こころがかるくなる心理カウンセラーかきかわのブログ

山口市で心療カウンセリングルームを営みながら日常のエピソードをまじえて泣いたり笑ったり感情を動かすお話を掲載しています。

苦しい時話すことの意味

2017-09-10 14:38:41 | 日記
「そこは(カウンセリング)話を聞いて貰えるんですよね」
「聞いて導いて貰えるんですか?」
「それで治るんですか?」

これは、カウンセリングについて初めて問い合わせて来られる方の質問で最も多いものです。

まず、今の感情をお尋ねします。このブログを縁あって読んでくださっている方は、何かに悩んでいますか?もし悩んでいたり困っていたりする場合、それをイメージするとどんな感情になりますか?

悩み事があるとすれば、それは解決可能なことでしょうか?

可能だとすれば難易度はどの程度でしょうか?

このように自問自答していくと、たとえば

「最近やる気が出ないんだよね。なぜなら上司は分からず屋で聞く耳持たないし、部下は使えないやつばかり。私がどんなに頑張っても事態は大して変わらない。どうしようもないだろう。頑張ったって全部無駄なんだよ。」

こんなふうに思ったとします。

こういう感じ、いわゆる自己効力感が得られない。努力しても報われない感覚に覆われていると、人生全般について同様に見えてきてしまう。それが長期的に続き、体の不調や無理が祟るなど重なると、うつ病を発症するリスクが高くなります。

少なくとも自分の身に起きたことを「悩みごと」として浮かんだとするならば、あなたは疲れている状態だと言えるでしょう。

えっ?と思われたら、元気な時の自分ならどう感じるか、考えてみてください。

元気であろうと疲れていようと、事態が変わるわけじゃないと思われるかもしれませんね。確かに周りの状況は同じかもしれませんが、全部無駄という結論付けは、元気な時のあなたなら、そう思わなかったのではありませんか?

話すことが癒しに繋がる理由は2つあります。1つは話したいという欲求を満たすことです。2つ目がカウンセリングで聴く意味ですが、分かってもらえたという欲求を満たすことです。

この2つの欲求を満たすことで、ある程度感情が悪い方へと暴走することを食い止められます。

最近ではネットで何でも調べられる時代になり、便利ですが、自分が何かに対してマイナスイメージを持っているとマイナスなこと書いてあるのが目にとまります。

苦しいので、マイナスイメージを打ち消したくて次々と調べるわけですが、元々強烈な効力があるマイナスイメージを減らすことは容易ではありません。

それが強くなると、100パーセント大丈夫という確証が得られない限りは不安がぬぐえないという心理状態になることもあります。(強迫観念)

これまでに全国からカウンセリングについてのお問い合わせをいただき、電話、テレビ電話、メールでカウンセリングの依頼を受けますが、それにお応えできない理由は、分かってもらえたという感覚を持ってもらうことが、面談以外の方法では難しいからです。

人は見た目が9割とも表現されるようにメラビアンの法則では、第一印象に与える影響は

 ◆視覚情報55%
 ◆聴覚情報38%
 ◆言語情報7%

だと言われています。つまり、「大丈夫です」と言われた言葉の意味から捉えるところが7%、その時の表情や仕草など見た感じが55%、声の調子など耳でとらえるのが38%です。

実際の場面で想像してみてください。顔面蒼白で声もかすれていて元気がない、そんな感じで、「大丈夫です」と言われたとして、相手が大丈夫だと思えますか?

また、重要な打ち明け話をする時、ただでさえ「わかってもらえるのかなあ、こんなこと言って変なやつだと思われないかなあ」と相手の反応を気にしているのに、例えばラインで既読になったのに返事がなかなか来ない。声は聞こえるけど表情が見えないとどんな気分になるでしょうか?

特に既読が長い間つかないとか既読スルーで悪い妄想をしたことは多くの人が経験されていると思います。

元々は、気にしないタイプの人でも、相手との関係性に不安があるときは気になるのではありませんか。

カウンセラーがカウンセリングの中で聴くいう行為は、自分の偏見という色眼鏡を外して(こうあるべきといった固定観念)ありのままの相手を受けいれて聴くということです。

導くとか助言するという行為は、まず脇に置いて聴く。その結果、必要な援助を行っていきます。

したがって、お会いするまえに、どんなことをしてもらえるかと問われれば「お聴きします」としか表現できないのです。

療法としては、認知行動療法、マインドフルネス、自律訓練法などさまざまですが、クライエントさんが充分に話すことが出来て、なおかつカウンセラーに分かってもらえたと感じられてとき、ケースによってはそれでカウンセリングは終結しても良いことさえあるのです。

逆に言えば誰にもわかってもらえないという感覚は、辛いものなのです。

事情によっては当事者が来られない場合は、家族やパートナーがアクティブリスニングといって、聴き方のトレーニングを行うことも出来ますし、家族療法といって、ご家族のストレスを和らげることで状況が好転することもあります。

大切なことほど答えがないのが人生、でもカウンセラーとして客観的に見守り続ける役割は担えます。

かきかわ統合医療相談室
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