引き続き、
『イギリスのある女中の生涯』より、
前回ブログの続きです。
予告のとおり今回は、
等身大の女中から見た、執事の姿がテーマです。
過酷な労働に耐える女中ウィニフレッドの目には、
上司である執事はどのように映ったのか?
まず初めにお答えしますと、彼女は、執事が大っ嫌いだったようです。
「いわゆる『偉い使用人』を、私は軽蔑していました。」
第一次世界大戦終結後、20歳になったウィ . . . 本文を読む
本日の召使 : ウィニフレッド(女中)
(『イギリスのある女中の生涯』シルヴィア・マーロウ著 徳岡孝夫訳 草思社 1994より)
現在の日本で「女中」は差別語です。
しかし、差別語だからといって、簡単に「お手伝い」や「メイド」などの言葉に置き換えてられるものでもありません。(とくに「メイドさん」においては、と強調してみる。)
「女中」には「女中」と呼ぶしかほかに当てはまらない、言葉のイメージが . . . 本文を読む
ルイ16世時代のフランス。
ヴェルサイユ宮殿は多くの延臣、従僕、侍女、小姓、職人たちを抱えていた。
その数三千人。
仕事は細分化され、召使たちは与えられた役割以外に1ミリとも動こうとしない。
ある日、寝台の汚れに腹を立てたマリー・アントワネットが従僕にそれを注意すると、その従僕は平然として、こう答えた。
「王妃さまが今、寝台にお休みでしたら、埃を払うのは私の仕事でございましょう。しかし王妃さまは . . . 本文を読む
以前、くろにゃんこさんから頂いたコメントの中で、こんなのがありました。
>ところで、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の小説中で、こんな文章を見
>つけました。
>「ことの善悪はべつにして。これまでも召使が主人より有能なケースはあった。」
このように、
「いま読んでいる小説は、召使うんぬんにはまったく関係のない内容なんだけど、たまたま召使について語られている文が見つかっちゃった」
なんて場合 . . . 本文を読む
待ちに待ったジーヴスもの最新翻訳本、
『ウースター家の掟』。
昨日読み終わりました。
今回もまた、作品中で気になった事物をピックアップして、掘り下げていきます。
まずは最初に、気になったもの。
物語の核心となるブツ、牛型クリーマー(cow creamer)です。
わたくし、牛型クリーマーなるものがどのようなモノか、
まったく知らなかったのです。
まあしかし、何と言っても紅茶大国イギリス。
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