イギリス小説は召使から始まった。

先日、大学で英文学の講義を受けたときのことです。 (わたしは昼間仕事をして、夜、大学に通っています) 先生が仰いました。 「いちばん最初に書かれたイギリスの“小説”、これは作品がはっきり分かっています」 ほぉー、そうなんだ。ふぅーん。 睡魔と格闘しながら、心の中でうなずくわたし。 先生が話をつづける。 「スティーブンソンという人が書いた『パミラ』という作品です。パミラというのは主人公の女性の . . . 本文を読む
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召使という名の他人 『ドリアン・グレイの肖像』

『ドリアン・グレイの肖像』 貴族のそばに、召使あり。 貴族が主人公の小説を読むと、 召使というのは、 貴族を描くのに欠かせない「点景」なのだと、つくづく思います。 たしかに、貴族がお茶を飲みたければそのお茶を入れるのは召使なのですから、 おのずと貴族と召使が同じ絵におさまるのは自然なことです。 『ドリアン・グレイの肖像』の主人公ドリアン・グレイも、またしかり。 ドリアンが朝食をとり、手紙 . . . 本文を読む
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召使語録3 『ドリアン・グレイの肖像』

ファーモア卿は、無為徒食を看板に優雅な貴族生活をおくる老紳士。 ロンドン市内に邸宅をふたつ所有しながらも、手数のかからぬ下宿住まいを好み、 食事もたいていクラブでとることにしている。 やや無骨な人物で、「利己主義者だ」との世間の評判もあるが、 自分を楽しませてくれる人間には気前が良いので、社交界では受けが良い。 気ままな独身生活を享受するかれのそばには、 もちろん従僕がはべっているのですが… . . . 本文を読む
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召使語録2 『日の名残り』

偉大な執事は、紳士がスーツを着るように執事職を身にまといます。 公衆の面前でそれを脱ぎ捨てるような真似は、たとえごろつき相手でも、どんな苦境に陥ったときでも、絶対にいたしません。 それを脱ぐのは、みずから脱ごうと思ったとき以外になく、 それは自分が完全に一人だけのときにかぎられます。 まさに「品格」の問題なのです。 ―『日の名残り』より引用(改行はブログ筆者による)― 偉大な執事に必要 . . . 本文を読む
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