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フェルメール展で召使い絵画ポストカードをゲットしました―その2

さて、前回ブログの続きです。

前回ブログはこちらです。
フェルメール展で召使い絵画ポストカードをゲットしました―その1

今回は以前に当ブログでも取り上げたことのある(※注1)、
ピーテル・デ・ホーホの召使い絵画を二枚、ご紹介します。

 召使いが差し出す瓶の中身は? 「17世紀オランダの美徳」


ピーテル・デ・ホーホ
≪食糧貯蔵庫の女と子供≫
1658年頃

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さっ、みなさん。この絵に自由にキャプションを付けてみましょう。

わたしは、

「お嬢ちゃま。イイものをさしあげますから、さっき見たこと、奥さまには内緒に…ねっ?」

ワイロを渡して子供を手懐ける、召使いの猫なで声が脳内に響いた。

展覧会カタログの解説を読んだら、まったく違いました(そりゃそうね)。

まず第一に、この子供は、女の子じゃなかった(笑)
子供は、長いブロンドの髪、ドレス、金色の刺繍が施されたボンネットという出で立ちだが、垂れ下がる肩布と金のボタンのおかげで、少年であることがわかる。
(「フェルメール展 光の天才画家とデフルトの巨匠たち」カタログより引用。以下、引用文はすべて同カタログより引用。
※改行、太字はブログ筆者による)
あらまあ、きれいな男の子でありましたか。

で、召使いが男の子に差し出している、瓶の中身はなにか?

わたしは甘いジュースか何かだろうと想像していたのですが、なんと、
彼女が少年に与えているのはおそらくビールであろう。
ビールぅ!? おいおい、当家の坊ちゃんを勝手に酔わせて…と思ったら、
17世紀においては、こうしたことは職務を逸脱した行為どころか、全く逆であった
ん? じゃ、良いことをしてるのか?

なんでも当時のオランダでは、ビールは食事における主食のひとつで「実際に労働者はビールである程度栄養を補っていた」そうです。 つまり、現代の日本人が白飯をパクつくように、当時のオランダ人は毎日のごはんとしてビールをゴクゴク飲んでいたのだ。
そして、当時のある学者が説いた健康指南書においては、
赤ん坊の離乳のためにアルコール飲料を混ぜることをすすめ、子供へのビールを推奨した。

本作品は、ピーテル・デ・ホーホの女性や子供を描いた多くの作品と同様に、家庭の美徳のイメージを讃えているのである。
それは、きっちりと整頓された中流家庭の家事という心地よい枠組みの中で展開するものだった。
ふーむ。
子供にビールを飲ませるのが、家庭の美徳イメージを表わしていたとは。

「子供・アルコール」のキーワードでまっさきに思い浮かべたのが、
ホガースの≪ジン横丁≫(※注2)地獄絵図だったもので…国と時代が変われば、こうもイメージが違うんですねぇ。

ビール=主食(健康食)と考えを改めて、もういちどこの絵を眺めてみると―

開かれた窓からは陽光が差し込み、室内を明るく照らす。
磨き上げられた床には、チリひとつない。(もちろん召使いが掃除した)
召使いは当家の坊ちゃまの健康を気遣ってビールを飲むように勧め、微笑みをたたえながら優しく励ます。「少し苦いけど、頑張るんですよ」

おお、うつくしい「召使い絵画」では、ありませんか!

このシリーズ、次回その3 に続きます。あと2枚。


※注1 ピーテル・デ・ホーホについての過去記事はこちら↓
召使いのモデルは…ピーテル・デ・ホーホ『女主人と召使い』)

※注2 ホガースについての過去記事はこちら↓
画家ホガースが描いた六人の召使たち

※本記事掲載のピーテル・デ・ホーホの画像は、Rijksmuseum Amsterdamからお借りしました。ありがとうございます。
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