自転車乗りの自転車屋です β版

新潟県新発田市でサイクルショップ27(CS27)という自転車店を営んでいます。

サイクルモードインターナショナル2013 やっつけレポ (その7)

2013-11-19 01:03:32 | CS27のブログ
GOKISO(近藤機械製作所) ハブ ロード用


フロントハブのカットモデル


リアハブのカットモデル

私は観れなかったのですがテレビを観たっていうお客様がいたのでちょっと上げてみる。

以前のサイクルモードの時に開発者がいたのでしつこく聞いてみたことを思い出しながら…。
その時はまだハブ単体のみの販売でした。

ハブのベアリングは玉当たり調整できるカップ&コーンタイプと一般にシールドベアリングと呼ばれているカートリッジタイプがあります。ママチャリからレーサーまでカップ&コーンタイプ(長いからカプコと呼ぼうか)を一般的に使っていますが、これはカップとコーンやボールが擦り減った場合やグリスが汚れた場合分解して調整しやすい構造になっています。でも精度…というか公差やマテリアルに製品が左右されやすいので価格や技術力による品質の差が大きく変わります。デュラエースやレコードのハブでホームセンターの自転車が買えちゃうくらいね。

私が最初に接したシールドベアリングを採用したハブはサンツアーのシュパーブプロでした。これはとても回転が滑らかで良かったのですが、接触型のシールを採用していたせいか玉当たりは良いけど、ぬめーっと回る物でした。高回転になると全く気にならないのですが、手で回すと抵抗を感じるって競輪選手では敬遠する人もいました。それにベアリングのグレードのせいなのかしれませんが耐久性が低かった記憶があります。カンパやシマノはチューン出来ましたがシュパーブプロはベアリングの交換で対応します。最初のうちは良いのですが、何度も交換していると軽量化されたハブボディのせいか圧入部分が開いてベアリングとの勘合部分がトコトコになってしまいます。今のBB30みたいだね。
ダメになって外したベアリングは単体で回すと滑らかに回るのですが、スラスト方向にガタがあったりします。これはラジアルタイプを採用しているのでカーブで傾きアキシャル荷重が掛かる自転車のハブのベアリングには向かないんじゃないのか、カプコのようにアンギュラにしないといけないんじゃないかって思っていました。

この辺の疑問をGOKISOの開発者に聞いてみたら当製品は深溝タイプのラジアルベアリングなのでアキシャル荷重にも強く、しかも複列で採用しているので耐荷重性も高いとのことでした。
一般的なハブのベアリング数は、フロントは左右に各1個づつ合計2個に対してGOKISOは左右に2個づつの合計4個。リアは左右に各1個とフリーボディ用の2個で合計4個に対してGOKISOは左右に2個づつとフリーボディ用に3個で合計7個。これだけのベアリングで荷重を分散して支えているので耐久性が高いとのことです。
更に、『従来のハブは軸受けの使い方が間違っている』として、『ベアリングは回転を支持する物であって、路面からの衝撃を吸収する独立した弾性体を持つ構造でなければならない。路面からの衝撃は瞬間的にシャフトを歪ませ内部抵抗を発生させる』ということで、ハブ内部に0.5mmストロークするスリーブ状のショックアブソーバー構造を構築しました。カットモデルで楕円の穴の開いた筒状の物体です。
これらの構造はジェットエンジンから発想を得たということで、ロールスロイスのジェットエンジンを作っている近藤機械製作所ならなのでしょうか。

これだけ中身が詰まっているので決して軽くは無く、ベアリングを減らしたクライマーハブといった軽量バージョンでも軽くありません。しかし、回転体の中央部分なのでハブの重量は走りに対する影響は少ないと思います。

GOKISOはカーボンリムの完組ホイールも出していますが、これは割安感があってお勧めです。
実は、あそこのホイールメーカーやそちらのホイールメーカーも採用している信頼できるメーカーのカーボンリムですが、グレードが様々あるのでメーカーが同じなら中身も同じだと思わないでください。仕上げが同じでも出荷先が違って価格が違えば中身も違います。

他にもA7075超超ジュラルミンのボディとシャフトを採用しているとか、フリーのラチェットが細かいとか、スポークが選べるけど敢えてストレートスポークを採用しない理由とか、まだまだギミックが沢山あるけど、それはまたいずれ…あるかな…。
コメント
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