肢の脱力や麻痺なく、主に代謝性障害を念頭に意識障害の鑑別をいろいろ検討しています。その中で、血清アンモニア値が正常上限を超えていました。とくに肝疾患歴はない方です。数日前の検査にも今回の検査にも沈渣で膿尿所見あり、グラム染色でも陰性桿菌と貪食を認め . . . 本文を読む

ループス腸間膜血管炎(いわゆるループス腸炎)について

2016-03-28 | 免疫
全身性エリテマトーデス(SLE)にてずっと通院中の方でこのところ断続的に嘔吐下痢腹痛を起こすようになり検査中です。それぞれ数日くらいで自然軽快し冬場でもありウイルス感染なども考えていたのですが、3エピソード目となりループス腸炎も考え、腹部CT検査を行いました。SLEにおける急性腹症はまず鑑別が必要で、急性胃腸炎、消化性潰瘍、急性膵炎、腹膜炎など他の原因は除外されるべきです。また免疫抑制療法の強化は . . . 本文を読む

胃腸症状のないカンピロバクター菌血症

2016-03-10 | 感染症
いま某医学雑誌の記事を書いているためブログ更新が滞ってしまいました。その執筆内容とも若干関連するのですが、総合内科より血液培養陽性の不明熱例を入院対応し、その後 Campylobacter jejuniが検出されたとの連絡がありました。以前に癌治療歴はありますが5年以上たち他に病歴はなかった方です。今回やや腹部は張るのと吃逆があるくらいで胃腸症状に乏しかったのですが。カンピロバクター菌血症につき文 . . . 本文を読む

ホスホマイシン -古い抗菌薬への新たな関心

2016-02-04 | 感染症
多剤耐性(MDR)、広域薬剤耐性(XDR)、および汎薬剤耐性(PDR)感染症の増加はいまや世界の主要な課題となってきています。新しい薬剤の需要に対する供給の格差がグラム陰性菌にてその懸念が特に顕著であり、古くからの抗菌薬であるコリスチンやホスホマイシンなどに関心が示されin vitro薬剤活性、臨床トライアルの文献も出ています。 今回はホスホマイシンについて文献をまとめてみました。   . . . 本文を読む

リウマチ性多発筋痛症の治療管理のためのACR/EULAR勧告2015

2016-01-28 | 免疫
これまでもこのブログでなんども取り上げてきましたリウマチ性多発筋痛症(PMR)ですが、昨年10月にこの疾患の治療管理のための勧告がでていました。この疾患に対して国際的な治療ガイドラインの形でまとめられたのはこれが初めてのようです。 流れは、模倣疾患を除外した慎重な診断、ステロイド関連副作用のリスクになりそうな因子を列挙、再発因子、専門家への紹介の条件、ステロイド治療の具体的な方法、筋注メチルプレ . . . 本文を読む

クリオグロブリン血症と血管炎

2016-01-25 | 免疫
このところ冷え込みが厳しい時期が続いています。内科の疾患群においても寒冷期に発症するまたは増悪する疾患もあります。当科外来では指が冷えると血行が悪くなり皮膚が白くなるレイノー症状での受診が増えますし、最近の入院例では寒冷凝集素による溶血性貧血例もありました。発熱および手足のしびれの訴えあり総合内科で精査されている方で、血清クリオグロブリンが弱陽性の結果のため当科相談の例もありました。クリオグロブリ . . . 本文を読む

抗核抗体が陰性ならSLEは否定できるか

2016-01-09 | 免疫
先月大阪での総合診療(ONRC 3rd)カンファに参加したおり抗核抗体(ANA)陰性SLE症例の発表がありました。大量の胸水腹水、血球減少、蛋白尿、腎尿細管性アシドーシスを来し、ANAやSSA抗体は陰性ながら腎生検を施行され免疫蛍光染色で抗体の沈着あり、糸球体腎炎所見から SLE診断に至ったとのことでした。それまで病歴なく初発で、尿細管性アシドーシスの原因ともなった、ANA陰性のSLEということで . . . 本文を読む

乾癬性関節炎の薬物療法と管理のための欧州リウマチ学会(EULAR)リコメンデーション:2015年更新

2015-12-25 | 免疫
このブログで乾癬性関節炎の治療につきまして最近の文献にてまとめていましたが、今月欧州リウマチ学会(EULAR)から治療についてリコメンデーション:2015年更新が発表されていました。 以前のブログに書きましたように関節リウマチと比べてまだまだ臨床研究やデータの少ない疾患ですが、リウマチのときのようにかなりシステミックにまとめられています。(まだまだEvidenceというよりOpinion)。生物学 . . . 本文を読む

ノロウイルス感染の重症化、腸管外病変/ウイルス血症について

2015-12-20 | 感染症
12/18のニュースにて、ノロウイルスの感染により10歳女児死亡例があったとのこと。「39度の発熱や下痢を発症し翌日死亡。感染の有無を調べる検査は行われていないが、死因は腸炎による敗血症性ショックで、ノロウイルスによって引き起こされ得るという。女児は2005年の出生時から同病院に入院し、脳神経内科で治療を受けていた」。 重症で免疫力が低下していたという。腸炎から敗血症性ショックを起こしうるのだろう . . . 本文を読む