執事って、就職率100%確実の職業なのね。

執事に関するニュースをのぞいていたら、興味深い記事がありました。

慢性的な「執事」不足が、金満家庭で深刻な悩みに
(JAPAN JOURNALS LTD 5月30日付)

記事によると、「執事を雇いたい」と熱望する人々が急速に増えているのだそうな。この10年の間に。
この“執事需要”増加の背景には、インターネット産業で財を築いたネット長者が増えたことにある、とのこと。
「現在の執事の数が2倍に増えたとしても、全員が必ず就職先をみつけられる」
(上記記事より引用)
すごいなっ! 完全な売り手市場だ。
「英国内の執事は現在5,000人 (同上引用)」
たったの? 少ないなっ!

お、でもここで注意が必要。
記事をよ~く読むと、どうやら執事は執事でも、「英国執事」が一番求められているようです。

や~っぱりなぁ! そして、変わらないんだなぁ。
変わらない、と言うのは、19世紀から続く「英国執事が求められる理由」です。

イギリス産業革命後、巨万の富を築いた「新たな富裕階級」は、にわかに階級社会の上層へ躍り出ました。この時代、上流階級といえば貴族、それもほとんどが世襲貴族でした。そこで、<称号は持っていないが金は有り余るほど持っている>富裕階級は、「貴族の真似をする」ことで仲間入りをしようとヤッキになったのです。

体裁作りに励んだワケですね。単なる成金と思われないように。そして湯水のごとくお金を使った。(称号だって、お金を出せば没落貴族から買い取れる)

「執事を雇う」というのも、その体裁作りのひとつでした。
執事というのはそりゃあもう、四頭馬車とかカントリーハウスなどと比肩する「持ち主の身分を証明する」立派なアイテムなんですね。ステータス・シンボルなわけです。

ここ、ここですね。「ステータス・シンボル」。
いまも昔も、人々が執事に、とくに英国の執事を求める理由は。
実用ではなく、シンボルとして欲しいんです。

現代では、シンボルとしての意味合いがさらに強いでしょう。
家電製品の無かった時代は、家事のために沢山の人手が要りましたし、それら多くの召使いのまとめ役として「実用的に」執事は必要でしたが、いまはレンジでチン、リモコンでピッの現代です。
また、「身の回りのことが自分ひとりで出来るのは、淑女ではない証」というような19世紀には当然であった上流階級のジェンダー通念を押し付けられているわけでもありません。

自分で靴紐も結べるし、歯ブラシに歯磨き粉をつけることも出来る。
そんな、ひとりでできるもん! の現代人が、執事を、それもいまや稀少な英国執事を熱望するのは、やはり身分証明の「シンボル」としてか、もしくは過去の“執事のいる暮らし”への憧れが、そうさせるのでしょう。

現代の執事は、不要不急のものです。
その不要不急にお金を払うんだから、お金持ちってホントに、お金持ちだよなぁ。
またこれまでの最高給与例としては、住居費・食費込みで150万ポンド(約3億3,000万円)というケースもあったという。(同引用)
シンボルの代価は、鼻血が出るほど、高い。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
 (とある執事)
2010-12-12 19:51:23
執事は仕事が大変です。雇い主にもよりますが・・・
 
 
 
日本人の執事は・・・ (ちょこ☆)
2011-03-02 23:27:19
やっぱり執事は英国執事が一流のイメージありますもんね。
英国で執事としての作法とか学んだ日本人が、執事になって実際雇ってもらえるってことはあるんでしょうか?
 
 
 
執事文明 (うめにゃん)
2013-03-13 11:18:35
 執事と言えばイギリスと思ってしまうのは、この国が産業革命や帝国主義をどこよりも先に経験し、これからの使用人の重要さを理解していたからじゃないかと思います。

それにしても、日本のアレンジ力もすごいなと思ってしまいますが笑
 
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