この季節、本屋さんに行くと、夏の課題図書なるものが店頭に並べられていますね。
おお~、あと少しで夏休みだよ。早いねぇ。
この間、新学年になったばっかりじゃん。
ややっ、N大の課題図書はゴールディング「蠅の王」か。
渋いな。
などと考えながら、店内をふらふらしていたところで、見つけたのが本書です。
本書は、新聞の本の紹介欄に載っていて、以前からちょっと興味があったんです。
「かあさん、これ読みたいな。」
「あっ、それ、読んだ。面白いよ。」
「なぬ!いつの間に・・・」
「学校の図書室にあるから、借りてきてあげる。」
そんなわけで、手元にある本は、中学校の図書室の蔵書なのです。
さて、皆さんは見えないモノの存在を信じるでしょうか?
この本のタイトルからしてアヤシイでしょう?
祈祷師というとなにやら、宗教のようで、胡散臭いって気がしますよね。
ところが、主人公春永(はるちゃん)の両親は、本業は農家で、祈祷師というのは副業らしい。
はるちゃんの母親は、見えないモノが見え、聞こえない声が聞こえたりする力があり、近所の人たちがその力を頼りにしているという、その地域に根ざした、
おばあちゃんの代からの家業なのだ。
だから、胡散臭いところはなく、そういう世界を、ちょっと信ずる気持ちがあれば、やすやすと本の世界に、見えないモノが見える人のいる世界に入っていけるはず。
はるちゃんは中学1年生。
お父さん、お母さん、和花ちゃん4人暮らし。
本当のところは、ちょっとフクザツ。
お父さんとお母さんは、本当の兄妹なのだ。だから夫婦じゃない。
和花ちゃんは、はるちゃんより4つ年上で、お母さんの本当の子供。
はるちゃんは、お父さんの子供だけど、本当のお母さんの連れ子だから、
この家族の中で誰とも血は繋がっていない。
お父さんも、和花ちゃんも、見えないモノが見える世界の人だ。
でも、はるちゃんにはそれがない。
だから、毎朝お父さんと水行をしている。
それくらいしか、できることがないから。
はるちゃんの家族は、寄せ集めだけど、祈祷師という家業を通じてまとまっているわけで、はるちゃんは一生懸命役に立とうとしているんだけど、力がないから、
のけ者のような気がしてしょうがない。
学校では、モテモテの幼馴染みの久美ちゃんに思春期ならではの恋のゲームにつき合わされるし、あんまりいいことがない。
思い余って、本当の母親に会いに行くことで、自分がどこの誰で、
どこにいればいいのかを見出していく。
そして、はるちゃんは、ありのままを受け入れることの重大さを教えてくれる。
本書を読んで、自分の中学時代を思い出したっけ。
中学生くらいの女の子って、仲良しグループを作ったり、
モテる子は同姓に嫌われるんだよね、とか。
自分の恥ずかしい初恋を思い出してみたり。
なにかと懐かしい気持ちになる本でしたが、普段はあまり信じていないものを信じる立場で読むという、逆転の発想が新鮮でした。
中学生だったら、どのような感想文を書くのかな?
私からのアドバイスとしては、結構難しいよ、と言っておきます。
ま、人によって違いがあるとは思いますが。
がんばれ、中学生諸君!
祈祷師の娘
おお~、あと少しで夏休みだよ。早いねぇ。
この間、新学年になったばっかりじゃん。
ややっ、N大の課題図書はゴールディング「蠅の王」か。
渋いな。
などと考えながら、店内をふらふらしていたところで、見つけたのが本書です。
本書は、新聞の本の紹介欄に載っていて、以前からちょっと興味があったんです。
「かあさん、これ読みたいな。」
「あっ、それ、読んだ。面白いよ。」
「なぬ!いつの間に・・・」
「学校の図書室にあるから、借りてきてあげる。」
そんなわけで、手元にある本は、中学校の図書室の蔵書なのです。
さて、皆さんは見えないモノの存在を信じるでしょうか?
この本のタイトルからしてアヤシイでしょう?
