くろにゃんこの読書日記

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オレンジだけが果物じゃない  ジャネット・ウィンターソン

2004年10月13日 | フェミニズム文学
文学の冒険シリーズは誰が読むんだ?というラインナップですが、
興味深い本が多数あります。
私は、本書のほかにアンドレイ・コドレスク「血の伯爵夫人」を読んでいますが、これはあのエリザベート・バートリの物語で、一般常識となっている惨殺行為に疑問を与える1冊でした。
他にはロバート・アーウィン「アラビアン・ナイトメア」、ピエール・マッコルラン「恋する潜水艦」、アンジェラ・カーター「夜ごとのサーカス」等々、これから読んでみたいと思っている本が何冊かあります。
ちなみにレム「虚数」も文学の冒険シリーズでした。

さて、「オレンジだけが果物じゃない」ですが、裏表紙の紹介文の中に、
「父は格闘技が好きで、母は格闘するのが好きだった・・・。」
とあり、この文章に引かれて図書館から借り出してしまいました。
このお母さん、超ど級のユニークさです。
本書の主人公、ジャネットはとは著者のことで、半自伝的な作品です。
キリスト教原理主義の熱心な信者である母親が、処女懐胎の向こうを張って、赤ん坊のジャネットをひきとり、伝道師となるべく育てます。
聖書と教会が生活の全てだったジャネットが、だんだん疑問を感じはじめ、1人の女性を愛してしまったことから(もちろん著者は女性)母親と教会からの決別を決心します。
その心の葛藤が、本書の中にちりばめられたおとぎ話やアーサー王の聖杯伝説に反映されていて心に響きます。
また、これらの物語が、著者の力量の大きさを感じさせます。
どう考えてもひどいお母さんなのに、
文章からは著者の愛情があふれていているのが感じられます。
お母さんの一言についヘヘッと笑わされてしまうことが何度もありました。
このお母さんに対する愛情は、「さくらんぼの性は」では、よりストレートに表現されています。
お互いの信じるものや価値観が違ったとしても、それを許しあえる関係でありたいですよね。

オレンジだけが果物じゃない文学の冒険シリーズ
アラビアン・ナイトメア文学の冒険シリーズ
恋する潜水艦文学の冒険シリーズ
血の伯爵夫人 (1)文学の冒険シリーズ
夜ごとのサーカス文学の冒険シリーズ
虚数文学の冒険シリーズ

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2 コメント

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さくらんぼの性は も読んでみたいと思います。 (Yumikoit)
2005-06-16 14:03:02
TB&コメントありがとうございました。

すごくユニークで、とんでもないお母さんだと思う反面、親子の深い絆を考えずにはいられないお話でしたね。

ご紹介の「さくらんぼの性は」も是非読んでみたいと思います。

TB、こちらからもさせていただきますね。
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こちらこそ♪ (くろにゃんこ)
2005-06-16 14:26:35
ジャネット・ウィンターソンは、翻訳されている本が少ないですよね。

もう一冊講談社から「恋する躰」が出版されているようですが、これは図書館にないので、見たことも無いんです。

ジャネットの運命の人との出会いと別れ、そして再会・・・とくれば誰のことかは見当がつきますよね。

これも読んでみたいなぁ。
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