御主人の呼んだ当人がその場に居ない時は誰も返事などせぬこと。お代りを勤めたりしていてはきりがない。呼ばれた当人が呼ばれた時に来ればそれで十分と御主人自身認めている。最初の1ページ目、のっけからこの調子です。
召使たちへの教えを説いたスウィフト作『奴婢訓』。
人を食ったような文章。皮肉まじりで、冷やか。
スウィフト節は、まだまだ続く。
自分が雇われている当面の仕事以外には指一本動かしてはならない。 . . . 本文を読む
眠れない夜があった。
眠れなくて、眠れなくて、なんども寝返りをうって、寝返りの数までかぞえる始末。
意を決してパジャマの上にコートを羽織り、自転車をかっ飛ばした。
こういう夜は、古本屋だ。
ひとつ向こうの駅のはずれに、夜中の3時まで開いている古本屋がある。
わたしのお気に入りの古本屋のひとつだ。
ビルの地下にあって、地下であるのを忘れるほど、天井が高い。
その天井に届くのを目標としているよう . . . 本文を読む
あけましておめでとうございます
昨年は多くの方が当ブログを訪れていただき、ありがとうございました。
コメント等で「こんな召使いがいますよ」と、さまざまな小説、映画、漫画、
TV、評伝…etc. を教えてくださった方々、おかげで、たくさんの素晴らしい召使いたちと出会えました。
感謝の言葉を雨あられと降らせても、この嬉しさは言い表せません。
ほんとうに、ありがとう。
今年もさらに、素晴らしき「召 . . . 本文を読む
先日、当ブログを見ていただいている山橘さんからコメント欄にて、ジーヴスに関する耳よりな情報を頂きました。
こちら↓がそのコメントです。
ジーヴスが白泉社のメロディで漫画化ということで、腰が抜けそうです。でもあんまり絵がきらきらしていないようなので期待しています。テンポがよいといいなと思いますが。とりあえずはどきどきです。
わ、わたくしも腰が…。
いやいや、脱力しているバアイじゃない。
さっ . . . 本文を読む
執事の顔というものは、速やかに表情のあらわれる顔ではない。(p.106)
この世界中に執事が両眉を上げるに値するとみなす事柄はほぼ皆無である。(p.296)
おしなべて執事というものはスポーツマンである。(p.109)
『ブランディングズ城の夏の稲妻』
(P.G.ウッドハウス著 森村たまき訳 国書刊行会 2007)より
(countsheep99のこっそりコメント)
作者ウッドハウスに . . . 本文を読む
知っている人は知っている。そんな情報です。
チャップリンの輝ける日本人執事、高野虎市さんに関する番組が
NHKのBShiで放送されます。 12月25日(火) 午後8:00~9:30
詳しくはこちら!
ハイビジョン特集 「チャップリンの秘書は日本人だった」
ああ、うれしくてタマラナイ。
どうぞ皆さま、お見逃しなく!
あの歌舞伎俳優の中村獅堂が高野さんに扮する(再現ドラマ?)よう . . . 本文を読む
『ブランディングズ城の夏の稲妻』
国書刊行会のウッドハウス本の新シリーズ第一弾ですね。
が“ジーヴスもの”なら、こちらはそれと並び称される“ブランディングズ城もの”
ブランディングズ城の城主・エムズワース卿のお頭のトロけっぷりが冴えわたっています。(←文法的に矛盾。が、意味的にはこの通りなのです)
たとえば、お茶の時間に現れたエムズワース卿のセリフ。
「あぁ、お茶? お茶か? へ? ほ、お茶じ . . . 本文を読む
本日の召使 : 帯刀(たちはき) (『落窪物語』より)
学校の授業で教わる平安朝の作品といったら、
『枕草子』『源氏物語』このふたつでしょう。
『落窪物語』はあまり知られてないように思います。
千年前、清少納言が『枕草子』の中で前置きも無く「みんながとうぜん知っている物語」のように触れている『落窪物語』も、現代では日本文学年表などで「あー、源氏物語の前にも、いちおう物語ってのはあったのね~」と . . . 本文を読む
(前回の続き)
「高野はチャップリンの…あれですから」
高野虎市夫人・東嶋トミエさんが、高野さんとチャップリンのあるエピソードを語る中でポロッとこぼした言葉です。
じつは私、トークイベントで東嶋さんのお話を拝聴していて、この一言がいちばん胸にグッときたんです。
曖昧で、雄弁な「あれですから」
あるエピソードとは、チャップリンが初めて来日した時のこと。もちろん高野さんも同行した。日本のチャ . . . 本文を読む
さて、前回のつづきです。
前回記事はこちら。
高野虎市遺品展に行ってきました! その①
前回は特別トークイベントの話だけで終わってしまいましたので、今回は肝心の展示内容にも触れたいと思います。
高野虎市さんの鞄
一番印象的だったのが、遺品展コーナーに入ってすぐの「高野虎市愛用の鞄」です。
鞄はふたつ。旅行用の大型のものと、それと同型のやや小さめの。
キャメル色の革製。
それらは、ライト . . . 本文を読む
えー、行ってまいりました。高野虎市遺品展。
没後30年記念 チャップリンの日本 チャップリン秘書・高野虎市遺品展
(開催期間: 2007年10月30日(火)~12月27日(木)まで)
小スペースながら、いやぁ、とっても内容の濃い展覧会でした。
とりわけ11月3日に行われた特別トークイベントは、高野さんがチャップリンの秘書をしていた時代の面白くて貴重なエピソードが次から次へと展開し、心の中の「へ . . . 本文を読む
ちょうどいま、東京国立近代美術館フィルムセンターで、高野虎市さんの遺品展が開催されております。
チャップリンと日本を結びつけた偉大な人、高野虎市さん。
没後30年記念 チャップリンの日本 チャップリン秘書・高野虎市遺品展
(開催期間: 2007年10月30日(火)~12月27日(木)まで)
わたくしは本日、行ってまいります。
なんたって今日は、
高野虎市夫人、東嶋トミエ氏のお話がうかがえる特 . . . 本文を読む
ども。
話題のセカンドライフに執事が登場すると聞いて、俄然、仮想空間に現実味を感じてしまった胡蝶の夢なcountsheep99です。
豪華な邸宅で夢の執事ライフを!
ロビン、セカンドライフ内で日本人富裕層向けの執事付き高級住宅を販売
(THE SECOND TIMES /10月15日付)
ほぉほぉ、つまり邸宅を購入(日本円で12万~)すれば、希望で24時間対応の執事サービスが受けられる…あれっ . . . 本文を読む
皆さまご存知のように、洋服の襟の合わせかたには「男性は右前、女性は左前」と男女の区別があります。
なぜそんな区別が出来たのか?
その訳には、じつは召使いが深く関わっているかも…? というお話です。
男性で、女性用のシャツや上着を着た経験のある方(あまりいない?)は、最初、ボタンのつけ外しに戸惑ったのではないでしょうか。
慣れてないから、というだけでなく右手でボタンをつけ外す場合、左前はとても . . . 本文を読む
まだ続きます。高野虎市さんシリーズ③です。
過去のシリーズ・ブログはこちらで↓
高野虎市さんを追って・その②
高野虎市さんを追って・その①
チャップリンの右腕とも言える存在であった使用人・高野虎市さんが、チャップリンの三番目の妻との確執が原因で解雇を言い渡されたことは、前回ブログでお伝えしました。
今回は、チャップリンとチャップリン夫人、そして高野虎市さん――つまり、主人、夫人、使用人――こ . . . 本文を読む