フェルメール展で召使い絵画ポストカードをゲットしました―その４

―前回その３の続き―
今シリーズでご紹介する、最後の１枚です。
エマニュエル・デ・ウィッテ　≪ヴァージナルを弾く女≫　1665年頃



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レレレのおじさん(古い)を思い出したのは私だけではない…はず。

わたし、この絵、好きだなぁ。

召使いの立ち位置が、いい。

画面中央に居ながら、奥にいるので、小さくて控えめな存在。(召使いらしさ満点)
しかし、その小ささ、奥行きゆえに、観る者は「何だ？」と引き寄せられるように見入ってしまう。

〈控えめなのに、視線を浴びてしまう召使い〉

召使い好きとしましては「ええ役をもらったのう…うんうん」と得心の笑みを浮かべてしまうのであります。

しかし、疑問は残ります。
なぜ召使いが「掃除をしているのか？」
わざわざ画面の中央で？

例によって展覧会カタログの解説を参考とする前に、まずは、ゆっくり絵を見ていきましょう。

登場人物は、３人。

この絵を前にして最初に目が行くのが、右側の題名にもなっている「ヴァージナル弾く女」ですね。

後ろ姿なので顔が見えないなぁ、おっ、ちょうど前に鏡がある、そこに映って…ああ～額までしか映ってないぃぃっ―と、心憎い演出が施されております。

つぎに視線を留まらせるのが、中央の「掃除をする召使い」ですね。
この召使いも、遠すぎて表情がわかりません。

ここまで画面を右から中央へ(日の当たる、明るい部分)と視線をすべらせてきました。そうするとまあ、つぎは自然と、左側の暗い部分へと視線は突入します。

左側のベッドに、横たわった男性が、こちらを覗いています…。
(どうぞイメージを拡大してご覧ください)

これ、わたしが実際に展覧会で見たときは、もっと暗かったんです。
絵にあてた照明の加減で、影の部分がほんとうに影らしくて、目を凝らさないとよく分からない。

で、よーく見つづけていると(ちょうど暗闇に目が慣れてモノが見えてくるように)男の顔が暗闇からぼうっと浮かんでくる…「うわっ、なに？」ってちょっと怖かったです。(パソコン上の画像だと色や光がフラットになるので、ここらへんの効果はあんまり味わえないかもしれません)

まあともかく、登場人物の三人が三人とも、顔がぼんやりしている。表情がはっきりしていない。

となると、それぞれの位置関係が絵を読み解く重要なキーとなってくる。

展覧会カタログの解説にはさまざまな絵の解釈が述べられています。
ベッドで横たわる男性は憂鬱(メランコリック)な状態で、女性の奏でる音楽に安らぎを求めている…とか。

わたしが気に入った解釈は、これ。

背景で掃除をする召使いは、構図に生気を与え、スケール感をもたらしているが、その彼女の掃除をするという行為は、前景に描かれているおそらくは恋仲の二人と関連づけても解釈されてきた。つまり罪やけがれを掃き清める身振りというわけである。

(「フェルメール展　光の天才画家とデフルトの巨匠たち」カタログより引用。以下、引用文はすべて同カタログより引用。 ※改行、太字はブログ筆者による)

だから画面中央で、男女二人の間に立って、せっせとホウキを動かしてるのかぁ。
「罪やけがれを掃き清める」なんて、神聖なる行いですぞこれは。
やっぱり、いい役だ。うんうん。(笑)

納得したところで、ふたたびこの素晴らしい名画を眺めてみる。

でも、やはり、最初に頭に浮かぶフレーズは、

「お～でか～けで～すか～？　レ～レレ～のレ～♪」

(↑節をつけて読めるかた、あなたは心の友)


※画像はessentialvermeer.com
instituut collectie nederlandからお借りしました。ありがとうございます。