祈祷師というとなにやら、宗教のようで、胡散臭いって気がしますよね。
ところが、主人公春永(はるちゃん)の両親は、本業は農家で、祈祷師というのは副業らしい。
はるちゃんの母親は、見えないモノが見え、聞こえない声が聞こえたりする力があり、近所の人たちがその力を頼りにしているという、その地域に根ざした、
おばあちゃんの代からの家業なのだ。
だから、胡散臭いところはなく、そういう世界を、ちょっと信ずる気持ちがあれば、やすやすと本の世界に、見えないモノが見える人のいる世界に入っていけるはず。
はるちゃんは中学1年生。
お父さん、お母さん、和花ちゃん4人暮らし。
本当のところは、ちょっとフクザツ。
お父さんとお母さんは、本当の兄妹なのだ。だから夫婦じゃない。
和花ちゃんは、はるちゃんより4つ年上で、お母さんの本当の子供。
はるちゃんは、お父さんの子供だけど、本当のお母さんの連れ子だから、
この家族の中で誰とも血は繋がっていない。
お父さんも、和花ちゃんも、見えないモノが見える世界の人だ。
でも、はるちゃんにはそれがない。
だから、毎朝お父さんと水行をしている。
それくらいしか、できることがないから。
はるちゃんの家族は、寄せ集めだけど、祈祷師という家業を通じてまとまっているわけで、はるちゃんは一生懸命役に立とうとしているんだけど、力がないから、
のけ者のような気がしてしょうがない。
学校では、モテモテの幼馴染みの久美ちゃんに思春期ならではの恋のゲームにつき合わされるし、あんまりいいことがない。
思い余って、本当の母親に会いに行くことで、自分がどこの誰で、
どこにいればいいのかを見出していく。
そして、はるちゃんは、ありのままを受け入れることの重大さを教えてくれる。
本書を読んで、自分の中学時代を思い出したっけ。
中学生くらいの女の子って、仲良しグループを作ったり、
モテる子は同姓に嫌われるんだよね、とか。
自分の恥ずかしい初恋を思い出してみたり。
なにかと懐かしい気持ちになる本でしたが、普段はあまり信じていないものを信じる立場で読むという、逆転の発想が新鮮でした。
中学生だったら、どのような感想文を書くのかな?
私からのアドバイスとしては、結構難しいよ、と言っておきます。
ま、人によって違いがあるとは思いますが。
がんばれ、中学生諸君!
祈祷師の娘
推奨年齢は小学校5年生からになっているんですが、子供にこれを読ませて感想を書かせるのか、と首を傾げたくなるぐらいテーマは重いです。
文章も読みやすいんですが、ところどころ、詩的な感じがして、うならされます。
著者の中脇さんは、「魚のように」という本を17歳のころに書き、坊ちゃん大賞というものを受賞しているらしいんです。
そのころ、結構注目されていたらしいんですが、全く知りませんでした。
感触がよさげなので、ほかにも読みたいと思って図書館で探したら、「稲荷の家」という本が見つかりました。
これも祈祷師が出てくるお話らしいので、今から楽しみにしています。
読んでゆくうちに、はるちゃんのことを好きになりました。応援したくなりますね。わたしも見えないものを信じる方なので、ひかるちゃんのことも応援したくなりました。二人を応援する気持ちで最後まで一気に読みました。
稲荷の家も読んでみたいです。
この作者のことも応援したいです。
不思議な感触ですが、いいセンスを持った作者ではないかしら?
レビューは書けそうですが、感想文は難しそう。
今でも、地域に根ざした祈祷師というものは存在するのだそうです。
はるちゃんとひかるちゃんは、対照的な存在ですが、お互いの存在を受け入れている。
理解することと受け入れることの違いをよりいっそう明確に感じました。
これで読書感想文って、難しいよね。
自分の中学生活とオーバーラップさせて書けってことなんだろうけど、それってテーマからずれているような気がするんですけど。
「稲荷の家」も良いですよ。
やはりノスタルジーを感じる作品なんですが、作者は当時20代なんですね。
この若さで、この感性。
うならされますよ。