清少納言、曰く――
ありがたきもの
舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。
毛のよく抜くる銀の毛抜き。
主そしらぬ従者。
『日本の文学 古典編9 枕草子 上』校注・訳/鈴木日出男 ほるぷ出版 昭和62年
(※原文にはルビがふってあるが、ここでは省いた。また太字改行はブログ筆者による)
これを橋本治の桃尻語に訳すると――
めったにないもん。
舅にほめられる婿。そいから、姑に . . . 本文を読む
執事の顔というものは、速やかに表情のあらわれる顔ではない。(p.106)
この世界中に執事が両眉を上げるに値するとみなす事柄はほぼ皆無である。(p.296)
おしなべて執事というものはスポーツマンである。(p.109)
『ブランディングズ城の夏の稲妻』
(P.G.ウッドハウス著 森村たまき訳 国書刊行会 2007)より
(countsheep99のこっそりコメント)
作者ウッドハウスに . . . 本文を読む
御主人様、どうぞ/\御願いでございます。御機嫌を御直し遊ばして下さいまし。―(略)―
先達(せんだって)、泣いてみろと仰っしゃいましたのに泣かなかったのは私が悪うございました。―(略)― 今度からは泣けと仰っしゃいましたら泣きます。その外御なぐさみになりますことならどんな真似でもいたします。むかしは十何人もの腰元衆を使っていらしった御方さま故、これからは私が腰元衆や御茶坊主や執事の代りを一人で . . . 本文を読む
追伸
いま、ふと考えてぞっとしたんですけど、お宅には執事がいらっしゃるんですか? わたし、執事って、にがてなんです。もし、執事がドアをあけにきたりしたら、わたし、きっと玄関の石段の上で気絶しちゃいます。
―『あしながおじさん』
ジーン・ウェブスター/作 坪井郁美/訳 福音館書店(1990)より―
(太字はブログ筆者countsheep99)
(こっそり補足・ブログ筆者countsheep99 . . . 本文を読む
映画『日の名残り』で執事スティーヴンスを演じた俳優アンソニー・ホプキンス。
彼が役作りについてのインタビューの中で答えた言葉。
バッキンガム宮殿の本物の執事さんが、とてもいいことを教えてくれた。
「執事がいると、部屋が殺風景に見えるものです」
―「アンソニー・ホプキンス自らを語る~アクターズ・スタジオ・インタビュー」より―
(2001年NHK教育にて放送。番組制作はBravoTV, In Th . . . 本文を読む
ファーモア卿は、無為徒食を看板に優雅な貴族生活をおくる老紳士。
ロンドン市内に邸宅をふたつ所有しながらも、手数のかからぬ下宿住まいを好み、
食事もたいていクラブでとることにしている。
やや無骨な人物で、「利己主義者だ」との世間の評判もあるが、
自分を楽しませてくれる人間には気前が良いので、社交界では受けが良い。
気ままな独身生活を享受するかれのそばには、
もちろん従僕がはべっているのですが… . . . 本文を読む
偉大な執事は、紳士がスーツを着るように執事職を身にまといます。
公衆の面前でそれを脱ぎ捨てるような真似は、たとえごろつき相手でも、どんな苦境に陥ったときでも、絶対にいたしません。
それを脱ぐのは、みずから脱ごうと思ったとき以外になく、
それは自分が完全に一人だけのときにかぎられます。
まさに「品格」の問題なのです。
―『日の名残り』より引用(改行はブログ筆者による)―
偉大な執事に必要 . . . 本文を読む
ルイ16世時代のフランス。
ヴェルサイユ宮殿は多くの延臣、従僕、侍女、小姓、職人たちを抱えていた。
その数三千人。
仕事は細分化され、召使たちは与えられた役割以外に1ミリとも動こうとしない。
ある日、寝台の汚れに腹を立てたマリー・アントワネットが従僕にそれを注意すると、その従僕は平然として、こう答えた。
「王妃さまが今、寝台にお休みでしたら、埃を払うのは私の仕事でございましょう。しかし王妃さまは . . . 本文を読む
以前、くろにゃんこさんから頂いたコメントの中で、こんなのがありました。
>ところで、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の小説中で、こんな文章を見
>つけました。
>「ことの善悪はべつにして。これまでも召使が主人より有能なケースはあった。」
このように、
「いま読んでいる小説は、召使うんぬんにはまったく関係のない内容なんだけど、たまたま召使について語られている文が見つかっちゃった」
なんて場合 . . . 本文を読む