バトラーみたいな猫 ― 大島弓子さんのサバ。 (その1)

わたしは猫が好きである。

しょっぱなからなんの話だ、執事や召使いの話ではないのかと疑問を持たれたお方、まあお聴きなさい。

先日、喫茶店で友人とよもやま話をしていると、友人が訊くのだ。

「ねえ、犬と猫、どっちが好き?」

すでに用意している答えと理由を言いたそうなウズウズ顔で。

コーヒーを一口すする間に考えたこと――
どうして「犬 vs 猫」設問はどうして犬と猫なのかしら。同じようにペットで身近に飼われている鳥さんやウサギさん、ハム太郎の立場は。団地住まいで金魚とカメしか許されなかった子供時代の悲しみはどこへ。そーいや似たような質問に「犬と猫、どっちに似てるか?」ってあるな。中学生の時に「わたし、どっちだと思う?」と友だちに訊いたらその子は真顔で「んー、たぬき!」って、二者択一の根本を無視かい。わたしは、わたしが似てるって言われたかったのは――

意識が戻り、コーヒーカップから唇を離して、答えた。

「ねこ。猫のほうが好き」

それを聞いた友人はじつに意外そうな顔で、
「あ? なんで?」
いや、なんでって、その。
「そんな顔しなくてもべつに責めてないわよ。いや、だって、召使いとかそーいうのが好きだって言ってたじゃん」

??? 
今度はこっちが、なんで? である。

友人曰く――
犬と猫、どちらが「召使いっぽい」かと言えば、そりゃ犬だ。
犬は主人の言うことをきく。
しかし猫は「家につく」といわれる通り、人間(主人)にはなつかない。
それにあの気まぐれ。従順さにはほど遠い。
だから召使いが好きだというアンタはきっと犬のほうがっ!!

ふーむ。

友人の説明にも一理ある。
なるほど、犬は主人に忠実な性質が(人間から見た)美点に挙げられるし、その点、猫はどっちかというと唯我独尊な生き物だ。

でもなあ。

やっぱり「犬のように忠実な召使い」よりも、「猫のようにしなやかな召使い」のほうを選びたいなあ。

猫のほうが召使にふさわしいと思う理由は「足音」だと思う。
猫は足音を立てない。というか、足音が無い、に近い。

わたしの机上に辞書と並んで置いている THE BUTLER'S GUIDE の著者、元バトラーのスタンリー・エイジャー氏は給仕の際の心得として「静寂であるよう心がけるのはプロのサービスの証」として「やわらかく静かに歩くこと」と述べています。

やわらかく、静かに、歩く。
コリャやっぱり召使いは、猫でしょう。

そんなこんなで、猫と召使いのつながりをつらつら考えながら、おととい、映画「グーグーだって猫である」を観に行きました。

(話が長くなりそうなので、次回に続きます…)
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コメント
 
 
 
足音、に納得! (みけ)
2008-11-15 01:31:54
お久しぶりです。帝国ホテルの最終記事にてコメントさせていただいた、みけです。
次回に続く…になっているのに、あえてこちらにコメントを(笑)。
足音、すごくわかります!
わんちゃんも好きなんですが、私も猫大好きで、さらに「召使い」のイメージもやっぱり猫です。
適度な距離を保ちながら、常に見てくれている(見張られている…?笑)感じがします~。
 
 
 
あこがれの猫生活へ (countsheep99)
2008-11-18 11:01:08
みけさん、お久しぶりです。
ブログ更新がハタと止まっておりますが(笑)、相変わらず召使い登場の小説などを読んでおります。

来月、ペットOKの部屋に引っ越しをすることになりました。

そう、あこがれの「猫との暮らし」を始めるためです。

しかし。
思うに、私のほうが、猫に召し使われてしまうのでしょうな。
「お食事のご用意ができました。このたびのは新鮮な魚肉を…ああっ、おまたぎになられるとは! ではすぐにべつの缶詰を」

そういえば、みけさんの名前は、三毛ですね。
 
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