くろにゃんこの読書日記

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令嬢クリスティナ  ミルチャ・エリアーデ

2004年10月13日 | ミルチャ・エリアーデ
エリアーデの処女幻想小説。
帯には吸血鬼伝殺とあったけれど、どちらかというとドラキュラよりもエリザベート・バートリに近いし、吸血鬼というよりは幽霊譚です。

青年画家のエゴールは、ブカレストで出会った貴族の娘サンダの招きで
彼女の屋敷に逗留する。
その屋敷には、サンダの母モスク夫人と幼い妹シミナが住んでいる。
モスク夫人は、慢性的な疲れの症状を見せているが、食事の際は異常な食欲を見せ、妹のシミナは歳に似合わず成熟した表情を時折見せ、奇妙な雰囲気を感じさせる。
モスク夫人の姉、クリスティナは1907年の大農民一揆に巻き込まれて
20歳前に亡くなってしまっている。
クリスティナの生前の寝室に行き、彼女の肖像画を見たエゴールは夢で彼女に会うようになる。

クリスティナの良くない噂などエリザベート・バートリそのもの。
初めのうちは、恐怖しか感じられないクリスティナ。
だけれど、後半ではかなわない恋に悲しむ一人の女性にみえてくる。
それに比べるとシミナは、幼いながらもサディステックでエロティック。
この小説が問題になったのも当たり前ですね。

作品中の夢の扱い方はエリアーデならでは。
その後の作品の片鱗をうかがえます。
処女作だけあって、読みにくいところもあるけれど、テーマがはっきりしているので逆にでとっつき易いかもしれません

令嬢クリスティナ


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